「座って遊ぶ」XRデバイスに注目。VR酔い対策のスマート椅子で没入体験:中国・ShallxR

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クロスリアリティ(XR)デバイスとソリューションの開発を手がける中国企業「ShallxR」がこのほど、安吉博泰投資から4000万元(約8億円)を調達した。資金は、傘下の「諾瓦座艙科技(Nova)」が作る次世代XR体験プラットフォームや、製品とソリューションのサプライチェーン構築に充てられる。

ShallxRは2018年に設立され、本社を広東省広州市に置く。同社はXR分野での経験が豊富なメンバーを抱えており、海外のギーク(技術・知識マニア)コミュニティによく知られている企業だ。「10分間の衝撃的なXR体験」というコンセプトで、欧米市場ではアミューズメント施設の運営を順調に展開している。今年は新ブランドのNovaを設立し、XR用椅子(チェア)の開発に力を入れている。

中国の没入型バーチャルリアリティ産業発展白書によると、2023年に同産業の消費市場規模は19年比44%増の927億元(約1兆9000億円)となり、24年は1124億元(約2兆4000億円)と、大台に乗る見込みだ。

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中国国内市場の環境を踏まえ、24年7月にNova初の製品となるスマート椅子「ShallxR iFly Chair(飛椅)」を国内向けにリリースした。

一般的に知られているXRデバイスは、米Metaの複合現実(MR)ヘッドセット「Quest 3S」や、TikTokを運営するバイトダンス傘下・PICOの仮想現実(VR)ヘッドセットなど、国内外のテック大手が開発したヘッドマウントディスプレイにとどまっている。同社の創業者兼CEOの唐剣虹氏は、ほとんどのヘッドセットは価格が高く、テック愛好者を除くと、XRデバイスは一般消費者にまだ知られていないとの見解を示した。

現在普及しているロケーションベースXRから、唐CEOらは「座って遊ぶ」ことが人の習慣に最もマッチしていると考えた。しかし、中国市場のXR椅子は似通ったものばかりで、質の高いゲームコンテンツも搭載されていないという。

唐CEOによると、優れたXR体験にはヘッドセット、椅子、コンテンツを組み合わせることが必要で、特に椅子は揺れや振動、触覚、無重力感など、視覚以外の感覚を再現する役割を担う。デバイスのモーション制御技術は、XR体験の良否を決める重要な要素だ。

ShallxR iFly Chair

中国で既存のエッグ型VR椅子は、主に電動シリンダーもしくはクランク機構技術を採用しているため、動きの幅が小さく角度も限られ、素早い動きができない。その結果、ユーザー体験のレベルは大きく低下する。

ShallxRはこの課題に対処するため「飛椅」のモーション制御に遊星歯車を使った独自のソリューションを採用した。これによって、モーション制御の精度はミリメートル級に向上し、ゲームプレイ中のラグ(遅延)も生じない。また前後のロール角40度、左右のピッチ角70度、ヨー角360度を実現し、従来の制御技術を採用したデバイスに比べ、モーションレンジは最大で十数倍広がるため、ハイレベルな仮想空間体験を消費者に提供することができた。

遊星歯車ソリューションでは、たびたび批判されてきた「VR酔い」の解決も図った。チームは、オプトメカトロニクスとソフトウエアを同期させる技術によってラグを減らし「VR酔い」が起こりにくくした。

唐CEOは、国内の消費者がアミューズメント施設などで実際に優れたXR体験をすれば、XRデバイスの遊びやすさをすぐに理解できると考えた。XRに触れる機会の少ない一般消費者にとって、XR椅子で10分間プレイするというのは高価なヘッドセットの購入に比べてハードルが低く、試しているうちにもっとプレイしたいという気持ちが湧いてくるだろう。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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