世界初の空間記憶型センサー「Odin 1」が実用化へ、建設・防災現場で存在感

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次世代のセンシング技術を開発する中国スタートアップ「留形科技(Manifold Tech)」がこのほど、プレシリーズAで弘毅投資(Hony Capital)などから数千万元(数億円)を調達した。資金はコア部品のカスタム生産や製品の量産体制の整備、さらに市場開拓などに活用される予定だ。

留形科技は2022年、香港大学機械工学・ロボティックシステム研究所(MaRS Lab)の出身者らによって設立された。3Dセンシングおよび空間再構築のアルゴリズムと関連製品の開発に注力し、ロボットやドローンなどに「正確な空間認識能力」「記憶力」「自律的なインタラクション機能」の実装を目指している。

AIや機械学習の進歩に伴い、3D空間を再構築する技術の精度や効率が大きく向上している。留形科技は独自開発のアーキテクチャと高性能アルゴリズム「MindSLAM」をベースに、空間認識と空間記憶機能の両方を備えた世界初のセンシングモジュール「Odin 1」をリリースした。

画期的なこの製品には、dTOF方式のSPADセンサーや高解像度カラーカメラ、慣性計測装置(IMU)が集約されており、複数のセンサーからのデータを同期して、情報間の整合性を確保している。

Odin 1はセンチメートル単位の測位精度を誇り、最長70メートルの検出距離と120°×90°の視野角を備え、最大で毎秒70万点の点群データの出力が可能。空間と時間のデータを正確に統合することで精度の高い空間記憶を構築し、これをベースに正確な3D空間モデルを生成する。

ロボットやドローンにOdin 1を搭載すれば、暗所や特徴の少ない環境でも、物体の形や位置を正確に認識し、周囲の空間を詳細に記憶できるようになる。これにより、複雑な環境でのロボットの認識能力が大幅に向上し、ナビゲーションやルート最適化、作業の効率化などの面で優れたパフォーマンスを発揮する。

同社の製品はすでに、建築のデジタルアーカイブ化、内装測量、火災・災害現場の再現、事故現場の記録、製造業などの分野で広く活用されている。例えば、Odin 1を搭載したロボットやドローンを火災現場や災害エリアにいち早く投入すれば、現場の空間認識と3Dマッピングを行い、救援作業を進めるのに必要な空間構造を正確に把握できる。建設現場では施工中の空間変化をリアルタイムで記録し、進捗状況やそのクオリティーに反映させることで、工程管理の効率化と人件費削減に貢献している。

救援活動の現場で活用される「Odin 1」
建設現場で活躍するOdin 1搭載ロボット犬

さらに、Odin 1とのスムーズな連携が可能なクラウドプラットフォーム「MindCloud」もリリースした。取得した実環境データをワンクリックで高精度の3Dモデルに変換し、3Dデータの収集・管理・分析が手軽に行えるようになっている。これによりデジタルツインの迅速な構築やロボットアルゴリズムのシミュレーショントレーニングが可能になり、ロボットの意思決定やアルゴリズム改良に向けた強力なデータ基盤を作り上げることができる。

現在、留形科技は複数の大手ロボットメーカーと緊密な提携関係を築いている。自社開発の技術を活用してセンシングモジュールのコストを効果的に削減し、コストパフォーマンスに優れた巡回検査・空間認識ソリューションを提供し、ナビゲーション・スキャン・測位機能の一体化を実現している。

海外発の3Dデジタル技術、日本企業とタッグで市場浸透 大手の活用続く

主力製品「Odin 1」は、今年7月に量産を開始し、グローバル市場への同時展開も予定されている。

*1元=約20円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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