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クラウドゲーム技術のソリューションプロバイダー「蔚領時代(WELL-LINK)」が先ごろ、シリーズBで4億元(約72億円)を調達したことが明らかになった。「明勢資本(Future Capital)」がリード・インベスター、「鼎暉投資(CDH Investment)」のベンチャー・グロース・キャピタル(VGC)部門がコ・インベスターを務めた。既存株主のシャオミ(小米)、大人気ゲーム『原神(Genshin)』の開発元である「miHoYo(米哈游)」および「順為資本(Shunwei Capital)」も追加出資した。蔚領時代は2021年初めにもシリーズAで1億5000万元(約27億円)を調達している。
今回調達した資金は主に3つの分野に充てられる。1つ目は仮想世界専用サーバーの設計と量産化、2つ目はクラウドレンダリングを基にしたデジタルヒューマン開発プラットフォームの設計と構築、3つ目は次世代ソフトウエア「方舟架構」の開発と設計だ。中でも仮想世界専用サーバーの設計と量産化に重点的に資金を投入するという。
蔚領時代は2021年8月、miHoYoと提携してクラウド版『原神』のAndroidベータ版を公開した。その結果、リリースから1年近く経っていた同ゲームに再び注目が集まった。創業者の郭建君CEOは36Krに対し「当社は設立当初からクラウド版原神を最重要プロジェクトの1つに位置付けてきた。絶えず技術力を磨きながら、より多くのメーカーと提携する方法を探っていた」と話す。
miHoYoとは長期提携を締結しているが、2021年7月30日~8月2日に開催された中国最大のゲーム展示会「ChinaJoy」で、「360遊戯」や「中手游(CMGE)」などのゲームメーカーとも提携を締結した。また、通信大手「中国移動(チャイナモバイル)」傘下の「咪咕互動娯楽(migufun.com)」やシャオミグループ、ソフトウェア大手「キングソフト(金山軟件、Kingsoft)」傘下のクラウドベンダー「金山雲(Kingsoft Cloud)」などと共同で、クラウドゲーム「立方米」計画を発表した。
シャオミのゲーム事業部の梁秋実総経理によると、同社がクラウドゲーム分野で持つ強みは、自社のスマホやパソコン、テレビなど多くのデバイスを通じて、クラウドゲームのエコシステムを徐々に構築できる点だ。今後は蔚領時代と共に、ユーザーがデバイスに制限されることなく高品質ゲームの視覚的なインパクトや楽しさを享受できるよう、技術を磨いていく方針だという。
中国の産業研究機関「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」によると、中国のクラウドゲーム市場規模は2021年には193億元(約3470億円)に達する見込みだ。今後3年間の年平均成長率も100%を超え、2023年には市場規模は1000億元(約1兆8000億円)に達する見通しだという。クラウドゲームメーカーの前途は明るい。
クラウドゲーム関連技術とメタバース産業の成長は密接に関係している。蔚領時代はメタバース関連でもすでに動きを見せている。
同社は四川省成都市に「硅基大陸(成都)科技」を設立し、miHoYoや中手游、金山雲、シャオミなどと共に、ユーザーのニーズを第一とするクラウドゲームと仮想世界専用のハードウエアを設計している。設計にあたっては、中国政府のカーボンニュートラル政策に合致するよう、PUE(電力使用効率)の低減と炭素排出量の削減を目指すという。
蔚領時代は将来的には既存事業の延長として、VR、AR、ブレイン・マシン・インターフェースプラットフォームなどに基づく次世代コンテンツを手掛けていく方針だという。郭CEOは「当社は戦略的協業の性質を持つ投資をしており、今後も当社のニーズに合う提携先を探していく。事業と資本の両面でタッグを組み、共にクラウドゲームとメタバース産業に関する取り組みを探めていきたい」と述べた。
(翻訳・山口幸子)
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