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高精度地図や自動運転ソリューションを手がける「四維図新(NavInfo)」がこのほど、自社開発のスマートコックピットチップ「AC8025」と、地平線機器人(Horizon Robotics)が開発した車載AIチップ「Journey 3(征程3)」を組み合わせたスマートコックピット・自動運転・パーキング機能の一体化ソリューションについて、価格を2000元(約4万円)以下に抑えることができたと発表した。
四維図新の程鵬CEOは、「当初は10万元(約200万円)クラスの車両にも標準装備することを目標に掲げ、そのために価格を3000元(約6万円)程度に抑える必要があると見込んでいたが、これなら5万元(約100万円)クラスの車両でも標準装備にできる」と述べた。
ファーウェイ(華為科技)でスマートカー・ソリューション事業群を統括する余承東氏はかつて、30万元(約600万円)以下の車両に同社の自動運転システムを搭載すると赤字になると話していた。しかし自動車の価格競争が激しくなり、自動運転技術も急速に進歩を遂げたため、自動運転ソリューションも高価格帯市場から中・低価格帯市場へと広がりを見せている。
自動運転標準装備の時代は訪れるか
民用ドローン大手DJI傘下のDJI Automotive(大疆車載)は今年3月、8万~15万元(約160万~300万円)クラスの車両で7台のカメラと32TOPSの演算性能を持つ自動運転ソリューションの標準装備を段階的に進めていくと発表、日本円で200万円を切る車にも自動運転機能が搭載されるようになる。自動車大手の吉利汽車(Geely Auto Group)や、新興EVの零跑汽車(Leap Motor)、テック大手・百度(バイドゥ)の自動運転プラットフォーム「Apollo」なども、自動運転機能を低価格帯市場に投入し始めている。
EVメーカーが10万元(約200万円)クラスの車両にも自動運転機能を搭載しようとするのは、この価格帯の市場は規模が大きい反面、自動運転機能の搭載率が低いことが主な理由だ。国家情報センターによると、30万元(約600万円)以上の新エネルギー車(NEV)では自動運転機能の搭載率が100%だが、8万~20万元(約160万~400万円)クラスの低価格車になるとほぼゼロだという。
また、バッテリーやLiDARなどコア部品のコストが大幅に下がったことで自動車メーカーにコスト面で余裕が生まれ、低価格の車両にも自動運転機能を搭載することが可能になったという事情もある。
自動運転スタートアップ「元戎啓行(DeepRoute.ai)」の周光CEOはかつて、中・低価格モデルの自動運転機能が同質化競争の段階に入った今、企業にとって機能面の質の高さが最も重要になるとし、「消費者の中には数百元(数千円)、あるいは数千元(数万円)かけて装備を搭載しても使うことがない人もいる。ソリューションには安さだけでなく、使いやすさと価格の合理性が求められる」と語っている。
全面普及には課題も
中国でも自動運転機能に注目する消費者が増えている。自動車産業調査会社J.D.Powerが発表した「2023年中国新車購買意向者調査(NVIS)」によると、自動車を購入する際の決定要素として、自動運転機能の比重が品質と性能に次ぐ3番目の14%に上昇、デザインと並び、ブランドや価格を上回った。
同済大学自動車工学院の朱西産教授も、中国の消費者が自動車購入を決定する際、スマートコックピットや自動運転機能が、ボディのデザイン、車内空間、動力源に次ぐ第4の要素になっているとした。
しかし都市型NOA(Navigation on Autopilot、自動運転ナビゲーション機能)に代表される高いレベルの自動運転は、技術面でもビジネス面でもまだ不確定要素が多い。15万元(約300万円)クラスの車両では、消費者は自動運転機能だけではなく、自動車としての性能、ブランド、デザイン、燃費などを重視するだろう。
EVと専門家である楊偉斌氏は、自動運転レベル2はすでに実用化されているが、レベル3については、システムが対応できないときにドライバーが引き継ぐ必要があることや、引き継ぐ際に安全上のリスクがあることなど、まだ議論の余地があると考えている。
そのため地平線機器人の余凱CEOは、高速道路用NOAは中国でかなり普及してきたとはいえ、ようやく「使える」レベルになったばかりで、利用者が使いたいと思えるレベルかどうかは疑問が残り、より複雑な都市型NOAに至っては、まだ「使える」段階にすらいたっていないと見ている。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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