バイトダンス オールインワン型VRヘッドセット「PICO 4」を世界に向けて発売

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バイトダンス オールインワン型VRヘッドセット「PICO 4」を世界に向けて発売

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TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)がVRヘッドセット製造の「Pico Technology(小鳥看看科技、以下PICO)」を買収してから389日。PICOの創業者である周宏偉(Herry Zhou)氏がついに新製品「PICO 4」と「PICO 4 Pro」を携えて登場した。今回の発表会は全て英語で行われ、新製品を世界に向けてアピールした。

PICOは2015年設立。モバイルVRハードウェアとコンテンツプラットフォームに注力し、21年8月にバイトダンスに買収された。米調査会社IDCのデータによると、今年第2四半期、中国市場のVRおよびARハードウェア出荷台数は合計で30万9000台だった。そのうちVRの出荷台数は29万7000台で、前期比13.8%増となっている。今年上半期、PICOの出荷台数は約35万台で、中国国内のシェア約62.5%を占めている。

米メタが2年前に発売し大人気を博したVRヘッドセット「OCULUS Quest 2」は本体重量が約503グラムとなっているが、PICO 4はパンケーキレンズを採用し、デザインを改善したことで本体重量をわずか295グラムに抑えた。筐体の厚みは最薄部で35.8ミリメートルだ。

PICO 4は一つ前のモデル「PICO Neo 3」に比べPPI(1インチあたりの画素数)を50%以上向上させ、最大で1200PPIとした。PPIはVRヘッドセットの解像度を決める重要な指標の一つで、PPIの数値が大きいほど、画素が高密度に並びひとつひとつの画素が目立たない。そのほかPICO 4の解像度は4Kを超え、リフレッシュレート(1秒間に画像を切り替える回数)は最高90ヘルツだ。

追従性の向上とコンテンツエコシステムのアップグレードもPICO 4の目玉だ。PC接続型やスマホ取付型のVRゴーグルは、トラッキングには一般的に「Outside-in(外の空間にカメラを設置し、VRヘッドセットを観測することでトラッキングを行う)方式」を採用しているためベースステーションを置く必要があるのに対し、一体型のVRヘッドセットは「Inside-out(VRヘッドセット側にカメラを搭載し、外界を観測することでトラッキングを行う)方式」を採用、ベースステーションを置く必要がない。Inside-out方式ではヘッドセットのカメラがSLAM(自己位置推定)アルゴリズムでバーチャル空間での位置確認を行う。しかしカメラがヘッドセット側にあるため、背後の死角などがあるとバーチャル空間での位置確認の精度に影響する。そこで通常はカメラの数を増やしたり品質を上げたり、アルゴリズム能力を向上させることで解決する。

今回PICO 4はヘッドセットのフレームに4基のSLAMカメラを内蔵。さらに手や足に装着可能なモーショントラッカーも発売する。足に装着すれば揺れや傾斜、蹴りなどの動作をモニタリングすることができ、AIアルゴリズムを補助的に使用することで全身の姿勢を予測することが可能で、トレーニング中のトラッキングが容易になる。さらに「PICO Fitness」というプログラムで消費カロリーを把握することができる。ユーザーが自身のデータを入力すると、運動やゲームの時間と強度からリアルタイムで消費カロリーが計算される。ランキングやバッジによりユーザーがVRを利用してトレーニングをする意欲を起こさせる。PICO Fitnessは米アップルのヘルスケアアプリ「Apple Health」にも対応しており、バーチャル世界と現実世界での運動データを組み合わせることができる。

PICO 4発表会より:PICOモーショントラッカー

コンテンツエコシステムに関して、「PICO OS 5.0」はこれまでで一番大規模な更新を行った。ユーザーインターフェース(UI)を更新し、VRのインタラクション体験を向上させるため、PICO 4は世界でも大人気のバーチャルSNS「Rec Room」に対応する予定だ。また独自にバーチャルSNS「Project PICO Worlds」を構築する。そしてPICO 4は6DoFの空間ポジショニングにより手部の識別でユーザーの姿勢を正確にトラッキングすることが可能だという。コントローラーを使わない手の動きだけでギター演奏やバスケットボールのシュートなどの動作を行う際の識別精度がさらに高くなっている。

PICO 4発表会より:コントローラーを使わずにギターが演奏できる

さらにPICO 4は「PICO Video」をリリース、世界トップのVRエンターテインメント企業「Wave」と提携して世界でも有名な芸能人とライブを行う。またドキュメンタリー制作大手の英「Discovery」と提携して人気番組「MAN vs. WILD」のVRバージョンを制作。エド・スタッフォード氏によるアフリカ探検を撮影している。

ゲームではPICOは来年にも仏ゲーム大手「ユービーアイソフト(Ubisoft Entertainment)」の音楽ゲームのVRバージョンである「ジャストダンスVR版(Just Dance VR)」を独占販売する予定だ。また「ウォーキング・デッド」「ピーキー・ブラインダーズ」などの人気ゲームにも対応していく。

PICO 4の海外販売価格は128GB版が429ユーロ(日本販売価格は4万9000円)、256GB版が499ユーロ(日本販売価格は5万9400円)で、PICO 4 Proの海外向け販売価格は未公開だ。

現時点での情報から見ても、PICO 4は今年メタにとって手強いライバルとなりそうだ。あるメディアは以前、PICOは今年VR製品の目標出荷台数を120万台に設定しており、そのうち下半期の目標出荷台数は80万台で、PICO 4シリーズが今年の主力製品となる見込みだと報道している。

PICO 4(左)とPICO 4 Pro(右)

今回の発表会ではPICO 4 Pro(主に企業や開発者向け)の一部情報も明らかにされたが、発売時期は未定だ。Proバージョンでは3つの赤外線カメラを内蔵して高精度のアイトラッキングやフェイストラッキングを実現するという。赤外線カメラを利用することにより顔面の筋肉の些細な変化から52パターンの表情を識別でき、メタバースでユーザーの表情をバーチャルに再現することが可能となる。

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(翻訳・山口幸子)

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