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中国のコーヒーチェーン「luckin coffee(瑞幸咖啡)」が創業5年で初めて四半期ベースで黒字を達成した。
luckin coffeeは2022年第1四半期(1〜3月)の売上高が前年同期比89.5%増の24億460万元(約460億円)だった。直営店の売上高が同66.2%増の17億1470万元(約330億円)、フランチャイズ店の売上高が同239.3%増の5億4930万元(約100億円)で、フランチャイズ店が売上高全体に占める割合が初めて20%台となり、22.8%だった。
第1四半期はそもそもが閑散期であり、当四半期はコロナ禍の再燃も重なったが、luckin coffeeは目覚ましい成長を遂げた。直営店は1店舗あたりのGMV(流通取引総額)が41.6%の伸びを示し、前年同期よりは若干減速したものの、ライバルのスターバックス中国は当四半期のGMVが前年同期比23%減だったため、ライバルの数字は上回っている。
北京冬季五輪で展開したマーケティングの影響もあり、当四半期は月間アクティブユーザー数も過去最高を更新し、前年同期比83%増の1600万人だった。店舗数は新規開店数が前四半期比9.2%増の556店で、合計6580店となった。うち直営店は4675店、フランチャイズ店は1905店。上海市と深圳市でコロナ禍が再燃したこともあり、3月は1日平均約700店舗が一時休業に追い込まれた。
設立5年で初めて四半期ベースで黒字を達成した当四半期、営業利益はGAAP指標で1610万元(約3億円)。前年同期は3億6400万元(約69億円)の赤字だった。Non-GAAP指標の営業利益は9210万元(約17億円)だった。
luckin coffeeの収入源は、商品販売とフランチャイズ店関連の主に2つだ。
当四半期の商品販売による売上高は前年同期比67.6%増の18億5530万元(約350億円)。うち飲料販売が16億5260万元(約310億円)で、売上高全体の68.8%を占めた。フランチャイズ店関連の売上高に関しては、直営店の出店ペースが減速して以降、売上高全体に占める割合が上昇したことで、売上高総利益率が上がっているほか、不確実な経済環境でもある程度リスクを転嫁できている。
次々と新商品を発売していることや月間アクティブユーザーが増えたこと、1杯あたりの販売価格を上げ続けていることが商品販売による売上高の急成長に貢献している。決算書によると、luckin coffeeは当四半期に34の新商品を発売しており、この勢いは4月以降も続いている。「椰雲拿鉄(Coconut Cloud Latte)」など発売初週で495万杯以上を売り上げて一気に人気商品になった例もある。
luckin coffeeは決算書で商品の具体的な販売数には触れていないため、1杯あたりの平均販売価格を計算することはできないが、36Krの取材によると、昨年末の値上げ以降、1杯あたりの販売価格は17元(約320円)を超えている。1杯あたりの販売価格は昨年第3四半期は15.2元(約290円)、19年第4四半期は9.7元(約180円)だった。
当四半期の配達費用は2億4670万元(約47億円)と前年同期から88.1%も増えている。また、販売・マーケティング費用も北京冬季五輪などの関係で同76.8%も増え、1億840万元(約20億円)となった。
不利な要素がいくつも重なったが、直営店の営業利益率は20.3%を固守した。すでに4四半期連続で20%以上を維持している。フランチャイズ店は、当四半期の新規出店数556店のうち60%を占めた。
フランチャイズ展開をする大多数の企業とは異なり、luckin coffeeはフランチャイズ店からはロイヤリティを徴収しておらず、売上総利益2万元(約38万円)を超えたフランチャイズ店からプロフィットシェア(利益分配)を徴収している。概算すると、当四半期は1店舗から3万5000元(約66万円)を徴収している。
あるフランチャイズ店の店主は「プロフィットシェアは売上総利益が2万元以下の場合は免除され、それを超えると2〜3万元(約38〜57万円)の部分から10%、3~4万元(約57~76万円)の部分から20%、4〜8万元(約76〜152万円)の部分から30%を徴収される」と述べた。
決算書では、今年4月11日時点で三線都市以下の地方都市に出店する店舗の割合は20%に迫っている。昨年時点ですでに三線・四線都市の80%以上に出店しており、平安証券(Ping An Securities)の調査報告書によると、中国の一線・二線都市は市場競争が激しく、コーヒー事業で大きく成功するには地方市場が大きく鍵を握るという。
これほど厳しいマクロ環境で初めて四半期ベースの黒字を達成したことで、luckin coffeeは自社の事業モデルが成功だったことを証明したが、現状を維持するのは決して簡単ではない。
コロナ禍の再燃が店舗運営にもたらした打撃は明らかだ。luckin coffeeの郭瑾一会長は決算発表後のカンファレンスコールで、luckin coffeeの店舗は3月に1日平均約700店が休業措置をとったと明かした。決算発表前には1日あたり950店にまで増えている(大まかな統計では、luckin coffeeは上海市で約500店を展開する)。投資銀行の予想では、luckin coffeeは今後、四半期ベースで4億元(約76億円)以上の営業損失を出す可能性がある。
原材料の値上げにも苦しんでいるようだ。米インターコンチネンタル取引所(ICE)のデータによると、5月25日までにコーヒー先物(アラビカ種)は1ポンド223.5セント(約290円)と4.8%上昇し、11年11月以来最高となった。これは世界最大のコーヒー生産国ブラジルで生産量が落ちたことと関係している。ブラジルでは昨年、コーヒー豆の収穫期に相次いで干ばつや霜害に見舞われ、前年比20%の減産となった。luckin coffeeは設立以来、エチオピアやブラジル産のアラビカ種の生豆を使用しており、当四半期の原材料費は83.2%も増えて9億8320万元(約190億円)となっている。
(翻訳・山下にか)
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