中国の有人eVTOL市場規模、35年に約21兆円見込む

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ドイツ高級車ポルシェ傘下の経営コンサルティング会社、ポルシェコンサルティングはこのほど、中国航空学会や中国汽車工程研究院、電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーの天翔科航空科技(上海)ら業界団体と業界大手企業と共同で、「低空経済の新たな風に乗り、新たな質のモビリティー体験を思い切り楽しむ」と題する白書を発表した。白書では中国の「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL産業について、「0」から「1」への飛躍を実現しており、2035年には国内の有人eVTOL市場規模は1兆元(約21兆円)を超えるとの見通しを示した。

中国では23年下半期(7~12月)以降、中央政府と地方政府が低高度を飛ぶ有人・無人航空機を活用した経済活動「低空経済」とeVTOL分野に特化した政策を集中的に発表し、耐空証明の取得や空域管理、インフラ整備を網羅する系統的な監督・管理の枠組みを構築した。24年末に国家発展改革委員会低空経済発展司が正式に発足したことで、産業政策の制定と実施が一体的に推進される新たな段階に入り、政策の効果が持続的に表れ、国内の低空経済関連業界は一段と発展が加速している。

白書の推計によると、30年には中国の有人eVTOLの需要が年間1万2000台以上増加し、応用場面は市内の通勤や都市間交通、個人移動、観光、医療・消防救援、警察業務・安全保障の6分野に広がる。35年には新規需要が年間4万2000台とさらに拡大するほか、商業運用による売上高が3000億元(約6兆3000億円)を超え、完成機販売および川上サプライチェーン(供給網)の市場規模が6000億元(約12兆6000億円)以上、その他の関連サービスの市場規模も3000億元(約6兆3000億円)以上に上り、市場規模が1兆元(約21兆円)以上の巨大市場が形成されるとみられる。貨物輸送用eVTOLは主に都市物流や農作業などの分野で応用が広がり、技術進歩とコスト低下が進むにつれ、今後も多くの応用場面が誕生する見通し。

川下のeVTOL完成機の発展を受けて、川上の産業チェーンも発展の好機を迎えるとみられる。材料供給や航空電子機器、パワートレイン、スマートコックピットなどの分野で技術開発や量産、国産化の実現が進みつつある。eVTOL業界は川上・川下企業の緊密な協力を通じ、活力とイノベーションに富む生態系を構築し、アーバン・エア・モビリティー(都市航空交通)と新たな応用分野の大きな市場を共同で開拓し、未来の航空産業の構図を書き換えるとみられる。

国産eVTOLの販売価格は充実したサプライチェーンとコストの優位性により、海外の同業他社よりも競争力がある。中核部品の国産化が進むにつれ、同等のスペックで比べると国産eVTOLの価格の魅力が増し、市場の潜在力は非常に大きい。【新華社北京】

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