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モバイルバッテリーなどスマートフォン周辺機器で知られる中国大手メーカー「Anker(安克創新科技、アンカー)」がこのほど、2024年上半期(1~6月)の決算を発表した。売上高は前年同期比36.55%増の96億4800万元(約1900億円)、純利益は6.36%増の8億7200万元(約175億円)となった。
中でも、バッテリー関連の製品は売上高の半分を占める49億7500万元(約990億円)となり、全事業分野の中で、最大の伸び率42.81%だった。同社は、初期からバッテリー関連の製品を手がけており、常に市場開拓を続け、会社の成長を後押ししてきた分野だという。
2011年に設立されたAnkerは、モバイルバッテリーやワイヤレスヘッドフォンをはじめ、スピーカーのSoundcore (サウンドコア)、掃除ロボットのEufy (ユーフィ)やスマートプロジェクターのNebula (ネビュラ)などのブランド製品を次々に生み出した。主に欧州、米国、日本などの先進国で販売されており、 高度な技術力とユーザビリティが功を奏し、認知度を高めている。
最近、Ankerがネット上でざわつく事象が起き、注目を集めた。それは8月に行われた米テスラのイーロン・マスクCEOとトランプ前米大統領のオンライン対談で、トランプ氏がAnkerのモバイルバッテリーを使用していたことがわかり、同社の同日の株価は急上昇した。 トランプ氏が使用していたのはAnker MagGoシリーズの製品で、中国のECサイト「京東(JD.com)で399元(約8000円)、米アマゾンでは89.99ドル(約1万3000円)で販売されている。
Ankerの価格帯は決して安くはなく、中高価格帯に位置付けられているのが分かる。また、中国国内とアマゾンの価格の差額が大きいことも、海外における製品の競争力を意味している。この位置づけのおかげで、Ankerの利益率の水準は業界トップレベルともいえる。
Ankerが競合他社と異なる特徴として、絶えず製品の研究開発をしながら、川上の企業に投資を惜しまない事だ。新製品の導入とともに、サプライチェーン(供給網)でのコスト削減にも注力している。
例えば、次世代パワー半導体素材である窒化ガリウム「GaN」を取り入れたバッテリーは、エネルギー効率が高く、発熱の可能性は低いため、安心で安全という利点がある。AnkerはGaNのリーディングカンパニー「Navitas」に投資し、22年9月にはGaNSenseハーフブリッジ窒化ガリウムパワー半導体を初めてリリースした。
華創証券(Hua Chuang Securities)の調査によると、Ankerは窒化ガリウムの総合ソリューションを採用し、製品コストを効果的に削減している。23年、同社は全窒化ガリウム充電器(67W 2C1A)を発売したが、部品点数、電子、製品サイズは22年の類似製品(65W 2C1A)よりも大幅に優れている。 製品設計における継続的なコスト削減により、サプライチェーンの効率がさらに改善される可能性が高い。
また、販売チャネルの強化もAnkerの業績の安定した成長を支えている。 今年上半期、オンラインチャネルはAnkerの売上高の60%以上に貢献し、拡大を続けている。かつて最も主要な販売チャネルだったアマゾンは、50%以上を占めて依然として高い割合だが、以前に比べて減少傾向にある。
Ankerはアマゾンへの依存を避けるために、独自サイトとオフラインチャネルの開発に積極的に取り組んでいる。 現在、北米のWalmart、Best Buy、Target、Costcoなどでも販売されており、日本のコンビニエンスストアのセブン-イレブンでも取り扱われている。8月には、日本で28店舗目となる、最大面積を誇る旗艦店「Anker Store 渋谷」をオープンさせた。
*アイキャッチ画像はネットより
(36Kr Japan編集部)
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