「モノを右から左に流すだけではつまらない」 アリババ系スーパー「盒馬鮮生」のPB戦略

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「モノを右から左に流すだけではつまらない」 アリババ系スーパー「盒馬鮮生」のPB戦略

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中国の小売企業が、厳しい競争を勝ち抜くために次々とプライベートブランド(PB)を立ち上げている。

アリババグループ傘下の次世代型スーパーマーケット「盒馬鮮生(Hema Fresh)」は、最も早くPBの設立に動いている。10月下旬には、販売額全体の1割をPB商品が占めるようになったと発表した。前年の同時期には、PB商品の割合はわずか2~3%だったという。中でも生鮮商品ブランド「日日鮮」が好調で、すでに1000SKUに迫る商品を取り扱う。

盒馬鮮生は上海市でPB商品をメインとした店舗も展開している。ここで販売する商品の多くがPB商品であり、中にはPB商品だけで構成された商品棚もある。

PB商品専門の商品棚(上海国家会展中心店)

この成功は入念な準備によって獲得したものだ。盒馬鮮生は開業当初からPBの開発チームを設けていた。2017年、最初に立ち上げられたPB「日日鮮」は野菜の取り扱いからスタートし、牛乳、肉、卵、パン類など幅広い商品を取り扱うようになった。その後、惣菜・デリに特化した「盒馬工坊」をスタートし、塩ゆで枝豆や手包み餃子、ワンタンなどがヒット商品となった。

日日鮮や盒馬工坊は価格やパッケージなどに大衆的なカラーを打ち出しているが、盒馬鮮生はその後、「帝皇鮮」「盒馬牌」など高級路線のブランドも立ち上げた。帝皇鮮は上等な魚介類や肉類を取り扱い、盒馬牌は米や油、軽食類、アルコール類、食器類やキッチン雑貨など多様な商品を取り扱う。

しかし、盒馬鮮生は現状では決して満足していない。昨年8月には侯毅総裁が「3年以内にPB商品の売り上げ比率を5割以上まで引き上げよ」との号令をかけている。

PBブームの理由

小売業界を見渡せば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアに限らずオンラインショップに至るまで、猫も杓子もPBを立ち上げている状況だ。

生鮮業界でとりわけ成功しているのは盒馬鮮生だが、盒馬が唯一のプレーヤーというわけではない。昨年末、「永輝超市(Yonghui Superstores)」はメインブランド「永輝優選」など一連のPB戦略を発表した。他に「毎日優鮮(MISSFRESH)」や「生鮮伝奇(Shengxian Chuanqi)」などもPBを展開している。

スーパーやコンビニでは、2007年に台湾系の「大潤発(RT-MART)」が中国市場で「大拇指」を、2018年には「物美集団(WUMART)」が生鮮ブランド「毎日鮮」を立ち上げ、米ウォルマート、仏カルフール、独メトロなどの外資系も中国進出時にPBを導入している。ファミリーマート、セブンイレブンなどのコンビニは、生産過程にもこだわった食品系のPB商品を展開。自社のセントラルキッチンや工場から1日3食をカバーする豊富な商品を送り出す。

この2年ほどは、Eコマースの世界でもPB戦略が幅を利かせている。家庭用品を中心に据えたライフスタイルショップの体裁が主流で、京東集団(JD.com)系の「京東京造」、蘇寧易購(Suning.com)系の「蘇寧極物」、シャオミ(小米科技)系の「小米有品」、ネットイース(網易)系の「網易厳選」、アリババ系の「淘宝心選」など枚挙にいとまがない。

こうしたPBブームの背景には何があるのだろうか?

大きな理由としては、小売企業にとってPBは品質管理がしやすいこと、価格も独自に設定できること、コストコントロールも容易なことが挙げられる。

また、商品の差別化によって消費者の心を掴みたい企業側にとっては、PBはまさに理想的なソリューションといえる。「ここでしか買えない」商品は、競合他社との大きな「違い」を生み出せる。

多くの小売企業は、各ターゲット層に向け、異なる商品で構成される複数のPBを打ち出している。一般的に低価格商品で構成されるPBは顧客サービスの一環であり、一種の割引サービスだ。これは顧客の定着率向上を目的とする。反対に盒馬鮮生の日日鮮のように、ある程度値が張る商品を取り扱っているにも関わらず利益率が低いブランドは、商品の競争力や価値を引き上げ、差別化を図ることが目的だ。

PBで成功するのはそう簡単ではない

しかし、中国の小売企業が運営するPBの多くは決して順調とはいえない。

米市場調査会社ニールセンが世界のPBを調べたレポートでは、北米の小売市場では販売総額に占めるPBの割合は18%、欧州では30~40%との結果が出ている。これに対し、中国ではわずか1%前後だ。このデータを楽観的にみれば中国市場はブルーオーシャンだともいえるが、実際に中国でPBが伸び悩むのは多くの壁があるからだ。

これについて、盒馬鮮生の侯総裁は「中国で長年PBを手がけても、土壌自体が不健全なために世界的にみて不毛な状態が続いている」と述べる。

「不健全な土壌」とは、小売り業者とサプライヤーの関係において、つねにサプライヤーが上の立場に立ってきたことを指す。これまでは供給業者が絶対的な発言権を持ち、販売業者や消費者はそれに従うしかなかったのだ。PBを立ち上げる以前の大潤発を一例とすると、仕入れ時に相手先サプライヤーの全商品を買い付けなければならず、在庫負担も負っていたという。

盒馬鮮生は莫大な流通量とブランドを盾に、旧来の習慣を刷新する新たな業界ルールを打ちたてようとしている。メーカーとの直接取引ではなく、バイヤーに仕入れを任せるスタイルを採ったのだ。ただし、このやり方で成功するには商品構成を十分に練り、適切な供給業者やメーカーを見定める必要がある。どれも簡単ではない。

商品構成を例にとると、消費者は一般的に店頭に並ぶ商品のボリュームを見て購入を決める。商品棚に多くのPB商品が並んでいればPB商品がよく売れる。その場合は、他商品を扱うサプライヤー側からすれば自社の利益が薄まるため、価格でPB商品に対抗してくるだろう。価格戦に持ち込まれれば、小売業者側にも負担になる。かといってPB商品の取り扱い数を減らせば、PB本来の目的は果たせなくなる。

盒馬鮮生は3年以内に販売額に占めるPB商品の割合を50%まで引き上げるとしているが、ウォルマートでも30%以下、コストコでも約25%という数字からみると、50%の目標を短期的に達成できるとはとても思えない。

こうした事情から、PB戦略には慎重な小売企業も少なくない。前出の蘇寧易購も「PBはあくまで試験段階の枠を出ていない」としている。PB商品は粗利が高いのも確かだが、サプライチェーンの川上の管理を徹底するには莫大な資金が必要だ。生産工場の製品を買い取ったり、在庫圧力を負担したりしなければならないうえ、リスクも高いのだ。
(翻訳・愛玉)

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