「ロボットが車のそばに来て充電」、中国のEV充電に新ソリューション

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中国の新エネルギー車生産台数と販売台数が今年1〜3月、それぞれ165万台、158万6000台だったことが中国自動車工業協会(CAAM)の調べでわかった。それぞれ前年同期比で27.7%、26.2%増えており、市場全体に占める新エネルギー車の割合は26.1%となった。同時に、充電設備の不足問題がますます顕著になっている。

フルスタックの充電ソリューションを手がける中国のベンチャー企業「托爾動力(ThorPower)」は幅広いカーオーナーに優れた充電体験を提供するため、「雷神機器人(ThorBot)」「雷神儲能微電網(ThorGrid)」「雷神充電(ThorCharge)」の3つから成る製品ラインナップを打ち出し、「人と車を中心に据えた」全く新しい充電体験を創出している。

托爾動力の製品ロジック

托爾動力を創業した羅豫偉CEOは「弊社は一連のソフトウェア製品、ハードウェア製品を開発するのに多大なエネルギーを注ぎ込んできた。それはより便利で効率的でインテリジェントな充電サービスを求める多くの人のため、また新エネルギー車産業の発展推進のためだ」と話す。

コスパを前面に打ち出した充電ロボット

充電ロボットそのものは決して新しいものではない。2019年には独フォルクスワーゲンが新エネルギー車用充電ロボットのアイディアを初めて公開している。ロボットアームを搭載し、無人配送ロボットの縮小版といった体裁のものだ。同社の説明では、充電プラグの抜き差しも自動で行い、全ての充電作業がこれだけで完結するという。

しかし、フォルクスワーゲンの充電ロボットは現在も大規模運営には至っていない。コストが最大のネックになっているからだ。とはいえ、従来型の充電スタンドと比較して、充電ロボットには以下の4つの強みがあるのは確かだ。

1つ目は充電サービス事業者にとって参入障壁が低いこと。多くの個人・法人が参入でき、寡占状態打破につながる。2つ目は蓄電性能と充電性能を一体化することで電力供給源に縛られず、ピークシフトを有効活用して価格面でレバレッジ効果が期待できることだ。3つ目はあらゆるタイプの駐車場に導入できるということ。最低限の借地料さえ負担できれば、充電スタンドの設置や配線にかかるコストはカットできる。最後は、ユーザーが充電終了時間きっかりに車に戻ってくる必要はないことだ。

托爾動力の充電ロボット「雷神機器人」は充電機器とそれを運ぶロボットの2つのパーツで構成され、運転はオペレーターによる操作と完全無人運転の両方に対応している。

稼働中の充電ロボット

同社は設計をゼロから自社で手がけ、機器をモジュール化することで最適なコスト構造を実現し、製品価格を相場の3分の1にまで抑えているという。これは川下の充電サービス事業者にとっては間違いなく大きなメリットだ。

有人運転と無人運転をシームレスに繋ぐために、統一の充電サービス管理プラットフォームとモニタリングシステムも構築した。有人・無人いずれの方式でも同一のプラットフォームで管理し、1つの充電施設で両者を混在させて運行できるようになっている。羅CEOは「無人運転の充電ロボットはさらにインテリジェント化を進めて安全性や信頼性を高め、さまざまなシーンや環境に確実に適応できるようにしなければならない」とする。

現在、雷神機器人は集合住宅、オフィス、商業施設・スーパーマーケット、ロードサービス、高速道路のサービスエリア、空港の6つの応用シナリオを想定している。ユーザーは駐車場のどのスペースに駐車してもボタン一つでロボットを呼び出せる。

サービスを受けるまでの待ち時間もなく、充電完了後に車を移動させる必要もない。ロボットの方からユーザーが指定した場所に来てサービスを提供してくれるため、あらゆる駐車スペースで充電が可能になる。ユーザーにとっては使い勝手がよく、充電機器単体の使用効率も上がる。

提供するサービスの質がさらにユーザーの理想にかなうよう、托爾動力は移動式充電機器専用のバッテリーマネジメントシステム(BMS)や駐車場に特化した自動運転技術、自動車用無線充電技術、フレキシブルな蓄電技術などのコア技術を開発した。

中国国家発展改革委員会などが昨年発表した文書によると、中国では2025年までにEV2000万台のニーズを満たせる充電インフラを完成させる計画だ。

(翻訳・山下にか)

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