熱制御材料の中国新興、ダイヤモンド複合材でAI半導体需要取り込みへ

金属ベースの熱制御材料を開発する中国メーカー「一盛新材料(Yisheng New Materials)」(黒竜江省ハルビン市)がこのほど、シリーズAで数千万元(数億円規模)を調達した。出資者は、ファーウェイ傘下の哈勃科技創業投資や中関村発展集団傘下の啓航産業投資基金。調達資金は生産能力増強や次世代型熱制御材料の開発に充てられる。

一盛新材料は2024年9月設立の新興材料メーカーで、金属基複合材料の開発・製造を主軸とする。界面制御技術やニアネットシェイプ成形技術、低コスト製造プロセスなどを強みとする。創業者の武高輝氏は、アジア太平洋材料科学院(APAM)のフェローを務める権威で、中国における金属基複合材料の開発・製造を主導してきた人物だ。

同社は、ダイヤモンドと銅、ダイヤモンドとアルミニウムを組み合わせた超高熱伝導材料のほか、グラファイトとアルミニウム、炭素繊維とアルミニウム、炭素繊維とマグネシウムを組み合わせた複合材料、炭化ケイ素とアルミニウムを組み合わせた高熱伝導・低熱膨張材料などの新材料を開発・製造。軽量・高熱伝導・高強度といった特性を活かし、先端半導体、航空宇宙、新エネルギー車(NEV)などの分野に供給している。

AI向けコンピューティング需要の急拡大、NEVの普及、通信基地局の高度化に伴い、半導体チップの消費電力は従来の4〜5倍に増加し、発熱量も激増している。従来の材料では対応が困難な領域が増えており、同社が手掛ける超高熱伝導複合材料は、「選択肢の一つ」から「必須材料」へと変わりつつある。

武氏によると、ダイヤモンドと金属を組み合わせた超高熱伝導材料だけでも、中国で100億元(約2300億円)規模の市場を形成する可能性があるという。とくにAIデータセンターや6G通信、低軌道衛星などの分野での需要増を見込んでいる。

製造面では、銅粉とダイヤモンド粉を混合して焼結する一般的な粉末冶金法とは一線を画す「真空加圧含浸法」を採用した。圧力をかけて液状の金属をダイヤモンドの成形体に浸透させることで、ほぼ100%の相対密度を実現する。

独自開発の「タングステン被覆層の膜厚制御技術」は、ダイヤモンドと金属基との間に熱伝導性の高い界面を形成するとともに、有害な界面反応も抑制する。航空宇宙分野の厳しい環境試験(高温多湿・熱衝撃試験)においても、熱伝導率の減少率を2.5%未満に抑え、高い安定性を証明している。

同社のダイヤモンド/アルミニウム複合材料の熱伝導率は550〜750W/m・K、ダイヤモンド/銅複合材料では750〜980W/m・Kに達し、いずれも住友電工やプランゼーなど世界大手の製品を上回る水準としている。

また、独自の引き上げ式装置により、複雑な形状の部材を一度の工程で成形(ニアネットシェイプ)でき、表面粗さの精密な制御とコスト低減を両立させた。航空宇宙向けヒートスプレッダでは最大300センチ四方まで対応し、表面粗さ(Ra)も0.4〜0.8マイクロメートルに制御できるという。

「一盛新材料」の製品

これまではハルビン工業大学国家重点実験室の設備を用いた少量生産・供給にとどまっていたが、今回の資金調達を受け、自社開発の自動浸透装置を稼働させる予定だという。装置1台あたりの年産能力は数百枚規模となる見通しで、将来的には設備を拡充し、年産1000万枚体制を目指す構えだ。現在は光モジュールやデータセンター、NEV分野の大手顧客開拓を加速させている。

(36Kr Japan編集部)

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