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自動運航船(ロボット船)はいまや河川、湖、海と幅広く利用され、潜水士に代わり水中探索を行うなど、特殊な作業も行うようになっている。自動運航船の開発・製造を手掛ける「北京海舶無人船科技(AquaHelpers)」(以下、海舶科技)は2019年に設立され、自動運航船の全産業チェーンでのスマート製造、水上自動運航技術の研究開発および実用化、水域に関するビッグデータの活用による価値創出に取り組んでいる。
海舶科技の自動運航船「Hunter」シリーズは設計から完成まで独自開発され、船体は軽量化の構造設計を採用している。船全体に炭素繊維複合材料を使用し、LiDAR、ミリ波レーダー、視覚センサシステム、高精度な測位方法であるRTKなど自動運転の一般的な仕様に加え、オンライン水質観測装置、サイドスキャンソナー、シングルビーム、ドップラー流速計などの水中機器も備える。海舶科技は、これらの装備を介して得た環境認識や自動運航船の状態等の水上・水中データに基づき、自動運航船のソリューションを提供している。
自動運航船の産業チェーンには、スマート製造、人工知能(AI)、水上自動運航、船舶制御技術の融合、SaaS型クラウドサービス、ハードウェア開発など多方面に渡るテクノロジーが含まれる。海舶科技はクローズドループの自動運航船産業チェーンを構築しており、製品には量産を開始した「Hunter」シリーズのほか「Dragonfly」「Blue Whale」などがある。将来的には水域安全保障、水中の生態系観測、水中スキャニング、事故や災害対応分野の4領域への活用が予定されている。
水域のビッグデータによる価値創造は始まったばかりだが、水面および水中データは産業全体にとって重要性が高い。同社創業者の梁棟氏は「自動運航船は喫水が浅い、軽量化、配置しやすさといった特徴がある。将来的には、河川水域の実際の画像情報を地図サービス大手「高徳地図(Autonavi)」のマップに追加することも可能だ。自動運航船が川筋から収集した水域のパノラマ画像データで実際の画像を使用した地図を作成し、マップにデータリンクを貼って表示すれば、利用者はピクニック、釣り、キャンプまたはバーベキューに出かける前にマップ上で水辺の適切な場所を見つけることができる。また、河川や湖などの淡水域に自社製の自動運航船を配備すれば、自動運航システムでデータを視覚化して生態系観測や水中地理環境に関するリアルタイムデータを提供できる」と話す。
海舶科技は、北京航空航天大学とジョイントラボラトリーを設立して研究を進めており、30件以上の知的財産(IP)を取得済みだ。自動運航船技術の進歩に伴い有人船の無人化が趨勢となっていることから、同社は有人船舶の自動運航化に焦点を定め、自動運航船市場の急拡大に備える方針。同社は現在、龍芯中科(LoongsonTechnology)と協力し、自動化レベル4の水上自動運転スーパーコンピューティングプラットフォーム「AHAD」の開発を計画している。AHADはテスラで言えばコンピューターモジュールに相当し、スーパーコンピューティングをベースに自動運航船に自社開発のソフトウェアAHAD自動運転システム、視覚化のための大画面システム、大型船クラウド制御を搭載することで安全な運航が可能となる。
海舶科技は2022年初めにシードラウンドで泰州軍民結合産業研究院から数百万元(数千万円)を調達した。自動運航船は製品試験を通過し、現在エンジェルラウンドの資金調達中という。創業チームは自動運航船が今後軍事、無人運航等、より広範な分野で広く使用されるようになると確信している。
(翻訳・大沢みゆき)
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