車載用LEDライトにもインテリジェント化の流れ 中国新興がバイドゥから資金調達

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自動車のLEDライトシステムを手がける「上海晶合光電科技(JHTECH)」(以下、晶合光電)はこのほどシリーズA+で数千万元(数億円)を調達した。出資者はIT大手「百度(バイドゥ)」のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)である「百度風投(Baidu Ventures)」。

晶合光電は2011年に設立され、完成車工場と共同でLEDモジュールの研究開発や設計を行い、デジタル化、インテリジェント化された車載用ライトを生産する。晶合光電はインテリジェントライトシステム、ライトのドメインコントローラーなどの分野でコア技術を持っており、業界内では数少ない量産に成功した企業だ。

データ提供:晶合光電

自動車産業の100年の歴史の中で、自動車のヘッドライトはハロゲンライト、HIDライトを経て、LEDライトが今人気となりつつある。コネクテッドカーが時代の潮流となり、完成車メーカーが自動車のインテリジェント化を構想する中で、ライトのインテリジェント化のニーズも高まっている。

晶合光電の余濤董事長によると、2017年から光学モジュール市場では競争が激化してきたが、一般的なLED光学モジュールは技術障壁が高くないため、業界内では利益を重視せず低価格な製品によって完成車への搭載を勝ち取るのが一般的だった。

当時、晶合光電は業界内の価格競争に加わるか、研究開発に力を入れ製品の能力を強化するかという選択肢に直面していた。余氏は研究開発に投資してこそ、企業の発展があると考えた。

そのための第一歩はインテリジェント化された光学モジュールを目指すことだった。

普通のLED光学モジュールの制御は非常に簡単で、単純な「オン」と「オフ」の2つの状態しかない。しかしインテリジェントライトは100個あるLEDライトの中の1つだけを点灯させるというようなことが必要になる。

インテリジェントライトはデジタル化されたプログラム制御により各ライトを1つのピクセルとして扱うことで、マトリクスLEDによってパターンや文字を表現することが可能となる。

次の段階として、このようなマトリクス式ライトを点灯させる、より複雑なソフトウェアが必要となる。

そして重要となるのがさらにコアな技術であるドメインコントローラーだ。コネクテッドカーの時代においてライトの変化、警報、エンタメ機能などの需要が拡大している。

例えば車両が運転支援システムの稼働中、システムが左折、車線変更などの指示を出した場合、ライトはドメインコントローラーの命令を受け、自動で「左折ランプ点灯」の動作を行う必要がある。

単純なLEDライトモジュールは技術的な要素は多くないが、デジタル駆動やECUコントローラーなどをさらに追求していくことで、ヘッドライト自体のバリューチェーンが向上するだけではなく、モジュール開発企業の発展の機会も広がるだろう。

晶合光電は2017年から電子駆動とデジタル駆動の研究開発部門、AI部門を設立し、ライトのデジタル化、スマート化ソリューションを強化してきた。現在、光学モジュール、駆動、ドメインコントローラーのソフト・ハードウェア製品やサービスを提供している。

データ提供:晶合光電

「私たちはトータルなサービスを提供することができる。ライトの前期設計から車両の研究開発に関わり、完成車メーカーと協力して設計・生産することが可能だ」と余氏は語る。

晶合光電は二次下請けのティア2サプライヤーではあるが、完成車メーカー、工場と協力関係を形成して早い段階から車両の研究開発に関わり、競争力のある技術サポートを提供している。

インテリジェントライトモジュール製品は量産を実現しており、小鵬汽車(Xpeng)、比亜迪(BYD)、第一汽車(FAW)、広汽埃安(GAIC AION)などの自動車メーカーと提携している。

しかし技術開発をを主軸にすると、常に新しい技術による製品ソリューションを提供できなければ企業の発展は停滞してしまう。

いかにして新たな技術を長期的に提供し続けるかは、晶合光電が将来的に直面する課題だ。この課題に対して晶合光電は、配光可変ヘッドランプ(マトリクスLEDモジュール)やマトリクスパネルモジュールなどの研究に力を入れている。

マトリクス式ヘッドライトの市場普及率はまだ高くないが、自動車のスマート化が進む中でインテリジェントライト市場には大きな可能性がある。「中金公司(CICC)」は昨年11月に、世界の自動車用ライト市場が2026年には総額4000億元(約7兆3000億円)に拡大する見込みだと発表した。

今回の資金調達に百度風投が加わったことで、晶合光電にはテック企業の後ろ盾がついたと同時に、研究開発や人材募集面での資金的なサポートも得られることになる。
(翻訳・普洱)

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