フォルクスワーゲン、世界最大の中国市場に4年間で1兆3000億円投資 EV補強を狙う

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独フォルクスワーゲン(VW)グループは、外資の自動車メーカーのうち最も中国への投資を惜しまない企業だ。

フォルクスワーゲングループは7月下旬、中国の新興電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」に7億ドル(約1000億円)を投資すると発表した。投資を通じて小鵬汽車の4.99%の株式を取得し、技術協定を結ぶことで合意した。両社は小鵬汽車の「G9」モデルのプラットフォームとソフトウェアを活用し、中国市場向けにフォルクスワーゲンブランドの2車種を共同で開発する。フォルクスワーゲングループは車両とサプライチェーンを提供し、小鵬汽車は自動車のプラットフォームとスマートコックピット、自動運転システムを提供する。フォルクスワーゲンのロゴをつけた小鵬汽車のG9は、2026年に発売される。

独VW、中国新興EV「小鵬汽車」に約980億円出資 EV2車種を共同開発へ

自動車産業の情報プラットフォーム億欧汽車の統計によると、フォルクスワーゲングループは2020年からこれまでに、中国の車載電池大手「国軒高科(Gotion High-Tech)」や自動運転向けAIチップ開発の「地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)」など中国の新エネルギー車産業に650億元(約1兆3000億円)以上投資してきた。目的はただ一つ、新エネルギー車時代にもフォルクスワーゲングループの中国での基盤を維持することだ。

フォルクスワーゲングループが発表した2023年1~6月期決算によると、中国での新車販売台数は145万1000台で、グループ全体の33%を占めた。フォルクスワーゲングループにとって中国は世界最大の市場だ。しかし、世界各地の市場のうち唯一中国の販売台数だけが減少している。

最大の原因は、中国の新エネルギー市場の開拓で終始苦戦していることだ。1~6月期は中国でピュアEVの販売台数が約2%減少し、6万2000台だった。これに対し、中国EV大手「比亜迪(BYD)」の同時期の販売台数は80%増加して115万4000台に達した。

中国自動車産業の合弁時代を切り開いた企業の一つである上海フォルクスワーゲン(現在の上汽大衆汽車(SAIC Volkswagen Automotive))が1984年に設立されてから、フォルクスワーゲングループは中国で40年にわたり提携やさまざまな戦略を繰り広げ、中国の乗用車産業もその恩恵を受けてきた。

しかし新エネルギー時代に入り、EVはまるで鉄砲隊のように「V6」や「V8」のようなガソリン車を粉々に打ち砕いてきた。同時に、中国の自動車メーカーは中国の進んだソフトウェアやインターネットのエコシステムを利用して、デジタル化やスマート化を急速に進めている。小鵬汽車は間違いなくその中でも優秀な企業だ。

一方、フォルクスワーゲンにとってソフトウェアは一貫してEV事業の弱点だった。ユーザーはネットワークの中断や不安定さに不満をもらしており、これが販売にも大きく響いている。独「マネージャーマガジン」の報道によると、ソフトウェアの問題で車種の発表が遅れたことにより、フォルクスワーゲンは数十億ユーロ(数千億~1兆数千億円)の損害を被ったという。

中国の自動車メーカーがすべての技術を自前で開発をしていることはまれだが、小鵬汽車はその数少ない企業の一つだ。今回の提携は、市場が小鵬汽車の技術を高く評価していることを示している。

小鵬汽車の幹部は以前「技術で稼ぐ(自動車メーカーに自身の成熟した技術をライセンス供与することで売り上げと利益を増やす)ことは我々の目指してきた方向だ。2024年には技術サービスで稼ぐ時代に入り、会社にとっては大きな転換点になる」と話していた。

EVの覇者テスラのイーロン・マスク氏が行おうとしているのも技術のライセンス供与だ。マスク氏は早くも2022年1月、テスラの完全自動運転用ソフトウェア「FSD(Full Self-Drive)」を他社にライセンス供与する考えを発表した。マスク氏は今年7月に行った4~6月期決算のカンファレンスコールで、FSD技術のライセンス供与について主要自動車メーカー1社と協議を進めていることを明らかにした。

自動運転分野をリードするテスラと小鵬汽車は、自動運転技術そのものを供給することに狙いを定めている。

作者:億欧汽車(WeChat公式ID:EO-AUTO)、郭懐毅

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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