日本・ヤーマンの美顔器、中国市場で絶好調。コスパ勝負の中国メーカーとの闘いの行方は

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中国で売れ筋の美容機器の多くは海外製品で、日本のヤーマンとDr.Arrivo(ドクター アリーヴォ)、イスラエルのTriPollar(トライポーラ)が中国市場でシェアトップ3を占めている。そのうちいち早く上場したのはヤーマンだ。

美容機器を手掛けるヤーマンは1978年に日本で設立された。まず業務用脱毛器に取り組み、日本で初のレーザー脱毛器を開発した。2013年10月、若い女性のホームエステに対する需要に狙いを絞り、初代の家庭用高周波美顔器を発売した。15年に発売された業務用美容機器はさらに赤色LEDを採用、肌をきれいにし、アンチエイジングや肌のキメを整え毛穴を収縮させるなどの機能を備え、大ヒット商品となった。その後売り上げは増加の一途をたどり、日本トップの美容機器ブランドへと成長した。

ヤーマンは海外市場を視野に入れるようになり、東アジアや東南アジア、北米に販路を広げた。中国市場に参入したのは15年のことだ。

手つかずだった中国の美容機器市場で、ヤーマンは急拡大のチャンスをつかんだ。日本市場とは異なり電子商取引(EC)を重視し、アリババ系ECプラットフォーム「天猫(Tmall)」に旗艦店を開設。ありとあらゆるSNSでマーケティング活動を展開し、瞬く間に知名度を上げて天猫の美容機器カテゴリで売り上げトップとなった。

天猫の美容機器売上高ランキング

ヤーマンと同時期に、TriPollarや日本のReFa(リファ)、パナソニック、Dr. Arrivoも中国市場に参入した。中国の美容機器市場は20年から勢いづいている。「AMIRO(覓光)」や「MeSmooth」、「femooi」といった中国系ブランドも続々と市場に参入した。

美容機器業界の発展に伴ってヤーマンの出荷量は毎年増加し、業績は過去最高を更新し続けた。売上高は20年4月期に229億7500万円だったのが22年4月期に409億4300万円に、営業利益は25億円から68億8000万円に拡大、粗利率は61%に達した。このほど公表された22年5〜10月期の売上高は265億6800億円で、前年同期比27%の増加となった。営業利益は53億6700万円と、同37%増加した。

ヤーマン Notice of Revisions to Forecast

ヤーマンは中国など海外市場で売り上げを伸ばし続けており、海外部門の貢献度が次第に高まっている。20年4月期の49億円から22年4月期には145億円となり、売上高に占める割合は21%から35%に増えた。

中国製美顔器の台頭

日本ブランドに比べ中国メーカーのスタートは遅かったが、20年になると中国の美容機器業界は急拡大した。コロナ禍で実店舗での施術に対するニーズが減り、ホームエステが新たに注目を浴びて、美容機器ブランドに資金が集まるようになった。多くの投資機関が次々に資金を投入し、1億元(約20億円)を超える資金を調達するメーカーも出てきた。

例えば「AMIRO」はこれまでに5度資金を調達している。直近では22年9月にテンセントなどから数億元(数十億円)を調達した。「COSBEAUTY(可思美)」は4度資金を調達、出資者にはスマートフォン・IoT家電大手「シャオミ」傘下の投資機関も含まれる。

出だしは遅れ、研究開発の力も海外大手メーカーに及ばないが、中国ブランドには明らかに優位な点がある。それはコストパフォーマンスだ。ヤーマンやTriPollarの製品価格は4000~5000元(約8~10万円)に集中しており、定価がさらに高いDr.Arrivoになると1万元(約20万円)程度の商品も多い。

しかし中国メーカーの製品なら、売れ筋商品の価格はほぼ4000元(約8万円)を超えることはなく、安いものは数百元(数千円~2万円程度)レベルだ。例えば、AMIROで最も売れている美顔器の価格は約2400元(約4万8000円)で、1カ月に1万個以上を売り上げる。目元ケア用ならセール価格で1499元(約3万円)と、2399元(約4万8000円)のヤーマンの製品よりも手頃な価格だ。MeSmoothで1カ月に1万個以上売れている製品は400元(約8000円)しない。

中には売り上げが海外ブランドを超えた中国ブランドもある。22年の11月11日に開催された中国最大の通販セール「独身の日(ダブルイレブン)」では、ヤーマンの売上高が3億4100万元(約70億円)で断然トップだが、中国ブランドでもAMIROと「FLOSSOM(花至)」がトップ5に食い込んだ。

Tmallの売上ランキング

参入メーカーが増えてくると、問題も生じる。過度なマーケティング、そして均質化だ。各社に技術の面で大きな違いがないうえに所構わず販促に励んでいれば、美容機器はマーケティングやプロモーション偏重で研究開発がおろそかにされているという烙印を押されてしまう。例えばヤーマンでは、21年4月期の販売費および一般管理費は173億円に上り、売上高の半分近くになるが、研究開発費は約4億円で売上高の1%ほどに過ぎない。

また、美容機器には長い間業界標準が存在せず、セルフケア用家電とカテゴライズされ、医療機器として中国国家薬品監督管理局(NMPA)に監督管理されるものではなかった。NMPAは昨年3月、高周波治療器や高周波皮膚治療器について、第三類医療機器として管理すると発表した。これらの製品は、24年4月1日以降は法律に定められた医療機器としての登録証を取得しなければ生産・輸入・販売してはならないことになる。

多くの新製品と同様に、美容機器もスタートアップ企業が資金を調達して市場参入のスピードを加速し、シェアを獲得しようとしている。無秩序な市場の拡大を経て業界が規範化に向かい、生き残りをかけた激しい競争が繰り広げられることになるだろう。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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