アジアのデジタル経済台頭、中小テック企業が果たす重要な役割とは

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現代のビジネス論理は、「大規模」で「リソース豊富」な企業が優位に立つとされがちだ。しかし、多様な経済と急速なデジタル化が進むアジア地域は、このロジックだけで全体像を説明できない。

アジア全域では、スタートアップをはじめとした中小企業が全体の99%を占める。その存在は数の多さだけでなく、地域の雇用の60%以上を担う重要なエンジンでもある。さらに注目すべきは、中小企業がデジタル経済で果たす役割である。域内総生産(GDP)の35–45%を中小企業が占め、この割合はデジタル変革と業務効率化が進むにつれてさらに増加する見込みだ。実際、2030年までに中小企業の90%が基本的なデジタル化を達成すると予測されており、これらはシンガポールの「SMEs Go Digital」プログラムやマレーシアの「デジタル経済ブループリント(Digital Economy Blueprint)」といった国家主導の取り組みによるものだ。

中小企業が重要である理由

では、なぜこれほどスタートアップが活躍できるのか。それはアジアの多様性に起因するとも言える。大企業が幅広い市場ニーズに応える一方で、中小企業は特定地域のニッチな需要に対応する能力に長けている。例えば、以下の分野ではスタートアップの優位性が顕著だ。

・銀行・金融:フィリピンでは、サービスが行き届かない農村部に対して、その特有の財政状況に応じた金融ソリューションが求められている。小口融資プラットフォームやモバイル・バンキングがその一例で、従来の金融サービスではカバーされない人々の生活を支えている。一方で、シンガポールのような国際金融都市では、大手機関によるハイエンドな金融インフラが構築されており、状況は全く異なる。

・農業:インドネシアでは、IoTを活用した養殖場やドローンによる作物管理など、中小企業の技術が農業の近代化や生産性向上を牽引している。これらは地域特化型のニーズに応えるもので、大企業には見過ごされがちな分野だ。

・通信:アジアの一部の僻地では、通信インフラが不足しており、5Gはまだ遠い未来の話だ。大手通信会社では対応しきれないこうした地域では、レーザー通信システムなどの創造的な代替案を中小企業が提供しており、従来のインフラを迂回して信頼性の高い接続性を実現する。

中小企業の課題と未来

前述の例は、スタートアップが大企業に対して持つ大きなアドバンテージ、すなわち機敏さとスピードを発揮した事例だ。しかし、中小企業が直面する課題も少なくはない。特に「資金調達の冬」と呼ばれる状況のなか、成長に必要な資本を確保するのが難しくなっている。さらに、「小規模」「資源制約」「セクター特化」といった中小の特徴は、コロナ禍や貿易摩擦、経済不況といった外的ショックに対して脆弱性を増す要因ともなっている。

それでも政策面では、中小企業の戦略的重要性が認識されつつある。例えば、ASEAN Accessのような国際化を支援する取り組みや、中小企業向けの展示会やテックイベントの増加は、官民双方からの支援の高まりを示している。2025年4月23日からシンガポールで開催予定の「GITEX Asia」がまさにその一例だ。このアジア最大級のテックイベントでは、スタートアップや中小企業が集い、次世代イノベーションの波を形作る議論が展開される予定だ。

一見すると小規模に見える中小企業だが、全体としてはアジアのデジタル経済の骨格を形成している。その成長と進化を注視し、支援することが、地域全体の経済発展にとって重要なカギとなるだろう。

<GITEX Asiaの詳細情報>

・GITEX Asia 公式サイト:https://gitexasia.com/
・GITEX Asiaに出展する:
○ 大手・中小企業 https://bit.ly/4c1Vl8I
○ スタートアップ https://bit.ly/3Ym03eb
・GITEX Asiaの参加登録する https://bit.ly/4dlVKDY
・GITEX Asiaの投資家プログラムに参加する https://bit.ly/3SqEPby

(36Kr Japan編集部)

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