ロケットで「全世界1時間配送」、中国EC「タオバオ」が2022年に初の打ち上げを目指す

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ニューヨークで買ったテスラのスーパーカーが40分後に上海に届いたり、東京の水産市場で買ったクロマグロが15分後には食卓に上ったり……。そんなオンラインショッピングは夢物語だろうか。中国の大手EC「タオバオ(淘宝)」は、配送ロケットを使ってこれを実現しようとしている。

タオバオは今月1日、民間の宇宙開発企業「藍箭航天(ランドスペース)」とロケットによる配送プロジェクト「宝箭計画」を立ち上げたと発表。折しもこの日はエイプリルフールだったが、単なる冗談ではないようだ。同社は、再利用型ロケット(着陸後に機体を回収し、再び利用する)による商品配送を2022年に実現するとの目標を掲げている。「全世界1時間配送」は遠くない将来、オンラインショッピングの標準サービスになるかもしれない。

タオバオのロケット配送プロジェクトは2段階に分かれているという。第1段階では大型ロケットを投入して全世界1時間以内での配送を実現する。第2段階ではロケットの小型化を実施。ビルなどの屋上で離着陸を可能にし、秒単位の国内配送を実現する。

ロケット配送は現実のものになるのか?

「ロケットで配送」と聞くとまるでSFの世界のようだが、近年は再利用型ロケット関連の技術や産業が徐々に成長を遂げており、実現不能とも言い切れなくなっている。

米宇宙開発スタートアップ「スペースX」は2016年、「ファルコン9」の着陸・回収に成功し、続く2017年には再利用型ロケットを用いた大陸間旅客輸送計画を発表している。中国の宇宙開発大手「中国航天科工集団(CASIC)」も近年、再使用型ロケットの機体回収に成功している。機体の再利用が実現すると、ロケット発射費用は99%も削減できる。

「ファルコン9」の着陸

中国の宇宙開発産業は60年以上の歴史を誇り、近年は官民の協力関係も進んでいる。前出のランドスペースや「零壱空間(One Space)」など、民間企業も次々とロケット打ち上げに成功しており、再使用型ロケット技術の開発を進める企業も現れている。

タオバオとランドスペースによる「宝箭号」は現在、試験機の組み立て段階に入っている。試験機は全長31メートル、直径2メートル、最大離陸重量250トンで、輸送能力5~10トン。2022年に初の打ち上げを予定している。

組み立て中の「宝箭号」試験機

宝箭号は2段式ロケットで、2段目のエンジンを用いて商品を輸送する計画だ。垂直発射した直後に2段目のエンジンが噴射し、大気圏外へ出る。方向やスピードを随時調整しながら垂直着陸を行う。

宝箭号の2段目
宝箭号の弾道想定図

宝箭号の飛行時最高速度は秒速7キロ。ニューヨークから上海まで40分、東京から四川省の成都まで15分で到達する計算だ。輸送量が拡大すれば、米国・日本・韓国が無料配送エリア圏内に入る可能性もある。

2025年までには、国内輸送での利用を想定した小型ロケットの開発準備にも入る。小型機が実用化すれば、30キロ圏内なら60秒で配送でき、ビルの屋上で離着陸が可能になる。ECで注文した商品が、住んでいるマンションの屋上で受け取れるのだ。

ロケット配送、実現までの3つの障壁

再使用型ロケットの実用化以外に、ロケットによる商品配送の実現にはいくつかの問題点がある。

■離着陸の精度:指定された送付先に正確に到着することが求められる。技術的には難易度の高い問題だ。ただし、中国が自主開発した衛星測位システム「北斗(Beidou)」は高精度であり、これに画像識別技術などをかけ合わせれば早期の実現は可能だろう。

■発射場:現在、民間機が発射できる施設は限られている。ただし、上海航天技術研究院(SAST)は移動発射台での発射試験に成功しており、将来的には固定の場所から発射する必要がなくなる可能性がある。

ビルの屋上で商品を受け取れる日も遠くない(イメージ図)

■管制システム:ロケットの運行には、飛行機よりさらに厳密な管制システムが求められる。しかし、ドローンがたどった歴史が表すように、最初は限定エリアでの試験運用を行い、それを徐々に拡大していけばよい。

タオバオを運営するアリババグループは、これまでにもエイプリルフールのジョークかと思える奇抜なアイディアを次々と事業化してきた。顔認証による決算、VRを活用したショッピングなど、技術の革新によって、夢を次々と実現させてきているのだ。
(翻訳・愛玉)

中国映画「流浪地球(The Wandering Earth)」より

 

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