宇宙旅行が6000万円で現実に?中国の再利用型有人宇宙船、2028年に初飛行へ

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宇宙旅行ビジネスを展開する中国スタートアップ「穿越者(Interstellor)」(全称、北京穿越者載人航天科技)がこのほど、追加のエンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。中天匯富基金管理(Zhongtian Fortune Fund Management)と彬復資本(Befor Capital)が共同で出資を主導した。資金は、地球の周回軌道には乗らない「サブオービタル飛行」向けの有人宇宙船の開発および試験機1号機の製造に充てられる。

穿越者は2023年1月11日に設立され、再利用可能な有人宇宙船の開発と宇宙旅行の事業運営に注力している。24年11月末に実施したエンジェルラウンドの資金調達から約半年、同社は複数の重要技術でブレークスルーを果たした。中国国内で初めて有人宇宙船における「能動的熱制御技術」の地上実証に成功したほか、独自開発の飛行制御コンピュータと改良型アルゴリズムの統合試験も完了している。

能動的熱制御技術の地上検証実験

穿越者は現在、中国初の再利用可能なサブオービタル宇宙船として「CYZ1」の開発に集中している。中国の宇宙船「神舟」および次世代宇宙船の再利用可能な帰還カプセルをベースに、国内外の優れた設計コンセプトを吸収。宇宙船の脱出や回収などに関わる主要システムに再使用性を持たせ、全体の99%の再利用を実現している。

また、CYZ1は中国初の先進的な打ち上げ脱出技術を採用、誤差100メートルレベルの高精度で損傷なく着陸できる鈍頭形状の有人宇宙船としては世界初となる。米ブルーオリジンの「ニューシェパード」と比較しても、キャビンの広さや着陸精度、飛行時間の面で優れており、貨物輸送にも対応可能だという。

サブオービタル飛行向け有人宇宙船「CYZ1」

穿越者は2025年下半期、中国の商業宇宙分野では初となるフルスケール有人宇宙船の着陸衝撃緩和実験を実施し、機体全体のシステムおよび脱出・救命技術に関する実証を行う。また、商業ロケットを手がける中国の大手企業との連携を一層強化し、宇宙船と打ち上げロケットの統合技術に関する課題解決を目指す。

創業者で最高経営責任者(CEO)の雷詩情氏は、2027年には無人のサブオービタル飛行を、28年には1回目の有人商業飛行の成功を目指すことを明らかにした。宇宙旅行希望者向けに「スペースツーリストクラブ」を立ち上げ、宇宙版「ディズニーランド」ような体験提供を目指し、地上施設では宇宙飛行前のヘルスケアやトレーニングを提供していくという。

紹介によると、米ブルーオリジンが過去に実施した宇宙旅行の座席オークションでは、1席あたり2800万ドル(約40億円)の高額で落札された。一方、穿越者が提示するチケット価格は1席あたり300万元(約6000万円)で、10%の前払いで予約可能となる。現時点で十数席がすでに販売されているという。

*1元=約20円、1ドル=約145円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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