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TikTok中国版「抖音(Douyin)」が運営する電子商取引(EC)プラットフォーム「抖音電商(Douyin Dianshang)」がOTC医薬品のオンライン販売について、正式にライブコマースで取り扱いを始めると発表した。今年1月中旬、まず「九州通医薬集団(Jointown Pharmaceutical Group)」傘下の薬局チェーン「好薬師大薬房(ehaoyao)」がOTC医薬品のライブ配信による販売を開始した。医薬品関連サービスを提供する「賽柏藍」によると、1月17日の初回配信では最大同時接続が24万人となり、一度のライブ配信で5000件から7000件の注文があったという。
ライブ配信での薬販売が大きな盛り上がりを見せているとはいえ、ユーザーの意見はさまざまで、買い間違えたり、偽の薬を買ってしまったりするのではないかといった不安の声もある。
「ライブの質を高くして健康知識を広め、薬服用の問題を解決するのであれば、それは悪いことではないのでは」とか「ライブ配信を見るのは楽しむためで、薬の販売をエンターテインメント化してよいものだろうか」、また「これは正規の実店舗に影響を与えるのではないか。今後薬が手に入りやすくなっても、自分に適した薬や正規品を買うのは難しくなると思う」などといった意見があった。
薬は一般の商品とは異なり人々の命と健康に関わることから、特別な監督管理の政策が必要になる。確かにライブ配信による販売で、薬を買うのが大変、手に入らないといった問題を解決することはできるが、ライブ配信はそれほど信頼性が高いとはいえない。
ライブコマースにとって薬は長い間、いわば聖域だった。中国国家市場監督管理総局は2020年、ライブコマースで薬を取り扱う場合には法令により事前審査が必要とし、審査を経ずに広告を出してはならないと明確にしている。
インターネット技術が進歩し配送が便利になるにつれ、消費者は家から出なくなり、ネットで買い物する傾向がますます強まっている。ライブコマースはリアルタイムでコミュニケーションをとることができ、商品がよりリアルに紹介されることから多くの消費者に支持され、アパレルや食品など生活に関わるさまざまな商品を扱う。コロナ禍でオンラインのアクティブユーザーの動きはさらに活発になり、オンラインで買い物をする習慣が根付いた。コロナ禍で薬の購入がしづらかったことに加え、ライブ配信が注目を集めた結果、消費者のあいだにオンラインで薬を購入する需要が生じたのだろう。
現在、好薬師大薬房では抖音電商でのライブコマースで解熱剤や咳止め、抗生物質、抗ウイルス薬、皮膚用薬、胃腸薬などを販売している。親会社の九州通によると、取り扱い商品には、解熱鎮痛剤「イブプロフェン」や、漢方薬「連花清瘟」、子供用解熱剤「美林」、総合感冒薬「999感冒霊顆粒」、咳止め薬「念慈庵」などがあるという。
プラットフォームによる保証
薬の質を保証するため抖音電商では取り扱う業者を限定し、特定のブランドのみを出店させている。処方薬は扱わず、慎重な取り扱いと、確実な実施が求められている。ネット大手が次々に医薬品の新たな販売チャネルを開拓し、従来型の実店舗での医薬品販売も次第に飽和状態になりつつあるなか、従来型薬局が販売方法を見つけるのは喫緊の課題になっている。デジタル化という大きな流れの中、ライブコマースでの薬販売もその方法のひとつだが、製品とチャネルのマッチング度や、リスク低減といった問題を早急に解決しなくてはならない。
同時に、政府は医薬品業界を厳格に監督管理する一連の政策法規を打ち出している。22年12月1日、国家市場監督管理総局は「薬品網絡銷售監督管理弁法」を正式に施行した。医薬品のオンライン販売管理、プラットフォームの責任履行、監督検査、法律の責任について規定を設け、販売禁止品目録を公表し、薬の安全をさらに確かなものとした。
それでもライブコマースと薬販売の組み合わせが信頼を得るのは難しいように思われる。しかし、ライブコマースが一定の秩序に基づいて運用されるのであれば、薬の入手や利用が難しいという問題を解決でき、消費者にとって大きな助けとなるだろう。しかし、薬の安全を保証することと薬服用の知識普及に努めることはいまなお急務とされている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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