コロナ禍でも魅力の落ちない日本観光 日中ツーリズムサミットが提唱する「地域観光デジタルの新未来」とは

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コロナ禍でも魅力の落ちない日本観光 日中ツーリズムサミットが提唱する「地域観光デジタルの新未来」とは

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新たな「地域共創」の場づくりを目指す一般社団法⼈⽇中ツーリズムビジネス協会(CJTC)は、オフラインとオンラインのハイブリッド形式で12月21日(火)に第4回目となる『日中ツーリズムサミット2021』が開催されました。

新型コロナウィルスの流行により、日本と世界の観光産業はかつてない「転換期」を迎えています。観光再生を見据えて、困難な局面の中でも、前向きに観光デジタル化へ挑戦し、地域活性化をアップデートさせる、様々な取り組みが日本各地で行われています。

今回の大会では、日中ツーリズムビジネス協会理事・JTB執行役員の城戸吾郎氏、中国駐東京代表処首席代表の王偉氏、日本政府観光局海外プロモーション部長の大塚久司氏、国土交通省 観光庁観光地域振興部観光資源課長星明彦が開場挨拶を行ったほか、フォーラムの部の登壇者には、株式会社やまとごころ代表取締役の村山慶輔氏や、JTIC.SWISS代表の山田桂一郎氏等計20名の専門家・業界有識者が名を連ねていました。さらに、当日表彰を行う「地域観光デジタルChallenge大賞」「中国人1万人が選ぶAfterコロナ行きたい日本地域大賞」の候補に、全国から多くの地域企業・団体も参加しました。

各自治体が実践する「ピンチをチャンスに」

オープニングの挨拶で、城戸氏は海外で実施されているコロナ禍の下での観光事例を取り上げ、サミットは、我々もしっかりと危機感を持ちながら、困難な時期を乗り越えていきたいという強いメッセージとともに始められました。

コロナ禍において、密にならない場所、小グループでの行動、滞在型の旅、地域の方とのふれあい、スマホファーストなどがキーワードだと村山氏は伝えました。

2021年9月1日に、日本政府がデジタル社会推進の司令塔として「デジタル庁」を発足させました。組織の縦割りを廃し、国全体のデジタル化の主導に取り組んだ今までにない一年でした。

デジタル元年の後押しにより、観光客を呼び込むNewデジタルでは、日本で多用されるSNSを活用するだけでなく、インバウンドは必ず戻るという信念のもとで、ウィーチャットのミニプログラムなどを利用する自治体も増加しています。また、多くのスタートアップが、地方自治体がキャッシュレスや、バーコード注文、スマートシティなどのデジタルインフラを整えることにも注力をしています。そして、村山氏は各自治体で実践されている事例は、どの自治体にも当てはまるわけではなく、しっかりとそれぞれの自治体の現状を捉え、ターゲットを明確にすることが第一歩だと語りました。DX(デジタルトランスフォーメーション)は戦術であり手段の一つである。決して目的ではないというフレーズも共感を呼びました。

終わりの挨拶では、観光カリスマとも呼ばれているJTIC.SWISSの山田氏は、「口だけでなく、行動に移すことが大事だ」と伝え、CJTCの代表理事の王氏は「ひとりひとりがチャレンジャーだ。一人の力ではどうにもならないが、みんなで力を合わせれば成し遂げられる」と締めくくりました。

地域観光デジタルChallenge大賞

5つの部門賞に優勝した団体の授賞式(※授賞式に4団体出席)

大きな打撃を受けながらも前向きな取り組みを行っている企業(団体)を称えるため、今回「地域観光デジタルChallenge大賞」が設立されました。全国から応募があった20の事例のうち、9事例が最終選考に進み、同サミットにて3分間のプレゼンテーション発表と審査員の投票を行った結果、以下5つの事例が【Best Challenge】として選出されました。

【ユーザーフレンドリー部門】インタセクト・コミュニケーションズ(株)(北海道富良野市)スマホ一つで便利に観光 スマートシティ構想

【デジタルイノベーティブ部門】一般社団法人渋谷未来デザイン(渋谷区)バーチャル渋谷

【地域貢献・SDGs部門】株式会社産経デジタル コロナ禍におけるバーチャルサイクリングアプリを活用した誘客多角化事業

【危機突破部門】琴平バス株式会社(全国)オンラインバスツアー

【インバウンド部門】一般社団法人 中央日本総合観光機構の中央日本エリア(富山県、石川県、福井県、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県、長野県、滋賀県) 広域で取り組むデータマネジメントプラットフォーム

中でも特に印象的だった【Best Challenge】を受賞した自治体の事例を2つ具体的に紹介します。

まずは、「バーチャル渋谷」の事例です。コロナ禍において渋谷のエンターテイメントを止めることなく、リアルな渋谷とともに価値創造が行われています。ハロウィーンでは「ステイバーチャル」「密回避」といった社会課題にも取り組み、約100万人が参加したそうです。

次に、「オンラインバスツアー」の事例です。事前に「特産品」を購入者に送り、ツアー中に生産者から商品のこだわりを聞き、体感することで商品理解を深め、「継続的な地域産品購入」と「産地訪問」に繋げているようです。

コロナ禍で打撃の大きい観光業のなかで、まさにピンチをチャンスに変えるべく、さまざまな取り組みを行っている様子が伺えました。

中国人1万人が投票する最も行きたい日本地域大賞

2019年、新型コロナウイルス流行以前の日本のインバウンド市場では、訪日中国人旅行者数が過去最高の959万人を記録していました。新型コロナが続く中、インバウンド観光が回復するまでには、まだ時間がかかるようですが、中国人観光客にとって日本旅行の魅力が失われることはなく、今後も日本は依然として人気のある旅行先であり続けることが考えられます。

同サミットの最後に、中国人1万人を対象とした「中国人1万人が投票する最も行きたい日本地域大賞」の結果が発表されました。中国人1万人に聞いた「最も行きたい日本の地域」では、大阪(難波ナイト)が1位にランクインし、2位に香川県(小豆島)、3位は和歌山県(高野山)、香川県(瀬戸内海島々と猫)と東京(銀座)が後に続きました。昨年と同様に小豆島と高野山が上位に入っています。

こういったアフターコロナにおけるインバウンド需要の回復を見据え、官民連携で日本のインフラを整えながら、デジタル活用の観光の新未来へ挑戦していくことが期待されます。

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