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利用が開始されたばかりの北京大興国際空港は、世界で規模が最も大きく、且つ最も忙しい空港の一つになるだろう。投資総額800億元(約1兆2000億円)、単体では世界最大のターミナルを持ち、滑走路は7本で、国際空港評議会(ACI)選定の「世界で最も忙しい空港」であるアトランタ国際空港より2本も多い。先端技術も多数使われており、自動駐車、電子手荷物タグ、顔認証セキュリティ・チェックなどが実用化されたことは、新技術の実用化のトレンドを代表するものであり、新たなビジネスチャンスの到来を意味する。
大興空港のハイテクノロジー
大興空港の駐車場には、自動駐車場がワンフロアある。運転手は駐車スペースを探す必要がなく、代わりにリフトのような自動駐車ロボット(AGV)が、車両を駐車スペースに運んでくれ、出庫時には自動的に運転手のところまで届けてくれる。ただし、現時点で自動駐車が可能なスペースは100余りしかなく、全体の1%未満だ。
電子手荷物タグも注目を集めている。従来の手荷物タグの代わりに、電源不要型電子手荷物タグが実用化された。手荷物託送はアプリで行うことができ、携帯電話でタグにタッチするだけで、手荷物の情報が携帯電話に表示され、郵便物の追跡と同じように、荷物がどこにあるのかを確認できる。
また、顔認証でセキュリティ・チェックの高速化が実現できる。ほとんどの利用者は気付かないが、セキュリティ・チェック時に荷物をかごに入れたときも、顔認証が行われている。荷物とその持ち主をマッチングさせるためだ。搭乗口では搭乗券を取り出す必要がなく、スマートグラスをかけたスタッフがこちらに視線を向ければ顔認証が行われ、すぐに搭乗できるのだ。
大興空港の新技術の多くは、産業の現場ですでに広く使われているものだ。自動駐車用のAGVは、すでに上海洋山港のコンテナ埠頭で使われている。電磁波や光学センサーで駐車と貨物の積卸しをする技術は、物流業界で広く普及している。顔認証も大興空港が初ではなく、香港空港、深セン空港、首都空港第2ターミナルで試験的に使われたものだ。背景として、生体認証技術の進歩が挙げられる。
空港のデジタル化をめぐるビジネス
空港はテクノロジー企業にとって、ビジネスの現場であり、実験場でもある。現在全世界でスマート空港の建設が急速に進んでおり、投資額が上がり続け、年成長率が11%前後となっている。
デジタル化の進行は、テクノロジー企業とユニコーン企業にとって高い魅力を持つ。
大興空港の顔認証技術は「センスタイム(商湯科技、SenseTime)」が開発したもので、搭乗口のスマートグラスは「雲従科技(cloudwalk)」のものだ。中国のコンピュータビジョン分野のユニコーン4社のうち、2社が大興空港に設備を提供しているのだ。AGV技術の実用化の裏でも、中国国内の20以上のAGV企業が激しい競争を繰り広げた。
また、「海康威視(HIKVISION)」の民間航空スマートセキュリティソリューションも大興空港で使われている。2017年には、アリババの「クラウドET アビエーションブレイン」が首都空港で運用を開始した。首都空港は1日1600便、1分あたり1便以上が離着陸しており、「アビエーションブレイン」が駐機場と進入ルートの最適化を行う。
海外のICT大手やロボティクス大手もスマート空港事業に進出している。マイクロソフトはクラウドサービスのAzureで、クウェート、ドバイ、ヒースローやフランスの一部の都市の空港のクラウド業務を請け負っている。空港用のロボットでは、LG、日立やヨーロッパの企業が中心となっている。
通関システムにおいては、アメリカでは顔認証よりも音声認識への関心が高い。アマゾンやグーグルの音声認識アシスタントが少しずつ空港で使われ始めている。グーグルなどは独自の顔認証システムも開発したが、プライバシーに関する懸念から、空港の通関システムでの実装には慎重だ。
スマート空港はすでに止められないトレンドになっている。しかし、新技術はまだ実験段階で、長期的な収益性が課題だ。プライバシー保護やデータの安全性にも疑問が残る。数年前、各国が入国者の指紋を採集したときに議論を呼んだように、新技術の普及には各国の連携が不可欠だ。いずれにしても、空港のスマート化が進むと同時に、懸念事項も増えてきている。
(翻訳:小六)
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