中国Lofandi、eバイク用変速機で台頭 世界のシマノ・SRAMに挑戦状

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電動アシスト自転車(eバイク)の変速機(ギア)といった中核部品を開発する「洛梵狄智能科技(Lofandi Intelligent Technology)」(以下、Lofandi)がこのほど、シリーズBで1億元(約20億円)近くを調達した。出資には、広州産業投資(Guangzhou Industry Investment)や迪策投資、達晨財智(Fortune Capital)が参加。資金は主に海外市場の開拓や製品の量産に用いられる。

Lofandiは2012年に設立され、長らく内装変速機の開発と生産に注力している。現在は電動内装変速機システム(Motor Electronic Gear System、MEGS)や自動および手動の内装変速機、スマートロックなどの製品を展開している。

電動内装変速機で巨大eバイク市場に参入

ここ数年の間にeバイクは欧米市場で急速に普及し、モビリティ分野の新しい人気商品となっている。公開データによると、世界のeバイク市場規模は2024年に350億ドル(約5兆3000億円)となり、30年には620億ドル(約9兆4000億円)を超え、成長率は年平均10%近くに達すると予想されている。しかし、変速機などの中核部品は日本のシマノと米国のSRAMという世界大手2社が市場を支配し、中国ブランドのシェアは極めて低い。

自転車の変速機には内装式と外装式があり、現在は外装変速機が主流だ。外装式はギアやチェーンが露出しているため、環境の影響を受けやすく、メンテナンスコストがかさむ。例えばドイツでは、外装変速機の修理に1回当たり100ユーロ(約1万6000円)かかり、たいていは月1度のメンテナンスが必要になる。また、eバイクに使用する内装変速機には一般的な自転車を上回る機能や性能が求められるため、主に自転車用に作られた従来製品では、eバイクメーカーのニーズに応えられるとは限らない。

この状況をチャンスととらえたLofandiは、内装変速機を開発することで差別化を図ることにした。内装変速機は自転車のハブの中に取り付けられるため、外装変速機に比べ故障する確率がはるかに低く、寿命が長いほかメンテナンスも簡単だ。

同社は2021年にeバイクに適した電動内装変速機の開発を開始し、24年5月にeバイク用モーターを手がける中国の「安乃達(Ananda)」と共同で、電動内装3段変速機をリリース、モーターと内装変速機の一体化を初めて実現した。

Lofandiの燕普社長兼CFOはこの製品について、eバイク全体を高度に統合し、メンテナンスコストを大幅に下げると説明した。トルクとスピードのセンサーをベースにライダー(乗り手)のこぐ力とモーター出力の割合をAIアルゴリズムで正確に調整し、ライダーや地形に最も適したギアポジションへと自動的に変速する。また、電子変速システムが上り坂で自動変速するほか、変速機が自動でシフトアップした際にモーターの出力を下げるため、航続距離は30%延びるという。製品は一般的なハブモーターよりはるかに軽く、標準的なフレームに取り付けても重さがわずか3.9kgに抑えられる。

また、ミッドドライブモーターと一体になった内装変速機の開発も進めており、独ボッシュが支配するハイエンド市場への参入を狙っている。ミッドドライブモーターと変速機を組み合わせたこの製品は、操作性と出力が既存のソリューションより優れており、電動アシストマウンテンバイク(eMTB)や電動アシストカーゴバイク(eCargo)などへの搭載を想定している。

中国軽工業聯合会(CNLIC)は2025年3月、Lofandiに対して「電動アシスト自転車用大トルク自動内装変速機」の科学技術成果鑑定書を発行し、同社の技術が「世界をリードするレベルに達している」と評価した。つまり、同社は日本や米国の大手メーカーと対等に戦えるようになったということだ。

Lofandiは変速機のほかに、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)と電子式盗難防止技術を融合したスマートロックシステムも開発した。スマートロックはハブに直接埋め込まれているため、車体を盗むにはホイールを分解しなければならず、盗難の抑止効果を大きく高める。燕社長によると、同社は国内外の多くのモビリティブランドにスマートロックを供給しているという。

*1元=約20円、1ドル=約151円、1ユーロ=約163円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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