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日本最大級成長産業カンファレンス『FUSE』が12月14日に開催された。東京都内で実施したピッチ大会「DIVERS」では、世界展開も視野に入れた日本を代表するスタートアップ31社が登壇した。大賞に選ばれたのは、新興国の低所得者向けに小口融資(マイクロファイナンス)サービスを提供する五常·アンド·カンパニーだった。
『民間セクターで世界銀行を作る』をスローガンに2014年に創業、経済的に不安定な状況にある世界中の人々が良質で低コストの金融サービスへアクセスできるよう支援するインパクトスタートアップだ。既にインドやミャンマーなど5カ国で約140万世帯に1000億円以上を融資した実績を持ち、2030年までに50カ国1億人にサービスを提供する目標を掲げる。彼らの顧客は途上国で働くお母さんが中心で、マイクロファイナンスを利用することで食費や教育費を充足させることができる。
同社はM&Aとテクノロジーにより成長スピードを加速、デジタル化によるグループ会社のガバナンス強化や、ペーパレス化·キャッシュレス化による営業生産性の向上など、従来型のマイクロファイナンス機関との差別化を図っている。また、日本の低金利環境を活かした資金調達力も強みの一つで、コストの抑制が可能となっている点も日本発スタートアップならではの強みだ。
融資残高、売上高が倍々で成長し、2022年度はすでに190億円の売上と黒字化を見込むが、堅田航平最高財務責任者(CFO)は「五常はまだ『アーリー(創業初期)』段階の会社だ」と強調する。
背景として世界にはまだまだ非常に巨大な市場があることを挙げた。金融包摂事業の潜在市場は40億人、中小ビジネス融資の需要充足率は23%、不足額は100兆円とも言われる。五常の規模はまだ0.1%で成長余地が非常に大きいということだ。
今回、審査に参加したレジェンドキャピタルの楊氏は、「中国のスタートアップの特徴として比較的短期のトレンドに左右される傾向にあるが、日本のスタートアップの中には同社のような世界の複雑な社会課題に取り組み長期視点で理想を追求する企業も出てくるので、ロマンがあって日本らしい」とコメントした。
同社は海外の著名な投資家からの資金調達にも成功しており、今後も継続して海外投資家も含めた資金調達を推進する予定だ。先進国である日本のスタートアップ投資を通じて、新興国へ投資ができるということで、他にはない魅力ある投資案件となるだろう。
(36Kr Japan編集部)
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