中国発ファストファッション「SHEIN」、22年の売上高は約3兆円 米IPO計画も加速か

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ編集部お勧め記事注目記事

中国発ファストファッション「SHEIN」、22年の売上高は約3兆円 米IPO計画も加速か

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国発ファストファッションブランドSHEINが米国で上場すると再び報じられた。SHEINはこれまで業績などの情報をほとんど公開しておらず、売上高やとりわけ利益に関してはベールに包まれたままだった。しかし上場を目指すにあたり、このほど優秀な「成績表」を提出した。

英フィナンシャル・タイムズによると、SHEINは投資家向けのプレゼン資料で2022年の売上高が前年比52.8%増の227億ドル(約3兆600億円)、GMV(流通取引総額)が同50%増の約300億ドル(約4兆400億円)、純利益が同36%減の7億ドル(約940億円)で、4年にわたって黒字で推移していると明かした。

この資料には、売上高を2025年までに現在の倍以上にあたる585億ドル(約7兆8800億円)にすると記されていたという。この数字はSHEINの二大ライバルであるH&MとZARAの年間販売額を足した額だ。

一貫して順風満帆と見られているSHEINだが、最近では「疲弊」の色も見える。1つは上場前の最新ラウンドとして進めている資金調達で評価額がピーク時の3分の2にあたる640億ドル(約8兆6200億円)をつけたと報道されたこと、もう1つは2020年までの8年間は売上高の伸びが100%以上で推移したきたものの、22年に初めて減速に転じ、利益も減少したことだ。

25年までに目標を達成するため、SHEINの幹部は従来の販売モデルを大きく改善するとしている。方針は以下の3つだ。

1)よりバラエティに富んだ商品を展開する(more diverse clothing lines)
2)より高価格帯の商品を展開する(expensive clothing lines)
3)より多くのリピート客を獲得する(repeat customers )

SHEINは膨大なSKU(品目を数える最小単位)を展開し、しかもそれが順調に回っている。1日に約5000点、多ければ8000点の新商品を発売しており、その数はH&MやZARAを大きく上回る。新発売される1日あたりのSKUは向こう2年でさらに多くなり、さらにバラエティ豊かなデザインを展開できるようになるだろう。

2つ目の方針「より高価格帯の商品を展開する」についてだが、欧米の消費者の間ではSHEINは「中国のリーズナブルなファッションブランド」との認識がすでに定着している。実際に商品価格はH&MやZARAよりも安い。売れ筋商品の価格帯はおおよそ5〜25元(約97〜490円)で、H&Mの9.99〜50元(約195〜970円)、ZARAの35.9〜400元(約700〜7790円)より大幅に安い。ここで安易に値上げに走ればブランドに傷がつくだろう。自社のこうした立ち位置を熟知しているSHEINは、現在よりも高価格帯のプレミアムライン「MOTF」を別ブランドとして立ち上げた。今後より高価格な商品を売っていくには、MOTFの展開に力を入れること、また「さらにハイエンドな」ブランドを立ち上げることが必要になるだろう。

3つ目の方針「より多くのリピート客を獲得する」については、2022年にSHEINを利用した1億4200万人の顧客のうち約60%が初めての利用だったという。25年までには顧客数を2億6100万人にまで増やし、リピート客の割合を60%で維持したい考えだ。しかしSHEINのメイン顧客は18〜34歳で、なかでも18〜20歳代の割合が多い。この層は興味や関心が移りやすく、ロイヤルティも低い。コンサル会社Morning Consulting Brand Intelligenceの調査によると、若年女性のSHEINに対する興味は薄れつつあるという。米国のZ世代(1997〜2013年生まれ)が買い物の際SHEINを利用したいとする割合は22年5月のピーク時は54%だったが、同年9月には39%にまで下がっている。

Temu

注目に値するのは、SHEINが高価格帯商品の販売を試みる一方で、もともと手がけてきた低価格商品の分野でSHEINを脅かす存在が現れたことだ。格安商品を扱うことで知られる中国EC大手「拼多多(Pinduoduo)」がローンチした越境ECプラットフォーム「Temu」がそれだ。

TemuはSHEINと同様、背後に中国の強大なサプライチェーンを抱え、「委託販売モデル」を展開している。Temuが取り扱う商品はSHEINの商品の最低価格を下回るほどで、驚きの安さだ。Temuはローンチしてわずか数カ月ほどだがアプリのダウンロード数でSHEINを抑えて複数回首位に立っており。最初の4カ月で2000万回のダウンロードを記録した。

現段階でTemuのGMVはSHEINの10分の1にも満たないが、強い運営力と親会社である拼多多の財力をもってすると、近い将来かなりの拡散力を発揮して幾何学的な成長を果たす可能性も大きい。

SHEINが今後、Temuと一戦を交えることになるのは間違いない。

中国発の格安越境EC「Temu」、米スーパーボウルCMに19億円。ユーザー急増でSHEINを猛追

原文:WeChat公式アカウント「藍海億観網(ID:egainnews)」

(翻訳・山下にか)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録