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通信機器大手ファーウェイが先月31日、アプリの最適化を行う管理システム「ARKコンパイラ(方舟)」のオープンソース化に踏み切った。
公開されたのはフレームワークの一部コードで、中間表現(IR)やコンパイル(プログラムから機械語への翻訳)を可能にする。また、他のバイナリコンポーネントと組み合わせてJavaをアセンブラ指示文(AArch64)に変換する。開発者はソースコードとバイナリコードに基づいてツールチェーンを形成し、Javaの翻訳を行っていく。現在はJavaおよびKotlinの二言語に対応しているが、将来的にはC、C++、JavaScriptにも対応する予定だ。ファーウェイは2020年以降にARKコンパイラのツールチェーン全体をオープンソース化するとしている。
公式サイトによると、ARKコンパイラは45以上のアプリに対応する。ECの「淘宝網(タオバオ)」「天猫(Tmall)」、モバイル決済の「アリペイ(Alipay)」、動画サービスの「優酷(YOUKU)」、生活関連O2Oの「美団点評(Meituan Dianping)」、短文投稿の「微博(ウェイボ)」など、主要大手のアプリを網羅している。唯一の例外は「WeChat(微信)」だ。
同社コンシューマー事業部(CBG)の王成録総裁によると、ファーウェイは2009年にはコンパイラの開発に着手していた。2012年にはコンパイラとプログラミング言語に特化したラボを設け、2013年には自社製品「HCC」、今年4月には「ARK」を発表している。
コンパイラとは、Javaなどの高度なプログラミング言語を平易な機械語(バイナリコード)に変換するもの。アプリなどのプログラムをコンピューターや仮想機械に実行させるために必要なプロセスだ。ARKはこの変換作業を直接かつ一括して処理できるため、スマートフォンなどに搭載されたアプリの動作効率を大幅に上げる。
ファーウェイによると、ARKによってAndroid対応アプリの動作スピードは最高60%まで向上する。これはARKを最初に採用したサードパーティーアプリである微博で証明済みだ。また、社内テストでは、ARKはOSの処理能力を24%、応答速度を44%向上させることがわかっている。
ARKを開発した理由について、王総裁は「Androidをめぐるオープンな環境が背景にある。例えば、サードパーティー開発のアプリが数え切れないほど多く存在していること。また、アンドロイド系のアプリはインストール経路が多岐にわたり、これによる問題も多い。UX(ユーザー体験)を高めるには、ハードウェア(スマホ本体)の進歩だけでは成り立たない(ソフトウェアでも改善を行う必要がある)」としている。
ファーウェイのこうした動きは、Androidから自社開発のOSへ移行するための一歩かもしれない。同社が先日発表した「HarmonyOS(鴻蒙)」のカーネル(OSの中核部分)がAndoidのLinuxカーネルに取って替わるとしても、中国国内市場に限っては順調に移行が実現する可能性もある。
(翻訳・愛玉)
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