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AR(拡張現実)グラスを開発する「霊伴科技(Rokid)」がシリーズC+で約5億元(約100億円)を調達した。安徽省の合肥市政府が出資を主導し、複数の金融機関や投資機関が参加した。資金は企業向けサービスと製品開発能力の向上、合肥市でのXRエコシステム構築に使用する。
Rokidは2014年設立、次世代のHMI(ヒューマンマシンインタラクション)製品のプラットフォーム運営に力を入れている。今回の資金調達では合肥市が初めてARグラス分野への出資に乗り出したほか、中国AR分野で1度の資金調達としてはここ数年で最大の戦略投資となった。
Rokidを創業した祝銘明CEOによると、合肥市は中国で製造業が最も発達しているエリアで、集積回路や自動車産業チェーンなどで豊富な実績がある。Rokidは今回の資金調達後、産業メタバース本部、エコシステムセンター、研究センターの開設について合肥新站ハイテク産業開発区と正式に契約を交わす予定だ。
RokidのARグラスは主に旅行、消費者向け、産業の分野で実用化されており、中でも産業用の成長が著しい。祝氏によると、Rokidの2023年売上高は前年比で200%増加、そのうち産業分野が4分の1を占めて拡大傾向にあり、前年に比べ倍増したという。
ARグラスはエネルギー・化学・電力などの産業分野で活用が期待される。デジタルトレーニング、遠隔作業支援、デジタルツインなどにより、産業の現場で没入感を大幅に高めて作業効率を向上させる。
産業分野ではこれまでに、5G通信対応のARグラス「Rokid X-Craft」と、折りたたみタイプの「Rokid Glass 2」という2つの製品を送り出している。
Rokid X-Craftは初めて5G通信モジュールを搭載したARヘッドバンドだ。一般的なヘルメットに取り付けて使用し、防爆、防塵、防水性能を備える。実際に作業に当たる際にはARデバイスが作業スタッフに対しリアルタイムで注意喚起や誘導をして、規定の作業ができるようサポートする。Rokid Glass 2は作業の安全とトレーサビリティーを保証するために、一人称視点の録画機能を備えている。
ハードウェアの開発だけでなく、フルスタックのAR関連サービスも提供する。自社開発した操作システム、ソフトウェアのフレームワーク、ARアルゴリズム、創作ツール、チップの最適化など、AR産業の基盤とサービスのクローズドループを構築している。
Rokidの製品はすでに多くの重要プロジェクトで実際に使用されており、中国広核集団(CGN)の福建省寧徳原子力発電所プロジェクト、国営電力会社・国家電網(State Grid)のARメンテナンス・検査、中国石油天然気集団(CNPC)のARスマート巡回検査などで活用されているほか、大手家電メーカーの美的集団(Midea Group)や大手自動車メーカーの長安汽車などでも導入されている。
例えば中国広核集団の寧徳原子力発電所プロジェクトでは、それまで使用されていた紙の書類の代わりにARグラスを使用し、発電所の検査、安全管理、設備の検収などを実施、作業時間を35%短縮して人件費を半分に減らし、検収効率が50%向上した。
祝CEOは「科学技術、産業、教育、医療などの分野で発展に貢献することができて大変光栄に感じている。Rokidは技術のイノベーションとユーザー体験を第一に考えており、今後も引き続き技術開発とエコシステムを充実させ、開発者に良好な環境を提供し、素晴らしい製品体験を届けていきたい」と語った。
※2024年1月15日時点のレート(1元=約20円)で計算しています
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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