ライブコマースがスマホ販促戦略で定番化 4G時代最後の「双11」で

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

特集編集部お勧め記事注目記事

ライブコマースがスマホ販促戦略で定番化 4G時代最後の「双11」で

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国で年間最大のネット通販の特売イベント「双11(ダブルイレブン)」が終わった。EC大手「京東商城(JD.com)」では、今月1日から10日の10日間で売り上げた5Gスマートフォンの台数が、前月全体の販売台数の20倍に上ったという。

中国は11月1日付で5Gの商用サービスを開始した。つまり、今年の双11は5G時代最初の双11であり、また4G時代最後の双11でもある。この2年ほどスマートフォン市場自体が縮小傾向にある中で、四大メーカー(ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivo)を筆頭とする中国の携帯メーカーは、現行モデルから5G対応モデルへの乗り換えをユーザーに促すことで需要を掘り起こそうと躍起だ。双11は本格的な5G時代の到来を前にした、最後の大商戦となるだろう。

京東のスマートフォン売れ筋ランキングによると、双11シーズンの累計販売台数で上位20位圏内にランクインした5G対応機種は、ファーウェイの「Mate 30 5G」「Mate 30 Pro 5G」のみだった。IT専門調査会社IDCが発表した2019年第3四半期の中国スマートフォン市場に関する報告書は、「中価格帯やボリュームゾーンの機種で5Gスマホが出揃うまでは、ユーザーの買い換え需要は依然として4G機種に集中するだろう」との結論を出している。

つまり各メーカーは5G対応機種を大々的に売り出すと同時に、4G機種も売り続けなければならないということだ。これに対し、四大メーカーはすでにそれぞれの戦略を固めているようだ。

「ライブコマース」が販促の定番に

四大メーカーの一角であるシャオミ(小米科技)は7月、新機種「Mi CC9(美顔アプリ「美図」とのコラボモデル)」のプロモーションで、大々的にライブコマースを利用した。美容系カリスマインフルエンサーの李佳琦を起用し、アリババ傘下のライブコマースプラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」を通じて販促を行い、反響を呼んだ。

それから4カ月経った現在、ライブコマースを使ったプロモーションは主要スマートフォンメーカーの間ですでに定番化している。シャオミは昨年の双11でも、アリババ系ECサイト「天猫(Tmall)」に出店する旗艦店で12時間にわたるライブ配信を行い、53商品を売り込んだ。ほぼ同時に、ファーウェイのサブブランド「honor(栄耀)」や「魅族(MEIZU)」もタオバオライブを通じて販促を行っている。

各メーカーによるライブの様子(36Krによるキャプチャ画像)

中国のEコマース業界で行われる二大販促イベント「618(6月1~16日)」および「双11(11月11日)」において、スマホ四大メーカーはいずれも今年からライブコマースを展開している。シャオミは10月20日~11月11日の期間、連続22日でライブ配信を行ったという。

タオバオライブ関連のデータを専門に分析する「知瓜数據(zhigua.cn)」によると、シャオミ、honor、OPPO、vivoの4ブランドはいずれも、天猫に出店している旗艦店を通じて頻繁にライブコマースを実施するようになった。中でも最も多くの商品をPRしているのがシャオミだ。

知瓜数據によるデータ

スマートフォンメーカーによるライブ配信は、1回の配信時間が長いこと、紹介する商品数が多いことが特徴で、各商品の機能説明も詳細だ。配信中に視聴者から投げかけられた質問にアドバイスを返すこともできる。各ユーザーの需要に見合った商品を見繕い、そのセールスポイントを解説してくれるのだ。

前出の李佳琦のような人気インフルエンサーが行うライブコマースは、インフルエンサー個人の「信用」が売れ行きに繫がるが、スマートフォンメーカーによるライブは性質が異なる。従来の販売現場と同様、専属の販売員が顧客と1対1でやり取りする形式をそのままオンラインに移行したものといえる。ただしオンラインの場合、そのやり取りの様子は大勢の他の視聴者にも共有されることになる。

「双11シーズンにスマホを買い替えたいが、具体的にどの機種にするか決めていない。とりあえずいろいろ見てみよう」。スマートフォンメーカーはまさにこうしたユーザーをターゲットにライブコマースを展開しているのだ。

ライブコマースを提供するプラットフォームはタオバオライブだけではない。シャオミやファーウェイは自社のECアプリを通じて、vivoはWeChat(微信)の公式アカウントを通じてライブ配信を行っている。vivoの場合は、ライブ配信中に気に入った商品があれば直接ECミニプログラムに遷移して購入できる仕組みになっている。

タオバオの次は、WeChatが抱える膨大なユーザーが新たな金鉱としてメーカーの注目を浴びているのだ。

移り変わるスマホメーカーのPR戦略

11月10日、双11の前哨戦となるライブ配信合戦が行われる中、OPPOはさらにeスポーツの国際大会でも自社アピールを展開した。同日にパリで開催されたオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会決勝戦「Worlds2019」で、グローバルパートナーを務めるOPPOは実況中継中に頻繁に露出した。中国チーム「FunPlus Phoenix」が優勝を決めた後のMVP表彰式でもスポンサーとして唯一登壇し、同社製品を世界中にアピールしている。

MVP授賞式にプレゼンターとして登壇したOPPOのメンバーが、自社製品を使って受賞者と記念撮影(36Krによるキャプチャ画像)

中国では夏ごろから各社が5Gスマホを発表しているが、OPPOだけはその波に乗らなかった。その代わり、別の切り口からユーザーに接触したというわけだ。成熟市場の競争においては、各社ともこれまで自社とは無縁だったユーザーにリーチしたいと考えている。

年末には多くのメーカーがGSM/CDMAデュアルモード対応の5Gスマホを発表するとみられる。各社とも製品の価格設定や位置づけ、またそれらにふさわしいマーケティング戦略を立ててくるとみられ、これらが新たな話題の焦点になるだろう。
※アイキャッチ画像提供:Unsplash
(翻訳・愛玉)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録