中国発コーヒーチェーンCotti Coffeeが日本進出、目標は「来年スタバ超え」【中華ビジネス戦記】

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8月下旬、文京区・本郷三丁目、東京大学の赤門に向かう通りにスタイリッシュなコーヒーショップ「COTTI COFFEE」(庫迪珈琲)がオープンした。タリーズコーヒーやブルーボトルコーヒーなどのような外資系コーヒーショップに見えるこのカフェ、実は中国で最も勢いがあるコーヒーチェーン店なのだ。本郷に1号店を構えたばかりだが、日本市場でも大量出店を計画している。

Cotti Coffeeとは

Cotti Coffee(庫迪咖啡)は中国のコーヒーチェーン最大手「瑞幸咖啡(luckin coffee)」の創業者で、不正会計を理由に会長を退任した陸正耀氏が、再起をかけて2022年10月に設立したブランドだ。同月の1号店開店以降、圧倒的な勢いで店舗数を増やし、今年5月には中国国内で3000店舗目をオープン、8月にはグローバル展開戦略を発表し、韓国、インドネシア、カナダ、そして日本にも進出した。8月末時点で5カ国300都市に5000店舗を展開し、すでに世界で5番目に大きいコーヒーチェーンとなっている。

看板メニューはココナッツラテ

本郷の日本1号店を訪ねた。アメリカーノやカプチーノ、キャラメルラテなどコーヒーショップらしい定番メニューもあるが、看板商品はココナッツラテ(生椰拿鉄)だ。中国でよく飲まれているココナッツミルクを使ったラテで、瑞幸咖啡が売り出したことから中国でヒットし今ではどこのカフェでも定番メニューになっている。味は、というと甘みがあるココナッツミルクをラテに使うことでまろやかな味わいになっていて飲みやすかった。他にもココナッツジャスミンティーやココナッツスムージーなどココナッツを使ったメニューも用意されていた。Cotti Coffeeがアルゼンチンサッカーチームのスポンサーを務めていることから、アルゼンチンの国旗やサッカーユニフォームをイメージした水色のドリンクもある。

ドリンクはオープンから1カ月の間は特別の割引価格で提供している。オープン直後の本郷三丁目店ではアメリカーノは100円(定価は450円)、その他のすべてのドリンクは300円(定価は510~630円の間)で提供されていた。定価は他のコーヒーチェーン店よりも高めに見えるが、Cotti Coffeeの日本法人であるCOTTI COFFEE JAPAN株式会社で新規開拓マネージャーを務める李琳さんによると、専用アプリをダウンロードしてアプリ上で配布されるクーポンを使うと割引価格で飲めるという。クーポンの割引率は店によって独自に設定できるようになっているそうだ。アプリ経由からだと割引価格で飲めるという点でユーザーにお得感を訴求したいのだろう。(瑞幸咖啡もアプリから割引クーポンを配布して格安でコーヒーを飲んでもらうことで中国人にコーヒーを飲む文化を根付かせた一面がある。)

李さんによると商品の売り上げ情報は中国の本社チームに共有され、人気がイマイチな商品は新メニューとすぐに入れ替わる。商品開発は中国側で行われており、季節のフルーツを使ったドリンクメニューも展開していく。日本のCotti Coffeeで利用されているコーヒー豆はすべて中国安徽省にある焙煎工場から輸入されており、オープンから数週間は中国の本社から人が派遣され、ノウハウの共有やトレーニングを行なっている。中国国内、海外問わず、どこの店でも同じ品質、味の商品を提供できるような標準化がされているようだ。

直営店とフランチャイズで日本出店

李さんによると、日本市場ではガチ中華のように必ずしも中国人が多く暮らす地域ではなく、通勤や通学で人通りが見込めるエリアを出店場所として選んでいるようだ。

「実際に出店できるかは人通りの量や家賃などの条件をみて、中国側で決定します。フランチャイズの企業が場所を持っているからと出店しても売り上げが立たなければビジネスにならないので、ある程度採算が見込める場所を選んでいます」と李さん。フランチャイズのパートナー企業は売り上げのうち決められた比率を本社に納めるモデルになっている。李さんは「今は日本の中国系企業がフランチャイズのパートナーになっていますが、今後は日本の企業ともパートナーとして連携していきたいです。」と期待を語った。

年内30店舗、2024年に2000店舗が目標

中国で創業してからわずか1年足らずで5000店舗を達成したCotti Coffee、日本でも短期間で大量出店を計画している。李さんは「年内に日本で30店舗、来年には2000店舗の出店が目標です」と話す。日本のスターバックスは2023年6月現在で1846店舗なので、目標が達成されるとスタバを超えることになる。人通りの量を精査し儲かる場所でしか出店をしないという点を踏まえると日本での急速な展開はなかなか厳しいと感じるところもあり、「掲げる目標は大きく」との意で受け取ったが、中国での出店スピードや海外展開の速さをみると可能性が0%とまでは言い切れないのではというのが面白い。

現在は池袋西口で直営店の出店準備を進めており、9月下旬にオープン予定。また、新宿や浅草なども出店の準備を進めている。李さんは新規開拓マネージャーとして、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県を中心に日々空き物件の情報を得ては現地に足を運び出店場所の候補を選定している。大阪オフィスもあり、大阪、兵庫、京都など関西地区でも場所の選定を進めているそうだ。このペースで出店が続いていけばスタバ超えとはいかずとも1年後にはそこそこの店舗数になっていそうであるが、中国発のコーヒーチェーンとして日本のカフェ市場に食い込んでいけるか注目したい。

作者:阿生

東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng

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