秒速3.5mで疾走、連続バック宙も可能⋯中国の人型ロボット、活用の幅広げる

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人型ロボットを開発する中国スタートアップ「松延動力科技(Noetix Robotics)」がこのほど、シリーズA、シリーズA+と連続して1億元(約20億円)を超える資金を調達した。シリーズAは神騏資本(Pegasus Capital)や北京未来科学城基金、天啓資本(Tianqi Capital)などが参加した。シリーズA+は彬復資本(Beforcapital)が主導し、華強資本(Huaqiang Capital)も参加した。松延動力はこれまでに5度の資金調達を実施しており、さらに技術開発と市場開拓を推進するため新たな資金調達を始動させた。

松延動力は2023年9月に設立され、人型ロボットに代表される「エンボディドAI」の開発に注力している。主力製品は二足歩行の人型ロボットやアンドロイドロボット。人型ロボットは走る、ジャンプ、宙返りするといった高度な運動能力を備える。アンドロイドはさまざまな表情をつくることができ、人とスムーズにコミュニケーションをとる。すでに科学教育の現場や展示場で、また旅行ガイドとして利用され、さらに高齢者向けコンパニオンロボット、生産現場の巡回、都市防犯といったシーンにも活用の場を広げている。

松延動力の製品

AI技術の進歩に伴い、人型ロボット業界は黄金期を迎えている。政府系シンクタンクの中国信息通信研究院によると、中国の市場規模は研究開発機関からの需要がけん引するかたちで、2024年の20億元(約400億円)から28年には50億元(約1000億円)に達すると予想される。世界の人型ロボット産業は実験室レベルの技術検証から商業化の初期段階へ移行する重要な段階にあり、その原動力となっているのがハードウェアとAIの協調だ。

松延動力の創業者でCTOも務める姜哲源氏は、「人型ロボットは、下半身を制御する汎用コントローラーが無く上半身操作の汎化性も不十分という課題に直面しており、それが商用化に向けた最大のネックとなっている。わが社の運動制御技術はかなり進んでおり、技術開発のスピードも速く、量産能力もある」と語る。例えば人型ロボット「N2」は小さめのボディと優れた運動性能により、大きな歩幅で歩けるほか、人間のように走る・跳ぶといった高度な動きができる。移動速度は最高秒速3.5メートルで、その場での連続後方宙返りも可能になっている。

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コア技術は自由度の高いハード本体の技術と、深層強化学習、マルチモーダルAIモデルだ。自社開発したサーボモーターや運動制御アルゴリズムなども、人型ロボットの統合度を高めスマート化を強力にサポートする。また、人型ロボットの運動制御能力の向上にフォーカスし、強化学習と模倣学習を通じて、人間のように膝を伸ばして立ち、歩き、宅配便を受け取ったりゴミを捨てたりできるようにした。

3つのコア技術をベースに、二足歩行、人間のようなコミュニケーション、上半身の操作に特化したものから汎用人型ロボットまで取り揃えた製品マトリクスを作り上げた。現在の主要製品は、運動能力が高い「N」シリーズと、上半身の操作性に優れた汎用人型ロボット、エンタメシーンでガイドを務めたりコミュニケーションできるアンドロイド「Hobbs」などだ。

上半身のスムーズな操作を売りにしたNシリーズに対して、汎用人型ロボット「E」シリーズでは上半身と下半身の連動に重点を置いた。これら2シリーズのロボットの価格はいずれも10万元(約200万円)以内だ。また、教育業界と協力し、ロボットをレンタル・販売して使ってもらう教育プログラムを提供する。北京大学や清華大学など有名大学とも協力して、基礎のない学生をエンジニアとして育成するプログラムの効果を検証している。

これまでに科学研究、教育用ツール、展示用などを中心に、数千万元(数億元)にのぼる受注を獲得している。今年は約1000台を納入し、人型ロボットの活用シーンを拡大する計画だ。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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