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フードデリバリーやネット配車事業を展開する中国の生活関連サービス大手「美団(Meituan)」が今月13日、法人向け経費管理サービス「美団企業版」を正式にリリースした。
公式発表によると、美団企業版は企業の消費活動における精算手続きや経費、コスト管理、リソースなどに関わる問題を解決しようというものだ。美団が有するプラットフォームを駆使し、従業員の飲食や接待、会食、出張などに新たな管理方法を提供、企業のデジタル化に向けコストと効率のバランスがとれるようにする。美団企業版を手がけるチームは数百人規模で、現在も数を増やし続けているという。
美団がこれまで法人向けに提供してきた飲食店管理システムや外食産業向け卸売りサービス「快驢進貨」などは、美団のプラットフォームを利用する企業が対象だったが、美団企業版はより幅広い企業を対象としている。美団企業版はもともと社内向けに「美団商企通」として2015年に開始したサービスだった。当初は従業員向けの食事や会食など飲食のシーンに対応していたが、現在では美団社内の各種飲食、出張、配車などの9割以上がここで完結している。
美団企業版のリリースは美団にとって法人向けサービスの展開における重要な一歩であり、企業の経費管理という新しい分野に焦点を当てたものだ。市場調査会社の艾瑞諮詢(iResearch)によると、中国では企業の出張や移動、会食、調達、福利厚生に関する支出は1兆元(約20兆円)規模にもなる。かつて業務に伴う移動や顧客との会食、出張、タクシー利用の際には面倒な申請・精算手続きが必要で、大量の時間と労力を費やしてきた。
そのためこの数年、多くの大手企業やスタートアップが法人の経費管理ソリューションを手がけるようになった。大手では出張サービスの「携程商旅(Trip.Biz)」や「阿里商旅」、配車サービス「滴滴出行(DiDi Chuxing)」の企業版などがあり、スタートアップでは経費管理や精算に焦点を当てた「分貝通(Fenbeitong)」、「易快報(Ekuaibao)」などが事業を拡大しようとしている。
これまでこの分野ではホテルや航空券などをめぐる激しい価格競争が繰り広げられてきたが、近年競争は鳴りを潜め、市場は冷静さを取り戻している。一方、2021年に始まった税務情報管理デジタル化の国家プロジェクト「金税四期」では電子領収書の利用を推進しており、企業のコスト削減効果を維持するためにも、支出管理に対する需要がさらに高まっている。
消費者向け市場では激しい競争が繰り広げられ、フードデリバリー分野では美団が絶対的な勢力を誇っている。これに対し、企業の飲食シーンに対応するサービスを手掛ける大企業は少なく、法人向けの市場はやはりブルーオーシャンだ。
美団企業版は飲食、出張、配車のサービスなどを完備しており、今後は特に飲食関連のサービスに注力していく。
美団企業版は2023年3月時点で、すでに医薬品メーカー、金融業、ITなど20を超える業種の1万社近くにサービスを提供している。美団企業版を導入後、従業員1人が精算処理に費やす時間は毎月平均4.4時間短縮され、関連業務の効率が90%向上したという。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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