シャオミ、ホテルや不動産業界に参入 競合大手と市場争奪戦へ

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シャオミがホテル、不動産業界向けサービスを開始

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「シャオミ(小米科技)」は、2019年開発者向けイベントで、不動産、ホテルと企業向けパッケージなどを含むIoT事業コネクティビティソリューションを発表した。

これはシャオミが発表した初の企業向けソリューションである。ホテルに関しては、シャオミはスピーカー、テレビ、多機能ゲートウェイ、スマート照明等の商品を提供しており、今年中に5000室以上に設置される予定だという。

しかし、この事業はそう簡単ではない。

大手取引先の争奪戦

2012年以降、各大手ホテルグループが中~高級ホテルに注力し始め、その中でもスマート化は重要な一部分となっている。

こうした傾向を受け、スマートディバイスメーカーが大手ホテルの争奪戦を繰り広げている。2018年に、「バイドゥ(Baidu)」は「華住酒店集団(Huazhu Hotels Group)」のほぼすべてのプロジェクトを受注し、自社スマートスピーカーを同ホテルグループ傘下のミドルクラスホテルチェーンに設置した。

不動産業界でも、同様の激戦が発生している。IT企業だけでなく一般の家電製品メーカーもこの激戦に参加する模様だ。

例えば、不動産大手の「恒大(Evergrande Group)」と大手家電メーカー「ハイアール(Haier)」は2014年に300億元(約4800億円)のスマートインテリアプロジェクトの契約を締結した。また、昨年1月に、大手家電製品メーカーの「美的(Midea)」と不動産大手の「碧桂園(Country Garden)」が提携し、惠州で後者の高級住宅に1万余りのスマートインテリアシステムを提供する予定だという。また、美的の商品はその他数社の大手不動産デベロッパーにも採用されている。

不動産業界の取引先に対しては、シャオミには大きな優位性がないようだ。

シャオミのAIoT担当の范典氏によると、ホテルシーンでの需要は家庭と大きく異なっているため、シャオミにとっては経験がまだ浅い分野となる。しかし、シャオミでは既に1000人超の研究開発チームを組織し、プロジェクト開発に注力しているという。

また、スマートインテリアの普及の遅れという課題もある。2018年までの、中国でのスマートインテリアの浸透率は1%にすぎないという。

このことは市場の可能性を意味していると同時に、成功事例を大量にコピーすることを困難にもしている。大手の取引先とのプロジェクトでも、それをモデルに宣伝することが難しくなっているのだ。

消費者向け市場の拡大が難航し、企業向け市場も同様

シャオミのスマート設備のコネクト数が6年間でやっと1.96億台になった。しかし、この数字はグローバルのスマホユーザー数に比ぶべくもない。

しかも、約2億台という数字がシャオミの現段階での天井である可能性が高い。そのうえ、まだ印象深い商品がないのが現状だ。各メーカーがこぞって発売しているスマートスピーカーを例にとると、多額の補助金があっても、2019年の予定出荷台数は3588万台程度だと見込まれる。

よって、シャオミは消費者向け戦略から一変し、企業向けへ方向転換しなければならなくなった。

これはシャオミのIoT事業の新しいチャンスになる可能性もあれば、一旦企業向けの事業を展開してから再度消費者向け事業に戻るという可能性もある。しかし、いずれにしても、シャオミが企業向け市場では初心者だという事実は変わらない。

シャオミのエコシステムのメンバー企業には、より早く住宅初期装備市場に参入していた企業もある。例えば、「緑米聯創(LVMI)」は2017年に「Aqara」ブランドを発表し、部屋全体のスマート設備をオーダーメードで提供する事業をメインに、主にスマートセンサー、スマート照明とセキュリティ商品等を手掛けている。Aqaraはシャオミのみならず、AppleのHomeKit、グーグルのGoogle AssistantとアマゾンのAlexa等複数のプラットフォームに接続可能になっている。

小米は自社の企業向けサービスについて、慎重な姿勢を取っている。昨年の開発者向けイベントで、華住傘下のミドルクラスホテルとの連携を発表したが、その後、複数回の交渉を重ねたのちに、ようやくホテル側が見積額を認めたようである。今年に入り、同プロジェクトが成熟し、コピー可能となったと判断したシャオミは、全業種に対するソリューションを打ち出した。

しかし、ホテル業界も不動産業界も、発展のピークが過ぎ、成長が減速する傾向にある。最近の財務データによると、華住グループ傘下のホテル全体の稼働率は前年同期比で3.1%減少したという。よって、設備投資に対し、ホテル業者も不動産業者もより慎重になる可能性が高い。

また、企業向けサービスの市場は景気循環にも敏感で、取引先業界の発展状況にも左右されやすい。シャオミは自力で局面を打開することが難しく、IoT事業を成長させるには、最終的には消費者向け市場が原動力となると思われる。

(翻訳:小六)

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