スマート家電「Dreame」が約640億円を調達、ロボット掃除機で世界トップ目指す

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

スマート家電「Dreame」が約640億円を調達、ロボット掃除機で世界トップ目指す

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

ロボット掃除機を中心とするスマート家電メーカーの「追覓科技(Dreame Technology)」がシリーズCで36億元(約640億円)を調達した。「華興新経済基金(Huaxing Growth Capital)」と「CPE源峰(CITIC Private Equity Funds Management )」が主導した今回の出資には、不動産開発大手「碧桂園(Country Garden)」傘下のベンチャーキャピタル「碧桂園創投(CGVC)」なども参加。既存株主のシャオミ(小米科技)と「順為資本(Shunwei Capital)」、IDGキャピタルが追加出資した。

同社によると、碧桂園創投が今回新たに戦略投資家として加わったことは、スマートホーム事業や不動産市場の開拓につながる。また、シャオミとは持続的かつ長期的なパートナーとして技術向上と製品開発を共同で進めていく。

2017年に設立された追覓科技は、高速モーターやナビゲーションなどのコア技術を急速に向上させている。現時点で1800人近くに上る社員の中心は、清華大学などの出身者が占めている。創業者の俞浩CEOも同大学で航空宇宙学を専攻した。

創業者の俞浩氏

主力製品はロボット掃除機、コードレス掃除機、乾湿両用掃除機、高速ドライヤーで、中国、米国、ドイツ、フランス、韓国など100以上の国と地域で販売されている。製品の販売開始から売上高は伸び続け、昨年は20億元(約350億円)を超え、今年は上半期だけで20億元(約350億円)に迫っている。

同社の成長は、中国の掃除機市場の成長と重なっている。政府系シンクタンク「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」は、中国の小型家電市場の規模が2023年に6460億元(約11兆4000億円)に達すると予測している。今年上半期の掃除機の売上高は昨年同期比40.2%増の136億元(約2400億円)だった。

追覓科技が最初に投入したコードレス掃除機「V9」は発売から6日間で完売し、売上高は1500万元(約2億7000万円)を超えた。掃除機の性能を左右する高速デジタルモーターが同社の競争力を生み出している。競合他社が12万5000回転のモーターを開発していた頃、同社は15万回転のモーターの開発に成功し、業界記録を更新した。

追覓科技の歴代モーター

同社は設立当初から毎年、対売上高で12%を超える研究開発費を投じており、現在の社員は7割以上を技術者が占める。空気力学、サイクロンセパレーター、流体力学などに関する特許を保有している。今年9月までの累計で特許の出願件数は1656件、取得件数は726件に上る。

中国市場で足場を固めた同社は海外市場に進出し、さまざまな価格帯の製品でランキング上位を獲得している。今年6月には、アリババ系の越境ECサイト「AliExpress(全球速売通)」が欧州向けに販売する300ユーロ(約3万9000円)以上の掃除機の販売台数ランキングでトップになった。フランス、イタリア、スペインのアマゾンでも同月、ロボット掃除機「D9」が価格帯200~300ユーロ(約2万6000~3万9000円)の売れ筋ランキング1位となった。ドイツでは今年上半期、同社のコードレス掃除機の出荷台数が昨年通期の3倍に上った。

追覓科技は高速モーターの開発で培った技術で空気力学、SLAM、ロボット制御などもカバーし、製品ラインアップを広げている。今年第3四半期にはスマートコードレス乾湿両用掃除機「H11 Max」、ロボット掃除機「L10 Plus」、セルフクリーニング式ロボット掃除機「W10」、コードレス掃除機のフラッグシップモデル「V16」を相次いでリリースした。

今回調達した資金は、引き続き高速デジタルモーターとAIアルゴリズムの開発に充てられる。同社は、高速デジタルモーターの応用分野をキッチン家電や介護用スマート家電などにも広げようとしている。

俞CEOは「これからの10年は広義のロボットにとって最も良い時代になるだろう。広義のロボットとはセンサーを持つロボットを指し、力強い心臓と脳を必要とする。当社はモーターという『心臓』だけでなく、アルゴリズムや認識という『脳』の機能も組み合わせてさまざまな応用を進めたい」と述べている。

同社はすでに、さまざまな試みを展開中だ。生物模倣(バイオミメティクス)ロボットに関しては、シャオミが今年8月に発表した第1世代の四足歩行ロボット「CyberDog(鉄蛋)」の開発に参画。高性能サーボモーターの設計・開発および本体の生産・製造を担当した。

スマートデバイス企業の創業ブームが起こった2014年と比較すると、現在の中国スマート家電市場の競争は激しいが、市場とイノベーション環境も成熟している。俞CEOは「中国スマート家電市場は成長期にあり、ロボット掃除機の分野でも競合製品が増える見通しだ。しかし、性能面で改良の余地もあり、普及率はまだ低い」とした上で「研究開発能力、サプライチェーン能力、ブランド力を兼ね備えた中国企業は、世界のトップを狙える」との考えを示した。

(翻訳・神戸三四郎)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録