トヨタ出資のスタートアップ「Pony.ai」の無人タクシーに乗ってみた【加速する中国の自動運転】

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トヨタ出資のスタートアップ「Pony.ai」の無人タクシーに乗ってみた【加速する中国の自動運転】

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中国では自動運転タクシーが既に公道を走っている。同分野をリードし、4都市で利用できるのがトヨタ自動車と組むユニコーン企業の「Pony.ai(小馬智行)」だ。

今回は深圳にあるPony.aiのオフィスを訪問し、ロボタクシーに乗車したのでレポートする。

Pony.aiのオフィス

Pony.aiはGoogle Earth (グーグルアース)の技術者を経てバイドゥ(baidu、百度)で自動運転技術開発の責任者を務めた彭軍CEOらが2016年にシリコンバレーで創業した。

2020年にトヨタから4億ドル(約570億円)の出資を受け協業を加速、2024年4月にはロボタクシーの量産体制を構築するためトヨタとの合弁会社も設立した。発表によると、広汽トヨタの工場で車体を生産し、Pony AIのプラットフォームで運用する。2025年からのロボタクシーの大量生産を目指すことも発表された。

トヨタ、自動運転ユニコーンの「Pony.ai」と合弁会社 中国市場にロボタクシー1000台投入へ

中国国内では北京、上海、広州、深センの4都市の一部でロボタクシーのテスト営業が開放されており、Pony.aiは中国で初めて、4都市での営業許可を取得した。4都市の営業時間・エリア内であればPony.aiの配車アプリからロボタクシーを配車することが可能だ。自動運転にはアメリカのSAE(自動車技術会)によって走行のレベルが0から5の6段階で定められている。

Pony.aiのロボタクシーは現時点で認められているレベルでは最高のレベル4技術を搭載している。同社によると場所や天候、速度など特定条件の下、すべての運転動作が可能になり、深セン、広州、北京の3都市では完全無人のロボタクシーが走行中だ(補助員が同乗している場合もある)。上海ではロボタクシーの営業許可はあるものの完全無人のライセンスが降りていないため基本的には安全員が同乗している。

完全無人運転のロボタクシー車内

筆者はPony.aiの深センオフィス訪問時のイベントとしてロボタクシーに試乗し、スタッフが同乗しない完全無人運転を体験した。車両はトヨタのレクサスで車両の上部にセンサーカメラが搭載されている。

運転席のすぐ横に1つ、後部座席の前に2つのモニターが設置されていて、対向車両、路上の人や自転車、バイクなどが検知されて表示されるようになっている。

Pony.aiのオフィスを出発したロボタクシーは一般車道に入って時速50〜60キロのスピードで約30分、安定した走行を続けた。車線変更や信号での右左折もなめらかで、想像していたよりも高いレベルで走行していた。

モニターを見ると車は緑の直方体、バイクなどの軽車両はオレンジの直方体、人は黄色の直方体、そのほかの街路樹などは青く表示されていた。同社で広報マネージャーを務める黄楽楽氏によると、車両上部の機器にはカメラ、対象物との距離、速度などを測定できるミリ波レーダーとレーザーレーダーが搭載されており、道路上の車両や人を検知しているという。

車は緑、バイクなどの軽車両はオレンジ、人は黄色で表示される

Pony.aiによるとレベル4技術を搭載したロボタクシーは深セン、上海、北京、広州の4都市で300台以上が走行中、総走行距離は300万キロ超となっている。タクシーサービスの利用者は15万人、リピート率も65%とまずまずだ。黄氏は「ロボタクシーの商用化に向けてトヨタとの合弁会社を設立し、2025年以降、レベル4技術を搭載したロボタクシーの生産に向けて開発を進めています」と述べた。

研究開発費や、高価であろうセンサーなどのコスト問題など、ロボタクシー普及のための道のりは長そうだが、トヨタとの合弁によって生産台数の増加など、規模を拡大させていくことでロボタクシーの普及に期待したい。

文:阿生(東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在は香港在住)

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