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中国のロケット開発スタートアップ企業「深藍航天(Deep Blue Aerospace)」がこのほど、シリーズBとシリーズB1で方正和生投資(Founder H Fund)や済鋼東泰基金などから数億元(数十億~百数十億円)を調達した。資金はロケット回収・再使用技術の開発、今年打ち上げ予定の再使用型ロケット「星雲-1(Nebula-1)」の生産、チーム構築、人材採用に充てられる。
深藍航天は2016年に設立され、液体燃料エンジンを搭載する再使用型ロケットと関連技術の開発に注力し、ロケットの打ち上げ事業を展開している。江蘇省南通市に本社を置き、北京市の亦荘開発区と大興区にロケット本体および液体燃料エンジン研究開発センター、3Dプリント製造センターを、山東省済南市と海南省文昌市にロケット動力システム試験基地と打ち上げ基地を設け、再使用型ロケット打ち上げ試験場も建設した。
ここ数年は衛星通信ネットワークの進歩や通信、ナビゲーション、リモートセンシング技術の融合によって、宇宙ビジネスが世界的な新興産業として発展しており、産業チェーンを構成するロケット、衛星、地上設備に各国が熱い視線を注いでいる。
米宇宙企業スペースXはこの1年余りで大型宇宙船「スターシップ」の試験飛行を3度実施し、ロケット回収技術に大きな商業的価値があることを示した。
固体燃料ロケットは打ち上げのコストが高く、回数が制限されるという課題を抱えているが、液体燃料の再使用型ロケットは打ち上げコストを削減でき、運搬能力や打ち上げ回数の向上を実現できる。しかし、中国で再使用型ロケットの打ち上げに成功した事例はまだない。
液体燃料ロケットの回収・再使用を目指す深藍航天は、「星雲-1」ロケットを独自に開発、2段式で直径が3.35メートル、近地球軌道での積載能力が約2トン、計10基の液体燃料エンジン「雷霆-R(Thunder-R)」を積み、搭載物の大きさに応じて直径3.35メートルまたは2.25メートルのフェアリングを装備する。この設計によって、ロケットは迅速にメンテナンスして再打ち上げができるようになり、低コスト、高信頼性、高頻度が求められるロケットの打ち上げニーズに応える。
星雲-1が搭載する雷霆-Rは同社が独自に開発したエンジンで、ピントル式噴射装置の導入によって燃焼の安定性を高めると同時に燃焼振動を抑制し、スムーズな推力調整が可能になった。同エンジンは90%以上が3Dプリンターを利用して製造されており、製造工程の短縮や使用部品の大幅な削減、コストの低減が可能で、中国で3Dプリンターの使用率が最も高い液体燃料ロケットエンジンだという。今後も付加製造産業の発展に伴って、製造される部品の品質と性能はさらに向上すると見込まれる。
紹介によると、星雲-1は年内の打ち上げ成功を目指している。2025年末には、積載能力が25トンに上る「星雲-2」の打ち上げも計画しているという。
同社は「中国の宇宙ビジネスは10年近くの発展を経て、大きな変革期を迎えている。当社は新たなロケット回収技術の開発に努めているが、目的は回収ではなく、使い捨てだったロケットを再使用可能な宇宙輸送ツールに変えることだ」としている。今後はロケット回収・再使用技術の開発に対する投資を増やし、星雲シリーズの開発と打ち上げ、回収、再使用を加速する方針だ。またインフラへの投資を拡大し、製造・試験能力を向上させて、再使用型ロケットを年間20機以上生産することを目指している。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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