リモート会議向けスマート設備の需要拡大、中国新興企業 20億円超を調達

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リモート会議用スマート設備を手がける「蛙声科技(Washeng Technology、Auditory Works)」が、シリーズBで1億元(約20億円)超を調達した。「金浦投資(GP Capital)」がリード・インベスター、「遠望資本(iVision Ventures)」、「GGV Capital(紀源資本)」、「昊辰資本(STARLIGHT CAPITAL)」など既存株主がコ・インベスター、「万世資本」が単独で財務アドバイザーを務めた。

蛙声科技は2018年に設立され、会議用マイク、カメラ、一体型機器などの製品を手がけ、「Hamedal」、「NEARITY」、「Nuroum」の3ブランドを展開する。

蛙声科技の創業者である辛鑫CEOは、過去1年間の重点業務3つを説明した。1つ目は、中国国内のオフライン市場で販売ルートの拡大を加速し、製品の価格帯を低価格から高価格に拡充した。販売では、中国最大のIT製品販売代理店「神州数碼(Digital China)」と提携。販売チームや提携する代理店の規模は大きく、GDPが1兆元(約20兆円)以上の全国の都市をほぼ網羅する。

2つ目は海外のオフライン市場の開拓だ。蛙声科技は2021年下半期から海外市場に参入しており、現在北米や欧州の事業は順調だ。今後はオーストラリアや日本などその他の先進国でも代理店やインテグレーターを開拓する予定。3つ目はオンライン市場で、中国EC大手「京東集団(JDドットコム)」やアマゾンで個人向け製品やSMB製品を販売する。

同社は2022年にHamedalブランドのHP20ノイズキャンセリングヘッドホンおよびHamedal初のテレビ会議用機器WT400を発売した。そのうち、WT400はインテルのCorei5プロセッサーを搭載し豊富なインターフェースを備える。既存のテレビ会議システムとの互換性があり2つの画像出力が可能なため、会議でファイルと画像を同時に画面に映すことができる。

このほか、蛙声科技は1年かけてオンラインホワイトボードNearhubを開発した。ユーザーはSaaSプラットフォームを使用しリアルタイムで画面越しのやり取りができ、8月末に発売予定だ。

辛氏は「最初にハードウエア製品で顧客を獲得し、その後ソフトウエア商品で顧客のロイヤリティーを高めていく。商品ラインをハードウエアからソフトウエアに広げているのはそのためだ」と話す。

辛氏は、蛙声科技の技術、販売、チームは同業他社に比べ差別化できており、優位性があるとみる。技術では、音声や映像のアルゴリズムのほかAndroidを使用し、一定のSaaSに関する技術も備える。うち映像技術では、人工知能(AI)による発言者追跡技術と画像をリアルタイムでシームレスに並べる技術を自社開発し、発言者を追跡しながら全ての会議参加者の画像を映し出す。

音声技術ではフルデュプレックス(双方向で同時に情報伝達が可能な通信方式)に対応した音声技術を開発、同時にノイズキャンセリングおよび残響、反響の抑制などのAIアルゴリズムを構築し、AIによる音声処理技術と従来の音声信号のフロントエンド処理技術の融合を加速した。

蛙声科技の2021年の売上高は前年比で6倍に増加。売上高の大部分が実店舗経由で、うち会議用マイクやカメラ製品が全体の6~7割を占める。主にZoom、Google Meet、中国IT大手テンセント(騰訊)のビデオ会議プラットフォーム「騰訊会議(Tencent Meeting)」、Microsoft Teamsなどで使用される。20~23年の売上高年平均成長率は320%と予想される。21年の売上高は海外市場が5割を占めた。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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