漫画制作アプリ「触漫」が約9億円を調達 KOLも誕生する若者のコミュニティに 

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漫画制作アプリ「触漫」が約9億円を調達 KOLも誕生する若者のコミュニティに 

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漫画創作アプリ「触漫(Chuman)」を手掛ける「広州夢映動漫網路科技(Guangzhou Dreampix Innovation Network Techology Co., Ltd.)」がシリーズBで6000万元(約9億円)を調達した。リード・インベスターは「同創偉業(Cowin Capital)」、コ・インベスターは「啓明創投(QIMING VENTURE PARTNERS)」。触漫は過去にも啓明創投や「IDGキャピタル(IDG Capital)」「聯想之星(Legend Star)」「啓賦資本(QF Capital)」「創豊資本(Tronfund)」の出資を受けてきた。

触漫はUGC(ユーザー作成コンテンツ)漫画制作を主とした2次元創作ファン向けアプリだ。簡単に使用できるエディターや豊富に用意されたパーツなどの漫画制作ツールを通じて、初心者でも携帯電話で漫画やアニメドラマの創作に挑戦できる。同社はこれをベースとして、「社団(グループ機能)」、CtoCテンプレートショップ、バーチャルキャラクターなどのコンテンツ強化にも取り組んでいる。

現時点で触漫の登録ユーザー数は4000万人を突破しており、そのうち8~16歳の「00後(2000年以降生まれの若者)」が90%前後を占める。MAU(月間アクティブユーザー)は500万人以上、翌日継続率は50%前後で、1日に更新される漫画は30万本、1日当たり平均漫画閲覧数は2000万本を超える。同社はパーツ購入のためのチャージ、VIPメンバー会員料、ライブ配信時の投げ銭(配信者に対する少額支援金)から得る手数料を主な収入源とし、すでに黒字化を実現している。

漫画コミュニティを創出、ユーザーのマネタイズも実現

2014年にFacebook上にアバター作成ツール「Bitstrips」が登場し、爆発的な人気を博した。中国国内でも同様のニーズがあると見込んだ創業者の黄躍中氏は、アバターだけでなくストーリーも創作できる漫画制作ツールの開発をスタートし、2015年9月に初のアプリをローンチ。その後2016年には「社団」と呼ばれるグループ機能を追加し、ユーザー自身が作成したグループに他のユーザーが参加できるようにした。この機能が人気を博して継続率は大幅に向上し、現在は150万組のグループが存在する。

同社はさらにバーチャル通貨システムを整え、他のユーザーが作成したパーツや作品を購入・購読できるようにした。CtoCの取引システムを通じクリエイターのマネタイズを可能にしたことで、触漫にはより優れたパーツが集まるようになり、コンテンツの充実につながった。

漫画クリエイターがKOLに

触漫の作品の90%はUGCだ。漫画の更新頻度は通常の連載物より高く、1時間に1話更新され、最長3カ月で完結する。触漫は例えていえば漫画版の「哔哩哔哩(Bilibili)」あるいは「快手(Kwai)」といったところで、ツールにより創作のハードルを下げ、若者が二次元の世界で自己表現できる場を創出している。

今年初めには、ユーザーが自分のアバターを使いライブ配信ができる機能を追加。配信中にファンから送られる投げ銭がマネタイズの手段ともなっている。驚くべきことに、中には複数の連載作品を抱え、何十万人というファンを抱える専門クリエイターも誕生している。

触漫は各作品ごとではなくクリエイター個人と契約をしている。これは他の漫画配信プラットフォームと大きく異なる点で、すでに100人以上の優秀なクリエイターを抱えている。また彼らがより大勢のファンを獲得できるよう、作品の発表前に若干手を加えるといったサポートも実施している。

昨年4月からは、携帯電話で見るタテ型ショートアニメの配信も試験的に開始した。現時点でショートアニメの数は1137万本に上り、そのほとんどがUGCだ。

現時点では、漫画創作ツールに加え、触漫のプラットフォームから誕生したKOL(キーオピニオンリーダー)が同社の強みとなっている。KOLが触漫のツールを利用し創作を行うことで、自然な形で作者さらには彼らのファンを囲い込むことに成功しているのだ。

触漫はまずプラットフォームに対するエンゲージメントと強いニーズを把握したうえで、マネタイズと知名度という仕組みを利用し、ユーザーが安定的にコンテンツを作成するよう促している。健全かつ一貫したビジネスモデルが確立されつつあるといえる。
(翻訳・神部明果)

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