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愛知県は10月31日に、延べ面積23,000㎡を誇る日本最大級のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」をグランドオープンした。
愛知県は、県の強みである圧倒的な産業集積を背景に、モノづくりの伝統や優れた技術・技能との融合による新たなイノベーションを誘発し、産業の成長を拡大させるエコシステムを形成するため、2018年に策定した「Aichi-Startup戦略」に基づき、「STATION Aiプロジェクト」を推進している。
今回オープンした「STATION Ai」は新規事業創出の最前線として、10月1日からスタートアップや企業などが順次入居する。わずか1ヶ月で、すでに200社のパートナー企業、500社のスタートアップの入居が決まっており、海外企業も数十社にのぼるという。
スタートアップ・エコシステム「グローバル拠点都市」に向けて
愛知・名古屋及び浜松地域がスタートアップ・エコシステム「グローバル拠点都市」として内閣府から選定されており、中部経済連合会、名古屋大学、愛知県、名古屋市、浜松市等で、「Central Japan Startup Ecosystem Consortium」を組成している。スタートアップを次々に生み出し、優れた人材・技術・資金を呼び込み、発展を続けるための活動がすでに行われているが、これからはSTATION Aiを中心地に位置付け、さらに加速していく。
10月31日に開催されたオープンセレモニーには、大村秀章愛知県知事、岸田文雄前首相(ビデオメッセージ)をはじめ、関係者多数が出席した。大村知事は、「スタートアップとパートナー企業が同じ建物で毎日イノベーションを起こそうと切磋琢磨する仕組みは日本でSTATION Aiだけ、他にない。だからこそ、アジア地域のハブとなり世界に打って出ていきたい」と述べ、本施設への期待感を示した。
岸田前首相も、「日本では2022年にスタートアップ育成5か年計画を策定してから成果が着実に生まれている。STATION Aiにおいては、愛知県ならではの産業集積、モノづくりの伝統がスタートアップと融合し、世界を牽引するユニコーン企業が数多く誕生することを期待する」とエールを送った。
魅力的な空間と働きやすい環境、スタートアップの商品を積極活用
STATION Aiは、スタートアップにとって多くの魅力が詰まっている。
まず、スタートアップの技術や商品を最大限に活用し、来訪者を魅了する空間演出を実現している。例えば、ヘラルボニー社の美しいアート作品152点がSTATION Aiの施設内に設置、いたるところに飾られ、訪れる人を温かく迎える。
建物自体がIoTやAI、データ利活用の技術などを取り入れたスマートビルディングとなっており、施設内の混雑状況を可視化するなど、利用者の利便性を向上させることに加えて、施設全体でロボットによる実証実験を行うことができるロボットフレンドリーな設計にもなっている。今後はロボット開発のスタートアップとの協業による発展も見据える。
また企業間のイノベーションを促進する仕掛けや開放的なワーキングスペースのほか、ジムや託児所も設けられているだけでなく、カフェやレストランなどが入る飲食スペースや、部屋にキッチンが付いたホテルは一般の人も利用できるという。会員だけでなく、地域の住民にも広く開かれた施設を目指している。
投資・協業に繋がるエコシステム、専門家によるきめ細やかな支援
STATION Aiは、このエコシステムの中心地として、スタートアップに資金調達や事業拡大の機会を提供していく。1年半前から入居している製造業向け在庫管理DXソリューション提供のスタートアップ「エスマット」代表の林氏は「当社では投資を受けただけでなく、事業拡大に繋がるキーパーソンに繋いでもらったり、登壇機会を作ってくれたり、営業活動でも担当スタッフが一緒に汗をかいてくれる、感動的なサポートを受けている」と語る。
STATION Aiには、スタートアップの成長を支援する専門家チームが常駐している。彼らは、営業支援、事業計画策定、資金調達など、スタートアップが抱える様々な課題に対して、きめ細やかなサポートを提供、入居しているスタートアップからは、「専門家のアドバイスのおかげで、事業が大きく前進した」といった声が聞かれる。
海外スタートアップの受け入れ・連携を強化
STATION Aiは、海外のスタートアップとの連携を強化することで、グローバルなイノベーションを創出することを目指している。海外のスタートアップに対して、日本市場への進出支援や、日本企業との共同事業開発の機会を提供していく。
また、現時点で9か国、21の大学・研究機関と連携する。今回のセレモニーには、シンガポールからシンガポール国立大学のTan Eng Chey総長、中国からは上海交通大学の丁奎嶺(Ding Kuiling)学長や清華大学サイエンスパークを運営する啓迪控股(TUS HOLDINGS)の蔡曉衛(Cai Xiaowei)総裁など、多くの関係者が来訪した。海外のスタートアップ企業にとって、日本進出の有力候補地として愛知が注目されている。
良いことばかりで最高の船出をきったように見えるが、同施設の運営を行うSTATION Ai株式会社の佐橋宏隆CEOは「ベンチャー不毛の地だった愛知を変革するには、まだまだ課題ばかり。ハコはできたがソフトをこれからどんどん充実させていく」と語る。特に海外とのエコシステム連携は必須の強化ポイントで、現在7%の海外スタートアップ入居比率も、これからどんどん高めていくと意気込んだ。
スタートアップのアイデアを形にし、世界に羽ばたかせるための強力なプラットフォームとして、STATION Aiは今後、新たな産業の創出と地域経済の活性化に大きく貢献していくことが期待できそうだ。
(36Kr Japan編集部)
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