「SHEIN」のプラスサイズ版〜北米展開のアパレルD2Cブランド「BloomChic」、LVMH系「Lキャタルトン」から資金調達

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「SHEIN」のプラスサイズ版〜北米展開のアパレルD2Cブランド「BloomChic」、LVMH系「Lキャタルトン」から資金調達

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プラスサイズの女性に特化したファッションブランド「BloomChic」がシリーズAでLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン系の投資会社「Lキャタルトン(L Catterton)」から出資を受けたことがわかった。

BloomChicは中国で有名なカジュアルファッションブランド「美特斯・邦威(Meters Bonwe)」創業者の周成建氏を父親に持つBill Hu(胡周斌)氏が、2021年3月に北米で設立したブランドだ。プラスサイズのレディースファッションに照準を合わせ、D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)のビジネスモデルを展開する。

プラスサイズとは通常14号(米国サイズ。日本のLLサイズにほぼ相当)以上を指す。ニッチな分野に思えるが、実際には1000億ドル(約13兆円)近い規模の成熟したファッション市場だ。プラスサイズのレディースファッションを手掛ける米上場企業「TORRID(トリッド)」の目論見書によると、北米の女性向けプラスサイズファッション市場は19年には850億ドル(約11兆円)に達しており、26年には1200億ドル(約16兆円)に達する見込みだという。年平均成長率は標準サイズのレディースファッションの2倍だ。一方で、米国の肥満率は07年の33.7%から17年には42.4%に上昇しており、10年から15年の間でプラスサイズを購入する若者の割合は16%から34%に上昇した。

プラスサイズの人々がこれほど多いにもかかわらず、これまではトレンドの隅に追いやられ、ニーズが十分に満たされてこなかった。過去にはスウェーデンのファストファッションブランド「H&M」や米GAP傘下「Old Navy」など大手ブランドがプラスサイズファッションに参入したこともある。しかし、H&Mは16年に店舗でのプラスサイズファッション取り扱いをやめると発表。21年に大々的にプラスサイズのレディースファッションに参入したOld Navyもわずか13カ月で店舗からすべてのプラスサイズ向け商品を撤去している。

BloomChicのイベント

大手ブランドが惨敗していることから、プラスサイズファッションは標準サイズの洋服をそのまま大きくすればいいわけではないということがわかる。プラスサイズを着用する人々の体型には定型がなく、パターンのデザインや体の各部分に合わせた設計などをより複雑に考えなければならない。プラスサイズファッションはちょうどよいサイズ感とフィット感などの機能性が最重要だが、このほか見た目の美しさも実現して初めてファッション性が備わる。

そのほか、プラスサイズファッションの特殊性は最大30号(米国サイズ)までというそのサイズ展開の豊富さにある。店舗では標準サイズのレディースファッションは通常4サイズ展開だが、プラスサイズでは11サイズ以上になることもある。在庫管理の複雑さや売れ行きが予測できないリスクなどが店舗にとってネックとなっている。

BloomChicでは中国で盛んになっている短納期で小ロットを生産する柔軟性のある方式を採用。それに加え、成熟したEC(電子商取引)モデルも、プラスサイズ市場に参入する際の強みとなった。このほか、同社は米国の現地チームを活用して定期的にイベントを開催し、顧客との交流を行っている。21年には「Plus Bus」というイベントを開催。現地ブランド数十社と提携し、4500人以上の消費者を招待した。設立初期にはユーザーを従業員として採用し、よりリアルなニーズに応えた商品作りを実現している。

集客面も好調だ。ウェブサイト分析ツールSimilarwebのデータによると、BloomChicのサイトは22年5月にアクセス数が爆発的に増加しており、同年9月にはアクセス総数が115万件となった。新たに運用を始めた動画投稿アプリTikTokのフォロワー数は70万4700人、「いいね」数は380万件となっている。

将来的に実店舗を展開するかという点について、Hu氏は5年以内には考えていないと話す。実店舗の難点は、サイズ展開が豊富なためSKU(在庫保管単位)が非常に多くなってしまうことだ。ファッション業界では流行は移り変わりも早く、在庫管理のリスクが大きい。同じ200平方メートルの店舗で、1着の洋服を3サイズ展開するのと10サイズ展開するのでは、管理の難度と複雑さが大幅に上昇するためだ。

(翻訳・山口幸子)

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