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中国を代表するパソコン製造企業レノボグループ(聯想集団)を創業時から率いてきた柳伝志氏が引退する。18日夜、同グループの持ち株会社「聯想控股(LEGEND HOLDINGS)」が正式に発表した。柳氏はホールディングスの董事長を退き、今後はシニアアドバイザーとして経営に関わっていく。
柳氏は今年5月にインタビューを受けた際、「理想的な状態は名誉董事長に就くことだ。戦略上の重要な問題は把握しておきたいし、こうした問題に対して若いメンバーが出した結果を見届けていきたい。これこそ歳を重ねた者がすべきことだ」と述べていた。後継の董事長はホールディングスのSVPやCFOを兼任してきた寧旻氏に決定した。同じくSVPを務めてきた李蓬氏もCEOに就任する。
柳伝志氏は中国のビジネス界の父とあがめられてきた存在だ。1944年生まれの同氏は1966年に中国人民解放軍の軍事電信工程学院(現・西安電子科技大学)を卒業。1984年、40歳の時に11人の研究者を率いてレノボの前身となる企業「中国科学院計算科技研究所新技術発展公司」を創業した。当時のオフィスは中国科学院に間借りしたわずか20平方メートルの平屋だった。1989年には社名を「聯想集団(Lenovo)」と改称する。
柳氏は同社を世界で最も知られた中国のテック企業に育て上げた。2004年には12億5000万ドル(約1400億円)を投じて米IBMのパソコン事業を買収し、世界のパソコン市場の勢力図を完全に塗り替える買収案件として話題になった。これによりレノボは米デルや米ヒューレット・パッカードと並ぶ世界三大メーカーの一つに一躍名を連ねることになる。
以後、吸収合併や組織再編を繰り返しながらブランドイメージを築き上げ、事業範囲や販売網を世界中に広げた。現在、レノボは世界最大のパソコンメーカーであり、売上高および利益において世界の半分以上を占めている。
2000年、レノボは「神州数碼集団(Digital China Group)」を分社化し、その陣頭指揮を郭為氏が執り、レノボ・グループは楊元慶CEOが率いる体制になった。2002年にはホールディングス化され、聯想控股を設立すると、柳氏は一線を退き、各事業を若きリーダーの活躍の舞台とした。傘下にはレノボ・グループのほかに「君聯資本(Legend Capital)」「弘毅投資(HONY CAPITAL)」などがある。
2009年には世界的不況のあおりを受け、柳氏が表舞台に一時復帰。1年後には再び黒字化を果たした。柳氏は2011年に改めてレノボ・グループ董事会主席の座を退いている。
2011年以降はレノボ・グループの名誉董事長を務める以外は顧問として徹してきた一方、親会社となる聯想控股の董事長は続けてきた。今回は正式な引退となる。
柳氏のリタイアは、中国企業台頭の第一世代を支えてきた立役者が表舞台を去る時期が訪れつつあることを示す一つの象徴的なニュースといえる。
(翻訳・愛玉)
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