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欧米で電動アシスト自転車「e-Bike」が短距離移動の手段として流行している。e-Bikeは短距離の移動や通勤の需要に応えている上に、移動時の炭素排出を削減するという世界的トレンドにも合っている。
あるデータによると、欧州・北米市場のe-Bike販売台数は2017年の250万台から21年の640万台に4年間で156%増加した。欧州自転車製造者協会などの予測によると、20年に世界で700万台前後だった電動自転車の販売台数が、25年には欧州市場で1200万台に上り、増加率は年平均20%以上となる見通しだ。
国際市場の競争において、中国のe-Bike企業が海外進出で目覚ましい実績を残している。一部のブランドは、商品を中国の消費者向けに展開することは計画しておらず、主に海外で販売する方針だという。
設立から1年の電動自転車ブランド「ADO」は西欧で売れ行きが良く、現在は50社以上の海外代理店と提携している。ADO創業者のSen氏は「以前は電動自転車を買うのに3000ユーロ(約43万円)かかったが、今は中国ブランドの製品が2000ユーロ(約29万円)で買える上、その性能、品質、サービスなども優れている」と話す。
同じく中国系ブランドの「大魚智行(DYU)」は欧州と中国に生産ラインを設けている。創業者の馬宇馳CEOによると、同社は2021年に米国で90万台のe-Bikeを販売し、市場シェアが約35%だった。現在は中国メーカーが輸出するe-Bikeのうち大魚智行の輸出台数が最も多いという。
なぜ中国企業が業界をリードしているのか。まず、中国にはe-Bike生産の技術的な優位性が備わっている。中国企業はここ数年、モーター、バッテリー、コントローラーの分野で急成長している。電動アシスト自転車のコア技術はバッテリーとトルクセンサーにある。バッテリーは主に航続距離の長さに影響し、トルクセンサーは技術的なハードルが高い精密な技術として電動アシストの性能を大きく左右する。現在国際的に知られているモーターメーカーはヤマハとパナソニックだ。中国の八方電気(Bafang)も成熟したトルクセンサー技術を有しており、すでに世界トップクラスの電動アシストモーターメーカーとなって多くの国際ブランドと提携している。
また、中国は世界三大自転車サプライチェーン拠点の一つで、e-Bikeを生産する土壌がある。海外高級自転車ブランドの主要なOEM(相手先ブランドによる生産)拠点の一つとして、華東の江蘇省、華南の広東省、華中の天津市を中心に自転車OEMの三大拠点を形成している。
生産に適した中国の産業基盤に加え、コロナ禍による短距離移動の需要などマクロ環境における要因も中国のe-Bikeブランドによる海外展開を後押しした。
欧米では炭素排出量削減のため、電気駆動による短距離移動手段の購入を促進する補助金政策やカーボンクレジット政策が導入されている。例えば、米国では電動自転車を購入する際に最大1500ドル(約20万円)の補助金を受け取れることを定めた法案が可決されたほか、ドイツのミュンヘンなどでは電動自転車の購入に最高500ユーロ(約7万2000円)の補助金が交付される。
最近は「投資王」と呼ばれている中国テック大手のテンセント(騰訊控股)も同分野に目を向けており、11月にe-Bikeブランド「TENWAYS」を展開する「深圳市十方運動科技」に出資した。深圳市十方運動科技はそれ以前にもプレシリーズAで高瓴創投(GL Ventures)から資金を調達。立ち上げから1年でオランダに販売本部を設立して200カ所以上の実店舗を構え、オンライン販売も好調だ。
世界的な家電製品の主要拠点としてサプライチェーンと製造の優位性を持つ中国からe-Bikeの世界的ブランドが誕生する可能性は高い。しかし今後、e-Bikeは家電業界のように価格競争の中でブランドの標準やサービスの形態を構築することになるかもしれない。中国企業が本当の「Made in China」として海外市場で地位を築くには、製品やサービスなどで強力なブランドを確立するしかない。
(翻訳・大谷晶洋)
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