世界大手各社が挑む「折り畳み式スマホ」、新興メーカー「柔宇科技」に勝ち目はあるか?

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世界大手各社が挑む「折り畳み式スマホ」、新興メーカー「柔宇科技」に勝ち目はあるか?

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世界のスマホメーカー大手が「折り畳み式」デバイスの開発に取り組んでいる。量産化が難しいので、すぐに目覚ましい成績を残すことはなさそうだが、複数のメーカーが製品や試作機を発表している。

深圳などを拠点とするスマホメーカー「柔宇科技(Royole)」が昨年10月31日、「世界初」と銘打った折り畳み式スマートフォン兼タブレットを発表した。すでに量産体制に入っているとしているが、現段階では公式オンラインストアや小売店に商品が並んでいる様子は確認されていない。

いち早く柔宇に続いたのは、世界最大のスマホメーカー、サムスンだ。11月7日(米国時間)に、2019年発売予定の折り畳み式スマートフォンを発表し、数カ月以内に量産に入るとした。

年が明けた1月23日。今度はシャオミ(小米科技)が折り畳み式デバイスの試作機を公開した。林斌社長が微博(Weibo)や微信(WeChat)で披露したもので、こちらは「世界初の観音開き式」だ。

翌24日には、ファーウェイも続いた。モバイル業界最大の展示会「Mobile World Congress(MWC)2019」で、次世代通信規格「5G」に対応する世界初の折り畳み式スマートフォンを発表する予定を明かしたのだ。

グローバル市場調査会社ストラテジー・アナリティクスは、2019年の折り畳み式スマートフォンの出荷台数を70万台と見込んでいる。さらに、2021年には3040万台、2023年には5010万台になると予測している。

世界では年間14~15億台が出荷されていることから、70万台はスマートフォン全体の0.05%を占めるにすぎない。長期的に見れば成長の余地が大きいが、短期的には大きな売り上げは期待できないということだ。

折り畳み式スマートフォンの展望について、36Krは主要メーカーの幹部に意見を聞いた。

■vivo執行副総裁:胡柏山氏
「すぐに人気を呼ぶとは思えない。まずは技術面で欠陥がないことを保証し、また商品価値をユーザーに認知してもらう必要がある。生産コストを下げるのも難しく、価格も大きなネックになるだろう。今年、多くのメーカーが折り畳み式スマホを発表するようだが、いずれも小規模な展開になると考えている」

■ファーウェイコンシューマービジネスグループ総裁:何剛氏
「折り畳み式スマホはまだ開発段階で、安定性についても試験段階だ。製品の安定性が保証されれば、出荷に移っても問題ないだろう」

■ファーウェイHonor事業総裁:趙明氏
「折り畳み式スマホは、『開けばタブレットになるデバイス』と言い替えてもいいかもしれない。成否は、折りたたんだ際の薄さを実現するために、どのように設計するかにかかっているだろう。現段階の試作品はまだ概念上のものと言わざるを得ず、商用化するためにはさらなる進歩が必要で、一定の時間がかかるだろう」

■レノボ副総裁:常程氏
「技術面で考えると、折り畳み式スマホは実現可能な未来として考えている。ただし、難関をクリアする必要がある。アイディアをカタチにすることと、それを商業化することはまったく別の概念だからだ。技術面でもクリアしなければならない問題がある」

量産化が最大の難関

折り畳み式スマートフォンの商品化にあたり、問題となるのは技術の成熟度、製品の実用性、価格の3点だ。消費者に与える新しい価値としては「携帯しやすいスマートフォンサイズで、なおかつタブレットのような大画面を楽しめる」という点だろう。しかし、これは本当に消費者のニーズと合致しているのだろうか。

消費者はコンセプトだけで商品を買うわけではない。実用性と価格が見合ってこそ買うのだ。

柔宇科技が昨年10月に発表した折り畳み式デバイス「FlexPai」は最低価格が8999元(約14万6000円)、サムスンの折り畳み式スマホは、韓国メディアの報道によれば約200万ウォン(約19万5000円)。よほどのガジェットマニアか新しもの好きにしか手を出せない価格なのではないか。

実用性に関して言えば、現段階の折り畳み式スマホは厚すぎる。とてもデニムのポケットに入れられるサイズではない。現在、一般的なスマートフォンの厚さは7~8ミリだが、厚さや重さが増せば、片手で操作するのも難しくなる。また、タブレットとして考えてみても、現行の製品に勝てそうだとは言い難い。

さらに、最も致命的な問題と言えるのが耐久性だ。長年使用しているうちに、折り畳み機能は劣化しないのか。開いたときに完全に平らな状態を維持できるのか。36Krの取材では、柔宇科技の劉自鴻CEOが携帯していた「FlexPai」にはすでにガタつきが見えた。

製造の観点から見ると、量産が実現するのかが不透明だ。特に中国メーカーは、多くの海外製部品を必要とするため、製造コストが高くつく。また、良品率の低さも問題だ。現行のAMOELD(アクティブマトリクス式有機EL)でも良品率は50%以下だが、大手メーカー関係者の見立てでは、これを折り畳み式にすると良品率は20%前後になるという。

失敗できない柔宇科技

折り畳み式スマートフォンの開発に着手しているメーカーはいずれも世界トップ10圏内に入る超大手だが、唯一の例外が柔宇科技だ。競合他社とは異なり、上場を目指すユニコーン企業として、柔宇科技はこの挑戦で失敗するわけにはいかない。

2012年に創業した柔宇科技は、広告ディスプレイや車載モニターなどで累計受注額40億元(約650億円)以上のメーカーだ。コンシューマー向け製品としては、ノートPCやVRゴーグル、スマートフォンなどを販売してきた。

同社の主力はディスプレイ製造であり、第6世代フレキシブルAMOLEDの製造設備に110億元(約1800億円)以上を投入している。年間生産能力は5000点に上る。ここまで投資して折り畳み式スマホで失敗するわけにはいかず、また「世界初」の称号を他社に譲るわけにもいかない。

資金調達ラウンドですでにシリーズE+にまで達している同社は、出資者に対してそろそろ明確な成果を示さなければならない。現段階では「世界初の折り畳み式スマホメーカー」を名乗るが、圧倒的な量産能力を誇る大手が続々と追随する中、いつまでその地位を守れるかはわからない。特にサムスンやLG電子はディスプレイ製造のトップ企業だ。

スマホ市場が頭打ちとなりつつある中、新興メーカーが台頭するのは至難の業だ。柔宇科技が状況を打開するためには、折り畳み式スマホの成功以外にはない。
(翻訳・愛玉)

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