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中国の「新エネルギー車(電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車の総称)」は自国市場ではすでに飽和状態で、価格競争も苛烈なこと、市場がそもそも世界規模のものであることから、多くのメーカーが海外進出を目指している。中でも自動車産業の中心である欧州は、多くの企業が虎視眈々と狙っている市場だ。
中国の新エネルギー車メーカー最大手BYD(比亜迪)は、2030年までに欧州で年間販売台数80万台達成を目指す。蔚来汽車(NIO)は車両販売と車載バッテリーのサブスクリプションを組み合わせる方式でノルウェー、ドイツ、オランダ、スウェーデンなど欧州5カ国に進出した。
欧州市場は中国市場と異なり、自動車を購入することでは100年以上もの歴史がある。このような市場でどのようにブランド周知を進め、チャネル、サービス体系を構築していくか、また現地生産をどう定着させるかが新たな課題となってくる。
36Krは、吉利控股集団(Geely Group Holdings)とボルボが2016年に共同出資して設立した高級車ブランド「領克(Lynk&Co)」の欧州R&Dセンターと体験型店舗を訪問し、「領克全球(Lynk&Co Global)」のCEOに中国メーカーの欧州進出の先行事例について伺った。
「中国では車を買うことは一種のステータスで、進んでいると思われているが、欧州では数世紀にわたって続いてきたごく当たり前のことだ」。Lynk&Co GlobalでCEOを務めるAlain Visser氏は同社が設立された2016年を振り返り、当時の状況についてそのように述べた。同氏は自動車業界での経験が長く、フォードやゼネラルモーターズ、ボルボなどに在籍してきた。
自動車購入に関する中国と欧州の違いを考慮して、Lynk&Coは2種類の事業モデルを立ち上げた。中国では従来どおりのモデルを、欧州ではサブスクリプション制と販売を並行させるモデルを採用している。
Lynk&Coのサブスクリプションモデルは月単位の支払いとなっており、解約も随時可能。月額料550ユーロ(約8万2000円)にメンテナンスや保険などの費用が含まれる。現地のある消費者によると、欧州では大部分の人が月収4000ユーロ(約59万4000円)前後であり、月500ユーロ程度ならそれほど大きな負担にならないという。欧州では以前から車のアフターサービスが高額で対応が遅いことが問題となっており、サブスクリプションに加入することで「必要が生じた時、メーカーに電話すれば大丈夫という安心感はユーザーにとってやはり魅力になる」とも話した。
Visser氏提供のデータによるとLynk&Coは昨年、欧州市場で3万台以上を納車した。「99%近いユーザーがサブスクリプションを利用している。多くの自動車ブランドが弊社のサブスクリプション制を導入し、さまざまな面で参考にしていると実感している」とも述べた。
Lynk&Coは事業モデルで差別化を図る以外に、デザインやチャネルの面でも、ユーザーが実際に体感できる場を可能な限り提供する。現在、欧州で11の体験型店舗を設けている。
中国の自動車メーカーは先を争うように欧州へ進出しているが、ブランドの認知度を高めることが大きな挑戦になっている。
「中国車が欧州市場に進出する際に最も重要なのは現地ユーザーと気持ちを通わせ、自社のユニークさを知ってもらうことだ」。Visser氏はさらに、欧州ユーザーにはNIO(蔚来汽車)やZEEKR(極氪)など中国メーカーの見分けがつかないと言い切り、数年にわたり欧州市場を開拓しているLynk&Coでも、まだ一介の新興ブランドにすぎないと述べた。
中国の新エネルギー車市場の盛り上がりに比べ、欧州市場はやや出足が遅いため、業界は依然として中国市場を注視している。Lynk&Coでも複数のデザイナーが何度も中国を訪れており、中国の新興自動車ブランドのデザインコンセプトをタイムリーに研究し続けているという。「NIO、Li Auto(理想汽車)、高合(HiPhi)が搭載するインテリジェント・インタラクティブインターフェースなど、どれもつぶさに関心を払ってきた」としている。
中国新エネルギー車産業は数年分先行して優位性を積み上げてきたが、海外ではどのような発展を遂げていくのか、長期的に観察していく必要がある。
(翻訳・山下にか)
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