テンセントが写真投稿共有アプリ「有記」をリリース、SNS市場のパイを奪う

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テンセントが写真投稿共有アプリ「有記」をリリース、SNS市場のパイを奪う

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中国でのInstagram大ブレイクから何年も経ち、中国のIT企業はようやく類似のSNSアプリに注目し始めた。

2019年1月、バイトダンス(字節跳動)が趣味でつながるSNSアプリ「飛聊(flipchat)」をローンチすると、9月にはネットサービス老舗の新浪(Sina)が中国版Instagram「緑洲(Oasis)」をローンチ、最近ではテンセントが独自のSNSアプリ「有記(Youji)」をローンチした。

「有記」については、11月25日に、36Kr傘下のメディア「Tech星球」が、普段の自分を記録するアプリをテンセントが間もなくローンチするとスクープしている。

Tech星球は、「有記」を開発したのが、「深圳市網視界科技(SenseNets Technology)」であることに注目した。Tech星球では、同社トップの魏穎氏と謝晴氏はテンセントの経営幹部だと何度も報じている。

「有記」はWeibo的要素を加味したWechatモーメンツ

WeChatでは、知人間で頻繁に日常的なコミュニケーションが行われるが、「友人」には同僚、上司、親、親戚などが含まれるので、何を投稿するにも気を使う必要がある。そのため、最近ではある種の「モーメンツ(朋友圏)離れ」が始まっている。

2017年3月7日、WeChatは許可した友人だけにモーメンツを表示できる機能をローンチした。公開範囲は3日間、半年間、全期間から選択する。さらに「有記」は若者を対象に、共通の趣味でのモーメンツ構築を試みる。

テンセントの新製品「有記」は、「緑洲」のInstagramスタイルとは一線を画す。WeChatのモーメンツやQQ空間(Qzone)をベースにWeibo(微博)のようなオリジナルトピックやデイリーニュースなどの機能を持たせたことで、注目を集めた。

特定のトピックにハッシュタグを付けて投稿することにより、自分の投稿をその日の「ホットトピック」に分類して表示されるようにしたり、日常のささいなことについて同じ趣味の仲間とチャットすることができる。

「有記」には、Weiboの「スーパートピック(超級話題)」に似た機能の「話題広場」もあるが、インターフェース全体がよりフラットになり、見たいトピックが目立つようになっている。

「有記」とこれまでのSNSとの違いは、「トピックデイリー(話題日報)」という新機能にある。ユーザーは「昨日」、「今日」、「時間」などのさまざまな期間単位で優良記事を閲覧できるため、そのとき話題になっているネタを見逃さずに済む。

「有記」の出現は、Wechatモーメンツでは投稿しかできないという制限を打破し、Weiboのトピック機能や遊びの要素も加味した。このサービスにはWeiboの特徴が色濃く反映されており、テンセントのオープンSNSへのある種の執念を表しているとも言える。

テンセントのSNSイノベーションの方向性は

テンセントは、新たにローンチした「有記」を含め、4つのSNSでイノベーションを起こす。アバターの「卡噗」、ショートムービーの「猫呼」、出会系の「軽聊」、および社会圏型の「有記」である。

最初の3つは人気のある領域だ。特にアバターは、SNS「QQ秀」のような2Dではなく3Dの属性を持つようになり、趣味性や娯楽性が増した。

ショートムービーも5G時代に狙いを定めている。テンセントが最近ローンチした「猫呼」は、自社のかつてのソーシャルアプリ「DOV」を徹底的にリフォームし、親しい友人だけでなく、見知らぬ人との交流も可能にしている。

出会い系SNS「軽聊」は校内や職場などのリアルなシーンから切り込み、見知らぬ人との出会いの安全性と信頼性を担保しようと試みる。頭角を現せるかは、今後に期待。

最後に「飛聊」や「緑洲」などと同種の社会圏型のSNSについて取り上げねばなるまい。テンセントがこの度ローンチした「有記」のことだ。WeChatのモーメンツ機能を継承しつつ、Weiboのトピック形式を吸収した、SNSとしての新しい試みだ。

「有記」にはWeiboのメディア性はなく、「飛聊」の趣味サークルに似た爽やかさがある。

2019年はなぜSNSの当たり年になったのか

2019年1~2月、App StoreでSNSアプリが53個リリースされたことをきっかけに、SNSアプリは爆発的な成長期を迎えた。しかし、これらの商品はユーザーの定着性という問題を依然として抱えている。また、ここ数カ月内にアリババの「Real如我」やテンセントの「猫呼」、「軽聊」などが次々とリリースされており、どれも若者をターゲットにしてブレイクスルーを試みている。

モバイルSNSマーケットの風起雲湧に直面し、かつて「競馬システム」と呼ばれた競争の激しい社内文化で勝利をものにしたテンセントが、新しいSNSアプリを探さない理由はない。テンセントは「有記」の後もイノベーションを探求していくだろう。
(翻訳・永野倫子)

作者:Tech星球(ID:tech618)、陳橋輝
原文記事: https://mp.weixin.qq.com/s/U6lRhi_h5NLITfZSIEeX2Q

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