生鮮食品スーパー「元初食品」が15億円の資金調達、PB商品開発で中国版「トレーダージョーズ」を目指す

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生鮮食品スーパー「元初食品」が15億円の資金調達、PB商品開発で中国版「トレーダージョーズ」を目指す

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食品小売事業を営む「厦門元初食品股份有限公司(Xiamen Sungiven Foods Holding Ltd.)」(以下、元初食品)」はこのほど、「麦星投資(Maison Capital)」から1億元(約15億円)を調達したと発表した。当該資金は麦星投資傘下で米ドルファンドを運用する香港企業「佰潤常青有限公司(MS EverSpring Limited)」から、1億元相当の米ドルで提供された。

元初食品は2011年7月に福建省厦門で創業した食品小売事業者で、食品スーパーのチェーン展開をコア事業とする。2019年10月末時点で、生鮮食品を取り扱うスーパー「元初食品」を中心に、以下四つのビジネスを展開している。

1、元初食品(98店舗):店舗面積は100〜300平米。地域密着型で健康的な食材を提供。安心で安全な食材を求める消費者をターゲットとし、顧客体験を重要視する。
2、吾食初便利店(3店舗):店舗面積は100平米前後。果物及び自社ブランドの乾物を中心に提供。元初食品の出店空白地を補う形で展開。利便性を重視する消費者をターゲットとする。
3、元初食堂(2店舗):店内に屋台を設置し、海鮮粥や麺類、スープなどの料理を提供。自炊する時間はないが、手頃な価格で新鮮な食材を使った料理を食べたい消費者をターゲットとする。
4、倉庫兼配達センター(3カ所):配達サービスをメインで展開。自社ITチームが開発した微信(WeChat)のミニプログラム「元初到家」を利用するユーザー向けに、幅広い時間帯に対応する形で食料品と食事(朝食から夜食まで)の配達を行う。高いリピート率が見込める食事を取り扱うことで、ネットを利用する消費者を取り込むのが狙い。

(各地における元初食品の店舗分布図)

2019年10月末時点で、元初食品はすでに厦門、大連、泉州、深圳などの地域に進出しており、合計105店舗、年間売上10億元(約150億円)規模の企業へと成長した。プレイヤーが多く、サービスの同質化が進む生鮮スーパー業界において、元初食品は独自の戦略で差別化を図ろうとしている。同社は創業当時から、プライベートブランド商品(以下「PB商品」)の開発に注力し続けてきた。

元初食品はすでに「元初」、「元童」、「元実」、「元和」、「Sunfreesia」、「Sunnborg」など数多くのPB商品ブランドを開発しており、品目(SKU)数は2000を超える。販売に占めるPB商品の割合は約60%で、他のスーパーをはるかに上回っている。通常、大手スーパーのPB商品比率は10%未満、コンビニのPB商品比率は20%-30%前後だ。

元初食品の経営は米国の人気スーパー「Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)」と「Trader Joe’s(トレーダージョーズ)」をモデルとしている。ホールフーズマーケットは米国スーパー業界のトップランナーで、オーガニック食品を販売する高級スーパーだ。トレーダージョーズもオーガニック食品を販売するスーパーだが、ホールフーズマーケットより安い価格帯で商品を提供している。2社とも「食品の質にこだわる」ミドルレンジ、ハイエンドの客層をターゲットとする。

トレーダージョーズは2018年の米国人気スーパーランキングで第3位にランクインした。同社の人気の秘密は、低価格で高品質のPB商品を提供することだ。トレーダージョーズが販売している商品の80%以上はPB商品で、高いコストパフォーマンスを実現すると同時に、「目新しく、他では買えないおいしい食品」というユニークな顧客体験をも提供している。

(元初食品の店内の商品陳列棚)

トレーダージョーズと同様に、元初食品も国内におけるPB商品の開発、独自の販売ルート及びサプライチェーンの構築を企業戦略とし、品質の高い食品を求める家庭をメインターゲットとしている。同社の陳啓明総裁兼副董事長は、安全で高品質の食品に対する消費者のニーズが、PB商品モデルが今後中国で発展する上で十分な余地を与えてくれると考えている。

したがって、元初食品は生鮮食品の販売ルートというよりは、むしろハイエンドの食品ブランドを確立しようとしている。販売ルートを自社で構築することは、PB商品を販売するための手段であり、同時に在庫や仕入れの管理などの問題の解決にもつながる。

PB商品戦略を進める上で、サプライチェーンの構築は避けて通れない問題だ。元初食品の前身である「天酬実業(Sungiven Imp&Exp)」は2001年に設立した食品の輸出入を行う貿易会社で、中国の食品を世界各国に輸出した実績がある。こうした実績を踏まえ、元初食品は初期の段階から、PB商品戦略への転換を始めた。

食品の国際規格は非常に厳格だ。元初食品は前身の貿易会社時代に、国内の優れたサプライヤーに関する情報を蓄積した。初期の商品も貿易会社時代の人気商品であるキクラゲや椎茸だった。

(画像提供:Unsplash)

元初食品は次の発展戦略として以下の二つを掲げている。

一つ目は海外進出。元初食品は年内にカナダのバンクーバーで2店舗を出店する予定だ。カナダを選んだのは、同国で華人市場が比較的発展していることに加え、同社にはすでに20年にわたり北米市場向けに食品を輸出した実績があり、同国の市場と商品について一定程度の理解があるからだ。

元初食品の海外進出戦略には商品開発も含まれる。現在、同社はすでにヨーロッパ(ドイツのハンブルク)と北米(カナダのバンクーバー)にPB商品の研究開発センターを設立、現地のサプライチェーンを活用し人気商品を数多く生み出してきた。340年の歴史を持つドイツのブルワリーで製造した缶ビール(販売価格は4.9元、約78円)はその一つだ。

二つ目は宅配サービス。現在、元初食品は倉庫兼配達センターを3カ所保有しており、ミニプログラム「元初到家」で注文をしたユーザー向けに宅配サービスを行っている。元初食品のセールスポイントは、予約注文制で供給量の少ない生鮮食品を直接配達することで、福建省東山の漁港で当日水揚げされた新鮮な魚介類の配達はその一例となっている。
(翻訳:田文)

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