水面清掃や水上パトロールを自動化 中国発無人運航船、資金調達 10カ国で事業展開

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水面清掃や水上パトロールを自動化 中国発無人運航船、資金調達 10カ国で事業展開

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無人運航船を手がけるベンチャー企業「欧卡智舶(ORCAUBOAT)」がシリーズA+で5000万元(約9億5000万円)を調達した。出資を主導したのは青鋭創投(Edge Ventures)で、中信建投資本(China Capital Management)、中関村中諾基金(Zhongguancun-Inno Fund)、光遠投資(Forebright Capital)、啓迪之星(Tus Star)なども出資に参加した。創業者の朱健楠氏によると、調達した資金は主に無人運航性能を備えた環境保護船や遊覧船、無人運航システムのさらなる開発に充てるほか、中国内外の販売網やブランドの構築、業界基準の制定、川上・川下産業への展開などにも充てられる。

欧卡智舶は2017年に設立されて間もなくシードラウンドを実施し、ロボティクス関連企業の創業支援を行うXbotPark(松山湖機器人部落)から資金を調達。19年にはエンジェルラウンドを実施し、スタートアップを支援する香港X科技創業平台(HongKong X-Tech Startup Platform)傘下のファンドやBrizan Ventures、Plug and Play Chinaなどから数千万元(数億円)を調達した。さらに20年にはシリーズAで数千万元(数億円)を調達。清華大学と西安市が共同設立した交叉信息核心技術研究院(Institute for Interdisciplinary Information Core Technology)や同じく清華大学系の図霊創投(TuringVentures)などが出資した。

欧卡智舶が開発・製造した無人運航清掃船「SMURF」および「TITAN」、無人運航藻刈り船「TITAN」の3製品は水面の清掃や除藻、水質測定、水上パトロールなどを行い、これらに対応する無人充電スタンドや無人運航船のスマート管理プラットフォームも独自に開発した。すでに中国や英国、スペインなど10カ国の100カ所以上で稼働している。

欧卡智舶の4製品:清掃船、藻刈り船、遊覧船

これまでの河道管理の方法では、清掃員1人が担当できる面積は20ムー(約1.3ヘクタール)だったが、欧卡智舶の無人運航清掃船は1隻で150ムー(約10ヘクタール)を担当できる。さらに天候を問わず1日24時間稼働できる。

無人船舶が作業するにあたって中核になるのは目標識別技術だ。水面には常に倒影(逆さに映る影)があり、視覚センサーが複雑な光線の影響を受けて誤認を起こしたり、ミリ波レーダーが水光(水面で輝く光)を障害物と認識したりすることがある。欧卡智舶の無人船舶はミリ波レーダーが検出する点群データと双眼カメラモジュールを組み合わせて遠景も近景も捉え、ヒトの眼に替わって水面に浮遊するゴミなどを識別する。

欧卡智舶の推算によると、小型清掃船SMURFは1日の作業で人力の2倍にあたる3万平方メートルを清掃できる。別の清掃船TITANと藻刈り船「Moshark」は1日の作業で従来型の船の2倍にあたる10万平方メートルの水草を除去できる。

欧卡智舶の製品は清掃や水草除去作業を通じて自動運航関連のデータも収集し、水面自動運航のアルゴリズムをアップデートしている。需要の発生〜製品化〜技術開発〜データ収集のプロセスが自然に循環するエコシステムが形成されているのだ。同社の20年の統計では、中国国内には面積にして740万ムー(約49万3000ヘクタール)の人造湖があり、現在も増え続けているほか、随時メンテナンスを要するダムが10万カ所、長さにして合計10万キロ近い河川、3万2000キロの海岸線が存在する。これらの水域には自動清掃・管理ソリューションやデータ収集・管理が導入できる可能性があり、市場規模は1000億元(約1兆9000億円)に達すると予想される。
(翻訳・山下にか)

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