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中国自動車大手「上海汽車集団(SAIC Motor)」は8月下旬に開かれた「世界人工知能大会(WAIC 2019)」で、自動運転「レベル4」技術を搭載した同社の大型トラックが上海の自動化コンテナターミナル「洋山深水港」で稼働を開始したと発表した。次世代通信規格「5G」と人工知能(AI)を活用した世界初の試みになるという。
自動運転技術の実用化は、港湾区や工場、物流センターなど一般開放されていないエリアで利用されるトラックの方が、公道を走る乗用車より実現しやすい。そのため、自動運転トラックの開発は上海汽車のみならず、中国の自動車メーカーは各社とも早くから着手していたようだ。
昨年4月中旬、大型トラックメーカー「中国重型汽車集団(SINOTRUK)」による世界初の自動運転EVトラック「豪沃(HOWO)T5G 6×4」の試験運用が天津港で始まった。運転者が関与しない条件下で、LiDARや高精細度カメラ、インテリジェント・コンピューティング・ユニットを搭載した自動運転EVトラックが、自律走行や正確な駐停車、コンテナの積み降ろし、障害物検知などの指定された動作を全てこなし、コンテナを岸壁からヤードまで運ぶ全工程を自動運転で行っている。
また同4月下旬には「中国第一汽車集団(FAW Group)」がレベル4の自動運転技術を商用トラック「解放」に応用すると発表。さらに今年8月には「一汽解放汽車(FAW Jiefang Automotive)」が自動運転技術に特化したスタートアップ「蘇州智加科技(PlusAI)」と共同で、商用車の自動運転技術を開発する合弁会社を設立した。
上海汽車は中国メーカー初の「自社開発」による技術ソリューションという点で、他社と一線を画す。「洋山深水港での自動運転トラックプロジェクトでは、コアアルゴリズムからシステムインテグレーションまで全てを自社開発した。認知から経路計画、判断さらにはシャーシ制御までのトータル実行システムで、サプライチェーンの各パートナーと協力する必要があるものの、コア技術は自社のものだ」。上海汽車はメディアとの交流会でこう胸を張った。今後は大型トラックやマイクロトランジット、都市部の路線バス、大型物流パークでの自動運転レベル4の実用化を目指すことも明らかにしている。
物流関係者にとって、自動運転トラックの実用化は運転者の疲労軽減や運営コストの削減につながる上、人、車、貨物の総合的な管理効率やトラックの輸送効率を向上させるというメリットがある。
利用シーンがパターン化されていることから、自動運転技術の実用化はトラックが先行するとの見方が業界内では一般的だ。そんな自動運転トラック市場の将来性に着目した各社が、この機をつかみ利益を得ようと参入をもくろんでいる。だが、明確なビジネスモデルの確立が、各社の直面する課題にもなっている。
(翻訳・鈴木雪絵)
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