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第5世代通信規格(5G)対応スマートフォンの販売がまもなく本格化する。中国ではすでに華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、サムスンが5Gスマホを発売しているほか、ファーウェイの5G折り畳みスマホも年内に発売される予定だ。中国のスマホメーカーであるOPPO、VIVO、小米(シャオミ)も5Gスマホのフラッグシップモデルを近く発表するとしており、中国市場では年内に10数機種の5Gスマホが発売される見通しだ。
メーカー各社の5Gスマホに寄せる期待は大きい。他社に先駆けて発売したZTEは、5Gスマホを足がかりにシェアを拡大したいと意気込む。サムスンは先日行われた5Gスマホ発表会で、5Gスマホによって中国市場で巻き返しを図る方針を示した。
ユーザーの関心も高い。VIVOの5Gスマホ第一弾となる「iQOO Pro 5G」は予約台数が60万台に達した。ファーウェイの「Mate 20 X (5G)」は予約台数が100万台を超え、今月16日の発売初日にはどの大手ECサイトでも1分以内に完売となった。
利益よりマーケティングを優先
5Gスマホに対する注目の高さはメーカーのマーケティングにかける熱意とユーザーの期待の表れだ。だが、実際に何台売れるのか、お金を出して買いたいと思うユーザーがどれほどいるのかはまた別の話だろう。
最初に問題となるのが価格だ。スマホは消費財であり、価格を3000元(約4万5000円)以下に抑えられなければ、販売台数を大きく伸ばすことはできない。だが業界関係者によると、今年販売されるのは5000元(約7万5000円)以上の機種が中心であり、5Gスマホの価格が全体的に3000元(約4万5000円)まで下がるには、来年上半期まで待たねばならないという。
次の問題はネットワーク整備がまだ十分でないことだ。中国移動(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)の通信大手3社はいずれも国内の主要40都市をカバーする方針を示しており、対象となる都市は3社でかなり重複している。今年中に5Gネットワークが整備されるのは一、二級都市がほとんどであり、しかも中心部か重要地点に限られる。
最後は使い勝手だ。現行の5Gスマホは電池の減りが明らかに速いことが最大の課題となっている。ソフトウェア、ハードウェアの最適化により徐々に改善することが可能とはいえ、技術の進歩には時間が必要であり、消費者を満足させるレベルになるのは2~3世代は先になるとみられる。これらの要因により、現段階では5Gスマホを買い控える動きも目立つ。
メーカーも現時点では慎重な姿勢を崩しておらず、数量を一気に拡大することはないだろう。シャオミ創業者の雷軍氏も先日、5Gスマホは来年第2四半期(4~6月)に急伸するとし、それまでは大規模な働きかけを行わない考えを示している。
大量に販売できないとなると、メーカーが利益を上げるのは難しい。スマホの損益分岐点を上回る発注数は多くの場合100万台、1000万台規模といわれている。コンサルタントサービスの「中商産業研究院(chnci.com)」によると、中国では2019年も4Gスマホが95%以上のシェアを占め、5Gスマホのシェアは1%未満となる見通しだ。中国の5Gスマホ出荷台数は400万台以下となる計算で、それをメーカー5社以上で分け合うとなると利益を出すには不十分な数となる。大手メーカー各社が今年中に利益を出すのは難しく、研究開発コストを考えればファーウェイですら利益を出せないだろう。
だが、それゆえにメーカーのマーケティングと宣伝に対するニーズが切実なものとなっている。今年に入ってから、スマホメーカーや通信事業者は5Gに関するフォーラム、展示会、屋外での公開テストなどをたびたび実施している。また、まもなく販売が本格化する5Gスマホは、メーカーが口コミマーケティングを行う上でのベースとなるだろう。
5G時代は強者に有利、中小メーカーは運命変えられず
これまでは通信技術が刷新されるたびに古参メーカーが取り残され、新たな挑戦者が登場してきた。だが5Gの場合、少なくとも中国市場では新興メーカーが台頭し、古参メーカーに取って代わる動きを確認することは難しい。
その理由はファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivo、米アップルの存在が依然として強大であることだ。特に中国市場におけるファーウェイの勢いはとどまるところを知らない。同社は、米国による制裁措置を受けて、中国事業を強化していることから、中小メーカーだけでなく、OPPOやvivo、シャオミでさえも大きなプレッシャーを感じている。
シンガポールの市場調査会社「Canalys」のデータによると、ファーウェイのシェアは38.2%で、第2位のOPPOの2倍以上だ。またOPPO、vivo、シャオミの中国での出荷台数はいずれも20%近く減少している。
5G時代を迎え、大手メーカーが打ち出す戦略に明らかな問題は見当たらない。ブランド間の争いは純粋に技術の蓄積、資金、販路、サプライチェーンなどの実力勝負になるだろう。このため、4G時代に優勢を誇ったメーカーがその勢いを持続する可能性が非常に高い。
例えば、5Gスマホ向け中核部品サプライヤーの、現時点での供給量には限りがある。ファーウェイとサムスンは5G対応チップを自社でまかなうことが可能であり、その他トップメーカーも米クワルコムなどから調達できる。だが、中小メーカーがこのようなサプライチェーンを築くのは難しい。
総合的に見て、5Gスマホ市場ではトップメーカーが優勢を強め、中小メーカーや勢いに欠ける大手メーカーがシェア縮小のリスクにさらされることになるだろう。
(翻訳・池田晃子)
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