中国、循環経済に本腰 江蘇省に広がる“再資源化テック”最前線

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中国が循環経済の推進に本腰を入れている。2025年の政府活動報告では「廃棄物の循環利用を強化し、再生素材の使用を大いに広め、循環型経済の発展を促進する」と明記。こうした方針を受け、江蘇省でも各地で先端技術を活用した再資源化の取り組みが進められている。

徐州市にある資源循環利用センターでは、廃棄された電線ケーブルが種類ごとに分類、解体され、銅やアルミニウムなどの金属材料として再資源化されている。江蘇省の電力業界で初めて設立されたリサイクル施設で、1日当たり約50トンのケーブルを処理することができる。

「年間1万トンの廃棄ケーブルを処理できれば、年間約3万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減につながる」。徐州市の電力供給を担う国網徐州供電の許航物資部主任は同事業について、資源の浪費を防ぎ、環境汚染を抑制するだけでなく、新たな収益源にもなると指摘する。

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宜興市では、環境技術企業の江蘇碧諾環保科技が、汚泥や生ごみなどの有機性廃棄物を土壌改良剤や消臭剤に再生する事業を展開している。宜興市は現在、川上から川下まで5千社を超える企業が集まる環境産業の一大拠点として知られる。

業界関係者は「中国の循環経済産業は従来の回収型ビジネスから、ハイテク・高付加価値の新たな産業へと発展しつつある」と指摘する。

中国循環経済協会の朱黎陽会長は「技術や工法でのブレークスルーが循環経済発展の強力な推進力となっている」と語る。固形廃棄物や農業廃棄物の再利用はここ数年で「飛躍的な進展」が見られるとし、中国の資源循環利用産業の規模は2030年までに10兆元(1元=約20円)に迫る勢いだと指摘した。

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同協会は23年に発表した報告書で、中国のCO2排出量削減に対する循環経済の総合貢献率は2025年末までに3割を超えると予測している。

蘇州市の蘇州工業園区にある循環経済産業パークには、1日約500トンの食品廃棄物を処理できる先進的な処理施設がある。園区内で環境保護企業を経営する黄元宸氏によると、生ごみの約9割は栄養土にして緑化堆肥に再利用できるほか、バイオガスにして都市ガス網へと提供することもできる。

黄氏によると、生ごみだけでなく剪定枝や落ち葉なども回収してバイオマス燃料棒に加工し、火力発電所の燃料として再利用できる。同社では1日100トンの植物性廃棄物を処理でき、燃料棒の年間の売り上げは900万元に達するという。

リユース品の取引も盛んに行われている。南京市は中国初の循環経済型消費エリアの形成を目指しており、今年はアリババ傘下の中古品取引プラットフォーム「閑魚」のリサイクルショップを新たに誘致した。閑魚は不用品取引サイトの先駆けで、現在登録ユーザー数6億人以上を数え、毎日400万点以上の商品が出品され、1日平均取引額は10億元を超えている。

閑魚の丁健総裁によると、中国の不用品・中古品流通規模は年間1兆3千億元を超え、巨大な市場潜在力がある。このうち約4割をオンライン取引が占めているという。【新華社南京】

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