国産弱小メーカー「匹克」、スニーカー市場に風穴を開けられるか?

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国産弱小メーカー「匹克」、スニーカー市場に風穴を開けられるか?

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中国で売れているスニーカーに中国国産メーカーの商品はどのくらいあるだろうか?オンラインショップの売れ筋ランキングを見ても、ナイキやアディダスなど海外メーカーの商品ばかりが並んでいる。

こうした中、技術力で市場に食い込もうと奮闘する中国メーカーがある。昨年末、ミッドソールに特殊技術を施した「態極(TAICHI)」シリーズを発表した「匹克体育(PEAK SPORT PRODUCTS)」だ。SNSで話題に火が着き、売れ行きも好調だという。

中国のあるスニーカー愛好家は、「アディダスやナイキにやられっぱなしだった現状に対し、国内メーカーがコピー製品に頼ることなく、技術力で勝負をかけた点は評価する」と話す。ただし、「機能性やデザインの面で若干劣ることは否めない」ともこぼした。

過去半年で、匹克は8モデルもの新商品を発表してきた。価格帯は329~429元(約5200~6700円)だ。今年4月に発表した新商品は、大手ECモール「天猫(Tmall)」で、3日間で3万足を売り上げている。しかし、アディダスのコラボシリーズ「YEEZY Boost 350V2“Triple White”」が昨年、中国で発売された際には、1899元(約3万円)という価格にもかかわらず、わずか3分間で3万足が売れた。匹克とはスケール感が違う。

それでも、匹克が中国スニーカー市場のダークホースとして注目されつつあるのはなぜだろうか?

競争力はブラックテクノロジー

2016年11月に香港上場を廃止した匹克は、近年は低空飛行が続いていた。同年上半期の売上高は12億9800万元(約200億円)で、国産スニーカーとしてはトップブランドの「安踏(ANTA)」、「李寧(LI-NING)」、「特歩(XTEP)」などから大きく水をあけられていた。

市場で生き抜くために戦略転換を迫られた匹克は、デザインやコストパフォーマンスよりも技術力を戦略の中心に据えた。ロサンゼルス、北京、アモイ、泉州などにR&Dセンターを設け、今年4月、西安に新素材に特化した開発拠点を置いた。同社は2017年の1年間だけで、研究・開発費として1億2000万元(約19億円)を割いている。態極シリーズに採用したミッドソールは開発に32カ月をかけており、運動状態によってクッション性や反発性が変化する機能を備えているという。

ミッドソールは、スニーカーの機能性を左右する中核的存在だ。各国の大手メーカーもそれぞれ独自のテクノロジーを有している。とくに、アディダスが打ち出した新素材「BOOSTフォーム」は、同ブランドのシェアを大きく伸ばすことに貢献している。

匹克はこれまで、三~四級都市の学生層をターゲットとした低価格商品を主力としていたが、態極シリーズによって対象購買層を大きく転換した。同社CEOの許志華氏によると、同シリーズを実際に購入したのは、上海、北京、広州などの大都市在住者が上位を占め、年齢層では18~24歳が多かったという。

態極シリーズ以外にも、匹克は3Dプリントスニーカーも発表している。売れ行きは良くないが、テクノロジーを追究するブランドの姿勢はしっかりとアピールできている。

今ドキのマーケティング戦略で成功

技術面で革新を図ったこと以外に、匹克はマーケティング戦略でも正しい選択をした。従来のテレビから、短編動画アプリ「TikTok」や動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」、中国版ツイッター「微博(Weibo)」などに舞台を移し、スターアスリートを起用するのではなく、KOL(Key Opinion Leader)など多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーを採用して、消費者とインタラクティブな関係を築く方針に転換したのだ。こうしたマーケティング戦略の一環として、CEOの許志華氏自らの露出も増やしている。

あるインフルエンサーがビリビリ動画で公開した態極シリーズのレビュー動画は、再生回数32万8000回、コメント数5万1000件を記録した。

ビリビリ動画で公開された商品レビュー動画

また、TikTokのレビュー動画は、商品購入ページへ直接リンクできるようになっている。

TikTokで公開された商品レビュー動画一覧
TikTok動画から商品購入へのリンク

匹克は、同ブランド製品を批判するレビューにも敏感に反応している。欠点を指摘するユーザーの意見を即座に吸い上げ、すぐに次世代製品に反映させるのだ。また、ECモールの天猫などとコラボ製品を展開したり、電子製品メーカー「シャオミ(小米科技)」が展開するECモール「小米有品」と戦略的提携関係を築くなど、他社との協業にも積極的だ。

また、「海外ブランドを妄信せず、国産製品を支持しよう」という若者のトレンドも、匹克の復調には大きく貢献したと言える。
(翻訳・愛玉)

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