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インドのデジタル決済会社「Paytm」総裁やアリババB2B事業責任者を歴任したBhushan Patil氏が、ベンチャーキャピタル「Multiply Ventures」を設立した。共同で設立に携わったのはファッションEC「Myntra」の共同創業者だったRaveen Sastry氏とECプラットフォーム「Flipkart」前ディレクターSanjay Ramakrishnan氏。同社は創業期および成長期にあるインドのベンチャー企業に出資を行うという。
Multiply Venturesは第一号ファンドを組成したところで、主にプレシリーズAとシリーズAで、ニューリテールやオンライン教育、フィンテックの分野に対して出資を行う。同ファンドは中国や日本、東南アジアの投資家から資金を集める。
Bhushan Patil氏は2010年10月からアリババに参加、同グループのB2B事業で責任者を務めた。2016年にアリババを離職してからは、Paytmでオンラインモール「Paytm Mall」事業を担当した。
Bhushan Patil氏によれば、インドのニューリテールは、オフライン購入の際にスマートフォン決済でユーザーを集め、それをオンラインへと誘導するという流れになっており、オンラインの消費をオフラインにつなげるという中国のニューリテールとは正反対なのだという。
教育分野では、2~3年後の四級都市が特に有望だとみる。インドは国民の平均年齢がおよそ30歳と非常に低く、今後5年で学生数は2億5000万人に上るという。教育分野の年平均成長率(CAGR)は約50%で、特にオンライン教育市場の拡大がめざましい。KPMGとGoogleが発表したリポートによると、インドのオンライン教育の市場規模は2021年に19億6000万ドル(約2100億円)に達するという。
Multiply Venturesはベンチャー企業が必要とする起業資金を提供するだけでなく、市場のエコシステム構築にも力を入れている。ベンチャー企業がユーザーを獲得し、小売業者や製造業者と提携できるようサポートしたり、フィンテック企業や卸・小売・貿易系ベンチャーに必要となる許認可(ライセンス)の取得までをサポートしたりするなど、起業家への支援を行う。
アリババでの就業経験がPaytm事業を組織する上で大きな助けになったと、Bhushan Patil氏は語る。また、中国のスタートアップ・エコシステムからも大きな啓発を受けたとのことだ。
人口13億5000万人を抱えるインドは、いまや世界第3位のスタートアップ大国だ。インターネット人口は4億5000万人で、その数は今も増加を続けている。2018年、インドのベンチャー企業は合計45億ドル(約4800億円)を調達し、ユニコーン企業8社が誕生した。インフラのさらなる整備が待たれるものの、インドはベンチャー企業にとってチャンスに満ちている。
共同創業者のRaveen Sastry氏は、Myntraのほかにビジネス用メッセンジャーアプリ「Nudgespot」(後にマーケティングプラットフォーム「Boomtrain」が買収)の設立にも携わっており、20年以上にわたるプロダクトビジネスの経験を持つ。Sanjay Ramakrishnan氏は21年の商取引・マーケティング経験があり、FlipkartやGoogle、インテルなどに在籍した。
(翻訳・畠中裕子)
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